妹たちと話してみよう
俺たちはアサとユウの試合を観に、闘技場にやってきた。闘技場では既に試合が行われているようで、凄まじい盛り上げを見せていた。
「この試合の次の次が私たちなんだ」
「どっちが出場するんだ?」
「どっちって……」
「どっちもだよ?」
「ん?どっちも?」
どういうことだろう。今、試合しているのは1対1だし、試合に出れるのって1人じゃないのか?
すると、見かねたショウが俺に説明をしてくれた。
「大決闘祭には2つの種類があるんだ。1つはシングルっていって、1対1で戦う方式のもの。もう1つがダブルっていう2対2で戦う方式のものだ。お前の妹ちゃんたちはダブルに出るんだろ?」
「そうそう、その通りだよ〜!」
「あ、アサ!早く行かないと!」
「了解、ユウ!じゃあ行ってくるね〜!」
「おう、頑張れよ!」
その時、ユウが俺のそばに寄ってきて、頭を俺の方に向けた。これはユウの頭を撫でてほしいという合図だ。ユウ曰く、お兄ちゃんに頭を撫でてもらうと頑張れるとのことだ。
俺はその意図を汲み取り、ユウの頭を撫でる。これは一種のコミュニケーションでもある。幼い頃、自分の意思表示が苦手だったユウの精一杯の意思表示がこれだ。俺は兄らしくその意思を尊重するのが仕事だろう。
「頑張れよ、ユウ」
「うん!お兄ちゃん!」
「あ〜!ユウばっかりずるい!私も私も〜!」
「アサはさっき抱きついたからノーカン」
「ユウ、ひどい!!」
「ほら、早くしないと遅れるぞ」
「あ、本当だ!じゃあ慶兄、勝ったら頭撫でてね!」
「ああ、いいぞ」
「やった〜!」
「私も……」
「ユウはさっき撫でてもらったからノーカンだよ!」
「む〜〜ッ!」
「じゃあね〜!」
「いってきまーす!」
「ああ、いってらっしゃい」
2人は慌てて、試合の準備に向かった。ふと、後ろを振り返ると、ショウとカンナが白い目でこちらを見ているのに気付いた。
「なんだ、その目は?」
「いや、別に」
「ただいつもあんな感じなのかな〜、って思っただけですよ。本当にそれだけです」
「ああ、いつもあんな感じだけど……。え、俺って何かおかしい?」
「いや、まあアサちゃんとユウちゃんの年齢にもよりますけど……」
「ちなみに2人とも中3だよ」
「「え?」」
「まあ、妹ってものはいつまでたっても可愛いものだからな」
「いや、限度があるだろ!!2人とももう中3なのかよ!来年高校生じゃねえか!甘やかしすぎだろ!」
「そうですよ!それなら私にも……じゃなくて、あんまり甘やかしすぎると、将来的にダメ妹ちゃんになっちゃうかもしれないですよ!」
「ああ、その点なら心配はいらない。俺がそんなことには絶対にさせないからな!」
たとえ2人がどんな人間になろうとも、俺はずっと支え続ける。可愛い妹のためなら何だってやってやるさ。
俺は2人の応援のための場所確保へと向かった。
◇◇◇
ソラが走って場所取りに向かっている時、残された3人はソラの甘やかしぶりについて話していた。
「2人とも、あれはもう手遅れだから言うだけ無駄よ」
「はぁ、こりゃ本格的にやばいな……」
「そうですね、行くところまで行っちゃってます……」
「まあ、それも仕方がない部分はあるんだけどね」
「……?どういうことですか?」
「ソラは少し家庭が複雑なんだ」
「それって養子とか連れ子ってことっすか?」
「ううん、そうじゃないんだけど……。まあ、これは本人から直接聞くべきかな」
「そうっすか……」
「ソラさん……」
「って、ごめんね!空気悪くさせちゃって!ほら、応援に行こ!」
「了解っす!」
「はい!」
こうして3人もソラの跡を追って観客席の方に向かった。心に少しの引っかかりを残しながら。
連載21回目です。
意気揚々と妹の応援に向かったソラ。その間にショウとカンナはソラの過去に少し触れました。一体ソラの過去には何があるのでしょうか。次回は試合を観ます!
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