クエストに行ってみよう Part3
『もう、もっと早く気付いてよ』
「悪かったよ。まさか話しかけてるなんて思わなかったからさ。それで……何をすればいいんだ?」
『僕は光の精霊ルクス。まずは僕の力の本質について話すよ』
「いや、そんな悠長に話してる時間は無いんだけど」
こうしてる間にもショウとカンナはゴーレムと戦っている。だが、二人がかりでも苦戦している。このままでは先に二人がやられてしまう。
『まあまあ、すぐに済ませるから。ちょっとだけ、ね?』
「うーん……分かった。手短に頼む」
『僕の力は速度。望むなら君に光と同じ速さを与えることもできる。まあ、絶対に制御しきれないと思うけどね』
「速度か……。なるほど、あの子のさっきの動きはそもそも速度が上がってたのか。全然分からなかった……」
『そういうこと。まあ、リーベリは特別だからね。君にはあの子と同じだけの速度を渡すね。じゃあ頑張ってね〜』
ルクスの声はそのまま消えていった。割と手短に話してくれたみたいだ。だが、自分の速度が上がったのかはイマイチ分からない。試してみよう。
「二人とも待たせたな!後は任せろ!」
「ソラ!すまん、頼んだぞ!」
「すみません、ソラさん……。頼みます……」
カンナはだいぶ疲れているようだった。早く終わらせてあげなければ。
俺は剣を構える。ゴーレムも俺の方を向く。そして示し合わせたかのように俺とゴーレムは同時に動き出した。
その時、俺は先ほどまでとの違いを実感した。体が軽く感じる。段違いに速くなっている。
ゴーレムは右ストレートを放ってくる。俺はそれを避けてからゴーレムの股下をくぐり、背後に回る。まず、そこで一発斬撃をお見舞いする。だが、当然この程度ではビクともしない。
ゴーレムは背後の俺を吹き飛ばそうと、左足で後ろ蹴りを繰り出す。俺は空蝉で上空に回避をする。ゴーレムもそれに気付いて、もう一度右ストレートを放ってくる。
だが、どうやら俺の頭の回転も速くなっているらしい。これからどこに回避をすればいいか、すぐに考えることが出来る。
「終わりだ、ゴーレム」
俺はニヤッと笑みを浮かべた。
◇◇◇
俺――ショウは今とんでもない光景を目にしている。つい最近ゲームを始めた友達が、俺でも勝てないほどのモンスターを圧倒しているのだ。
ゴーレムが普通のゴーレムではあり得ないほど速く動く中、ソラはその動き全てにしっかり対応し、あろうことか少しづつダメージを与えているのだ。
さっき突然闘い始めた女の子もそうだったけど、今のソラも動きがとても軽やかで、尚且つ相手の動きを完全に読んでいるようだった。
「すげえ……」
思わず声が出てしまう。だが、現実にこんな場面を見てしまえば誰だってこうなると思う。もはや人間業ではない。
ゴーレムのHPはどんどんと減っていく。俺たち二人がかりでも全く減らなかったのに、今はソラが一度斬れば確実にダメージを与えている。これも光の精霊剣の力だろう。
そしてついにゴーレムへ最後の一撃が振り下ろされる。その一撃をくらったゴーレムは膝をつき、活動を停止した。
俺はソラの姿を呆然と眺めるしかなかった。
◇◇◇
ゴーレムを倒した俺はショウとカンナの元に向かおうとした。だが、俺は途中で膝をついてしまった。無理矢理頭の回転を速くした弊害だろうか。とてもひどい頭痛がする。
「ソラ!」
「ソラさん!」
たしか人体に危険が及ぶと強制ログアウトされるシステムだったと思うが、今は特にその様子はないので危険な状態ではないのだろう。
と、2人よりも先にリーベリが俺の元にやってきて、俺の頭を触った。すると、頭の痛みがスーッと引いていった。
「大丈夫か、ソラ?」
「頭が痛いんですか!?」
「いや、もう大丈夫だ」
俺は立ち上がり、ピョンピョン跳ねることで無事を知らせる。2人はホッとした表情をしていた。
「お疲れ様。じゃあついてきて」
リーベリはそう言うと、また歩き出した。まだ続くのか、と思いつつも、俺たちはついていくことにした。
この先には何があるのだろうか。もしかして、また強いモンスターが出てきたりするのだろうか……。
「この先はモンスター出てこないから安心していいよ」
ねえ、やっぱりこのゲームには人の心を読めるスキルとかあるの?前は欲しいと思っていたけど、今はすぐに消してほしいと思う。なんかムカつくからだ。
連載14回目です。
光の精霊と対話することで覚醒したソラ。ようやくゴーレムを倒すことができました。次回はクエストの続きです。
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