表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/35

学校に行ってみよう2



 ショウとカンナとクエストに行った四日後のこと。学校の休み時間に佳純が俺の教室に来ていた。



「ねえ、慶」


「ん?どうした?」


「あ、明日、ちょっ、ちょっと付き合ってくれない?」



 佳純がそう言った途端に周りがザワザワし始める。特に俺は男子から睨まれているみたいだった。佳純は主に女子からニヤニヤされていた。



「どこか行くのか?」


「いや、奈々から聞いたんだけど、あんたさ、ゲームやってるでしょ?私も同じの買ったから、その〜、使い方教えてくれない?」


「カン……田さんに教えてもらえばいいじゃん」


「な、なんか奈々は明日忙しいとかでー、ちょっと無理なんだって。だから……」


「まあ、いいよ」


「ほんと!?…よしッ!」



 佳純が何かを呟いて、ガッツポーズをした気がするが、よく聞こえなかったし、なんか怖いのでスルーしておく。



「どうする?俺が行くか、佳純が来るか」


「私が頼んだんだし、私が慶の家に行くよ」


「……自分で言っといてなんだが、俺一人暮らしだけど大丈夫か?」



 俺と佳純は家が近い上に、通っていた幼稚園も同じだったので、よく互いの家に行って遊んでいた。だから互いの家族のことも知っているのだが、佳純の父親がとても佳純のことを溺愛している。よって俺は佳純の父親から目の敵にされている。


 現在、佳純はこっちに住んでいる叔父の家に居候している状況なので、佳純の父親はいない。だが、この叔父は佳純の父親の弟だ。よって性格も似ている。イコール佳純を溺愛している。それこそ自分の子供と同じように。


 ということで、俺はあまり佳純の叔父の家には行きたくない。だからと言って、俺が一人で住んでいる所に女子を連れてくるのも、どうかと考えた結果、佳純の意見を尊重することにした。



「私は全然いいよ?慶が嫌じゃないなら全然ね」


「じゃあ俺の家ってことで……そういえば分かる?俺の住んでるとこ」


「……分かんない」


「今日って放課後は暇か?」


「別に暇だけど……」


「よし、じゃあ今日は一緒に帰るか」


「え!?」



 何をそんなに驚くことがあるのか。5、6年前は普通に帰ってたのに。なんか妙に周りもうるさくなってきてるし。え、もしかしてダメだったのか?またやってしまったのか?とても不安になってきた。



「い、嫌か?嫌なら別にいいんだが……」


「全然!全然嫌じゃないよ!ただ少し驚いただけだから……あはは……」


「そ、そうか?ならいいんだが……」



 こうしてなんとも不思議な空気で佳純との話は終わっていった。



◇◇◇



 翌日、午前中の内に佳純と、佳純の従兄弟の紗希(さき)が来た。紗希は佳純が居候している叔父の子供だ。昔は紗希の家も近かったのでよく遊んでいたが、こっちに引っ越してきてからはまったく遊んでいない。ちなみに紗希の年齢は俺たちの一つ下だ。



「なんだ、紗希も一緒だったのか」


「うちの親に一緒に行けって言われてね。まあ、仕方なくよ」


「紗希はやらないのか?」


「私はいい。ゲームはそこまで好きじゃないから」


「そうか。というか暇じゃないか?俺の部屋は何にもないぞ?」


「いいよ、色々持ってきたし。これで暇は潰せるから」


「てか、早く中に入らせてよ。寒いんだけど」


「あ、ごめん」



 俺は二人を中に案内した。俺は学校近くのマンションに住んでいる。部屋の中は黒を基調にした、割と地味な色の家具でまとめている。



「あれ、意外と綺麗なんだね。慶のことだからもう少し汚いと思ってた」


「おい、偏見がひどいぞ。お前は俺にどういうイメージを持ってるんだ」


「それは佳純と同意見」


「紗希もかよ!」



 佳純は早速準備を始める。俺も自分のものを用意しておく。紗希は勉強するみたいだ。



「はい、準備できたよ」


「よし、じゃあまずはこれを被って」



 俺はヘルメット型のVR機器を佳純に渡す。佳純には俺のベッドに寝てもらう。やむを得ない。VRゲームは長時間同じ姿勢で行うため、ベッドのような柔らかい場所に寝転ぶのが一番適している。



「電源を入れたらゲームが始まるから、あとは中の音声に従って進めてくれ」


「うん、分かった」



 俺が電源を入れると、佳純はそのままゲームに入っていったようだ。俺も急いでゲームを始めようとする。



「じゃあ俺もゲームを始めるから。お腹空いたら適当に何か食べてていいぞ」


「うん、分かった」



 俺はソファーに寝転び、ゲームを始める。これまでは俺が教えられる立場だったが、今度は俺が教える立場となるとは……。少しワクワクするな。



◇◇◇



 慶一郎がゲームを始めてすぐ、慶一郎の部屋を動く影が一つ。



「よし、二人ともゲームに入ったね」



 紗希は二人がVRの世界に入ったことを確認すると、すぐに行動を起こした。



「慶兄ちゃ〜ん!」



 紗希はベットに寝転ぶ慶一郎に抱きつく。このVR機器は現実世界で傷を負ったりすると起きる仕様になっている。だが、抱きつかれた程度では起きることはない。よってバレないのだ。



「もう〜、ずっと今まで我慢してたんだから〜」



 紗希はずっと前から慶一郎が好きだったが、同時に佳純も慶一郎のことが好きだということに気付いたので、その気持ちは表に出さないようにしていた。


 結局、そのまま引っ越してしまい、まったく慶一郎と会えない生活を送ることになる。


 だが、慶一郎が家の近くの高校に通うことを知り、とても喜ぶ。とはいえ、会うことも話すこともなく、今日に至る。



「ふう、このくらいで十分かな」



 しっかり慶一郎エネルギーを補充した紗希はちゃんと勉強に励むのだった。


連載16回目です。


とうとう佳純もゲームに参戦します。一体どんなゲームスタイルを見せるのでしょうか。次回は続きとなります。


もし面白いと思っていただけたら、応援、評価、ブクマ、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ