素材収集に行ってみよう〜後編〜
しばらく東に歩くと霧が出てきた。視界が悪くなってきてモンスターたちの存在にも気付きづらくなる。なんとかベルと連携をとって突破をしていく。
霧を抜けると、目の前にはとても大きな木がそびえ立っていた。それこそ周りの木なんて比にならないくらいだ。
「まさか、これが霊樹か?」
「ええ、そうよ。正式名は霊樹グラスドロボスって言って、ずっと昔からこの場所に生えているらしいの。この木には様々な力が宿ってるから、色々な道具や武器の素材として重宝されるわ」
「なるほど。それで枝はどうするんだ?……まさか上に登れとは言わないよな?」
「うふふ、よく分かったわね」
「え?」
「冗談よ」
「もう、やめてくれよ……。また過酷な労働をさせられるかと……」
「何か言ったかしら?」
ベルは満面の笑みでこちらを向く。その笑顔に異常なまでの圧力を感じたので、俺はこれ以上このことについては言及しないことにした。
「そ、それで実際はどうしたらいいんだ?」
「簡単よ。そこら辺にいっぱい落ちてるでしょ?」
そう言われたので周りを見てみると、たしかにそこかしこに木の枝が落ちていた。
「え、これ全部か?」
「ええ、そうよ。さ、早く拾いましょ!」
「りょーかい」
俺たちは周りの木の枝を片っ端から拾った。どうやら霊樹は古くなった枝を自分から切り落とすらしいので、誰も取らないと延々と溜まっていくそうだ。
「それにしても……多すぎないか?」
ここに来た時は気にも留めなかったが、意外と地面が枝だらけだった。要するに、誰もここに取りに来ていないということか?
「ソラ!どれぐらい集まった?」
「今は30本ぐらいだ」
「よし、とりあえずこのぐらいにしときましょうか」
「オッケー」
俺は集めた枝をベルに渡して帰ることにした。ベルに先導してもらい、霧の中を進んでいく。
行きは特になんとも思わなかったのだが、今になってこの霧の道をベルがなんの迷いもなくすいすい進んでいることに疑問を感じた。もうルートを覚えているのかな?
霧を抜けると、そこには大きなフクロウがいた。俺はモンスターだと思い、剣を構える。それをベルが静止した。
「ソラ、この子は大丈夫よ」
「え?モンスターじゃないのか?」
「まあ、たしかにモンスターだけど、私がテイムしたモンスターだから安全よ」
「テイム?」
「テイムっていうのはモンスターを手懐けてペットにするってことよ。戦闘を代わりに行ってくれたりもするのよ」
「へえ、じゃあ俺もモンスターをテイムすることができるのか?」
「残念だけどそれは無理かしらね〜」
「なんで?」
「うーん、まあ教えちゃおっかな」
「?」
「モンスターをテイムすることが私のアビリティなの」
「え、そうなのか!?」
「だからこの前言ったでしょ?私のアビリティは戦闘向きじゃないって」
「でも、さっきモンスターに戦わせるって……」
「私がテイムしてる子たちは戦闘向きじゃないのよ。この子には主に私の運搬をしてもらってるわ」
「なるほどね、じゃあここでお別れだな」
「え、どうしてかしら?」
「だってそのフクロウはベルを運ぶんだろ?さすがに2人は……」
「ふふーん、私のホワイトMk-IIをなめないでくれるかしら?2人なんて1人と変わらないわ、ねえ、ホワイトMk-II?」
「ホロッホーウ!!」
ということらしいので、俺もお言葉に甘えてホワイトMk-IIに乗せてもらうことにした。ホワイトM……面倒だからホワイトは俺たちを乗せたまま軽々と飛び上がり、ビギンの方向へと中々のスピードで飛んだ。
「なあ、ベル。ホワイトMk-IIってことは、こいつは2代目なのか?」
「いえ、初代よ?」
「じゃあなんでMk-IIなんだ?」
「もちろんカッコいいからよ!!」
「……あー、分かりましたー」
「むう、自分から聞いておいてなんか適当だな〜」
「全然適当じゃないですよ」
「本当?嘘だったら落とすわよ」
「本当ですッッ!!」
「まあ、許してあげるわ」
こうして俺とベルの素材収集の旅は幕を閉じた。今日で俺はベルを怒らせてはいけないと学んだ。ベルは怒らせるとやばいタイプのようだ。これからは気をつけよう。
連載28回目です。
ベルと素材収集に行ってきたソラ。2人きりになることで色々とベルのことが知れたようです。次回は学校編になります。
もし面白いと思っていただけたら、応援、評価、ブクマ、よろしくお願いします!また、些細なことでもいいので、感想お待ちしております!




