表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/35

アイテムを買ってみよう



「おぉー、すごい……」



 目を開けると、そこには西洋風の町が広がっていた。海も近くにあり、眺めもなかなか良さそうだ。



「ええと、アビリティは……」



 俺はメニューを開き、アビリティ欄を確認する。そこには空蝉と書かれていたが、詳しい説明は見れないみたいだった。



「うーん、仕方がない、祥吾を探そう」



 メニューの項目からフレンドを選んで、事前に祥吾から聞いた名前を入力してフレンド申請をする。ちなみに祥吾はショウという名前らしい。うん、とても分かりやすいな。


 フレンド申請をしてから少し経つと、メッセージが送られてきた。祥吾からだ。


『今からそっち行くから待っててー』


 どうやらフレンドの位置は表示されるらしく、祥吾がこっちに来てくれるそうなので待つことにした。その間に俺はメニューを色々といじってみる。


 メニューにはフレンドの他に装備、持ち物、マップなどの項目があった。持ち物の中にはお金が3000ゴルと剣が一振りあった。これは支給品といったところか。



「よお、ソラ。ゲームはどうだ?」



 突然ガチガチに装備をした人から話しかけられた。だが、ゲーム内の俺の名前を知っているのは一人しかいない。



「祥吾か?」


「ああ、そうだ。だけどここではショウって呼んでくれよ」


「おお、そうだったな。悪い、ショウ」


「大丈夫だ。そうだな、まずはアイテムを買いに行くか」


「ああ、任せる」



 ショウの案内で冒険時に必要になるアイテムを買いに行くことになった。ひとまず武器は最初に支給される剣で十分らしい。その道中で色々と話を聞く。



「なあ、アビリティのことなんだけどさ」


「おお、そういや何になったんだ?」


「空蝉っていうのになったんだけど……」


「……まじで?」


「え、何、その反応。いいの?悪いの?」


「はぁー。まあ、結果から言うと悪い。攻略サイトでは最低ランクに位置づけられているクソアビリティだ。ソラも運が悪いな」



 ……まじかよ。ぱっと見は良さそうなアビリティなんだけどな。なんでクソアビリティと言われるんだろう。



「なあ、空蝉ってなんでそんなにダメって言われるんだ?」


「まず基礎知識として空蝉は回避専用のアビリティだ。攻撃には一切使えない。そして空蝉の最大の問題点は回避の仕方にある。空蝉で回避するためには自分で回避のタイミングと方向を決めないといけない。敵の攻撃が届くまでに、だ。それはもはや敵の動きを予測・予知しないと回避できないというレベルだ。結果、クソアビリティになったってことさ」



 ふむふむ、たしかに難しいかもしれない。敵の攻撃を予知するなど普通の人間にとっては至難の技だからな。普通の人間にとっては。



「ふふふ、ショウよ。俺を誰だと思っている。相手の動きを予測・予知するなんて俺の専売特許だぞ?」


「もしかしてお前、オセロとかチェスと一緒にしてるのか?やめた方がいいぞ」


「なんで?」


「だってお前オセロとかって、ある程度定石があって、そこから予測を立てるってもんじゃないのか?」


「まあ、そうだな」


「だけどこの世界の敵は違う。コンピューターが自主学習して、常に最善の策を取る。従来の決まりきった行動ならまだしも、行動パターンを次々と変える敵に予測なんて無理だろ!」


「なら、その行動パターンすらも予測すればいいだけの話だ」


「……まじで言ってるのか?」


「いいこと教えてやるよ。あくまで俺の持論だが、人間よりもコンピューターの方がよっぽど予測しやすいんだぜ?なぜなら所詮コンピューターは人間が作ったんだからな」


「ははっ、お前らしいわ。そこまで言うなら極めてみせろよ?」


「まかしとけ」



 そんな話をしていたら道具屋に着いた。ショウの知り合いが営む店らしい。どうやらプレイヤーも店を持てるようだ。



「いらっしゃ〜〜い」



 入店と同時に綺麗な女性の声が聞こえた。彼女がこの店の店主なのだろうか。



「よ、ベル!新しいお得意様を連れてきたぞー」


「あら、いつもありがと」


「いいってことよ。ソラ、彼女がベル。この店の店主だ」


「よろしくね〜」


「こいつがソラ。初心者で俺のリアルの友達だ」


「よろしくお願いします」


「あら、ショウと違って礼儀正しい子ね。別に敬語じゃなくていいのよ?」


「そうそう、こいつに敬語なんて……」


「ショーウ?」


「ほ、ほら、ベルもこう言ってるんだし敬語は使わなくてもいいんじゃないか?」


「うふふ、そういうこと」


「あ、じゃあそうさせて……じゃなかった、そうするよ、ベル」


「うんうん、よろしい。それで今日は何を買いに来たの?」


「えっとHPポーションと状態異常回復のポーションを全種類かな。あとは……まだいいな。それで頼む」


「りょーかーい」



 ベルは5種類のポーションを持ってきてくれた。それぞれHPポーション、毒ポーション、麻痺ポーション、混乱ポーション、暗闇ポーションと言う。


 HPポーションはHPの回復、毒ポーションは毒状態からの回復、麻痺ポーションは麻痺状態からの回復、混乱ポーションは混乱状態からの回復、暗闇ポーションは暗闇状態からの回復に使うそうだ。麻痺状態といってもポーションぐらいは飲めるらしい。



「えーと全部3つずつだから3000ゴルだけど、初心者を応援するってことで半額の1500ダラでいいわ」


「え、いいの?」


「もちろんいいわよ〜」


「ありがとう!」


「どういたしまして〜。それでポーションを買うってことは今から行くの?」


「ああ、そのつもりだ」


「行くってどこに行くんだ?」


「そりゃあ決まってるだろ。秘伝の狩場だよ」


「秘伝の狩場?」



 どうやら今からモンスターを狩るということだけは分かった。モンスターを狩るならアビリティも試したいところだ。


連載2回目です!

今回初アイテム購入をしたソラ。次回はモンスターを狩りにいきます。アビリティの効果やいかに。


もし面白いと思っていただけたら応援、評価、ブクマ、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ