クエストに行ってみよう Part2
「クエストってこんな感じでしたっけ?」
「いや、少なくともクエストを受けるか、受けないかの確認は出るはずだ。だけど、そんな確認は出てなかったよな?」
「ああ、あの子に話しかけた時は全然話してこなかったし、話したと思ったら意味が分からないことを言ってたからな」
「なんて言ってたんですか?」
「『あなたは本物?』だってさ。意味が分からないだろ?」
「本物……か。うん、分からないな」
「そうですね……私もクエストは初めてですから、何とも言えないです」
「まあ、ついていったら何か分かるだろ。ちょっと雰囲気も変わってきたしさ」
周りを見ると、さっきよりも薄暗くなっている気がする。それに植物の種類も全然違う。おそらくあの子についていかないと来ることができない場所とかなのだろう。
すると、さっきまで勝手に歩いていた女の子が急に立ち止まった。俺たちも同じ所で立ち止まる。すると、彼女は俺の方を見てきた。
そして、
「気をつけてね」
「え?」
その瞬間、地面がゴゴゴ...と大きく揺れ出した。そして、前の地面が浮き上がり、大きな土と岩の人形になった。その高さは俺の3倍はありそうだった。
「あれは……ゴーレムか?」
「ゴーレム?」
「土とかで出来た人形のことです。それにしても、この大きさのものは初めて見ました……」
ガーディアン・オブ・レーナスと書かれているそのゴーレムは目と思われる所を赤く光らせて、こちらに襲いかかってきた。
「避けろ!!」
俺たちはショウの声で一斉に後ろに跳ぶ。
「カンナ、援護を頼む!」
「はい!」
「ショウは……適宜動いてくれ!」
「お、おう。なんか雑だな」
俺は2人に指示を出して、前に走る。俺の役目はゴーレムの注意を引くことだ。幸い、ゴーレムは動きが鈍いので、攻撃は難なく躱せた。
しかし、俺の攻撃は全く効いていなかった。
「硬ッ!」
「ゴーレムは動きが遅い分、HPと防御力が異常に高い!生半可な攻撃じゃ倒せないぞ!」
そう聞いた俺は回避に専念することにした。光の精霊剣の特殊効果で攻撃力を高めるためだ。最大でどれだけ強くなるのかはまだ分からないが、今から試せばいいだけの話だ。
◇◇◇
それから俺は何回か回避しては斬って、また何回か回避しては斬ってを繰り返した。だが、まだ有効というほど攻撃力は上がっていない。
後ろからはショウが弓矢でカンナがスキルで援護をしてくれるが、ゴーレムのHPは3分の1も減っていなかった。この前、俺とショウが戦ったアンデッドドラゴンとは比にならないくらいのHPと防御力の持ち主のようだ。
「堅すぎだろ……。全然倒せねえよ……」
「HPがまったく減ってないです……」
「2人とも頑張れ!倒せない敵じゃない!」
俺は2人を励ましつつ、ゴーレムの動きを読む。人形と言われるだけあって、その動きはとても単調だった。これなら俺もほぼ読むことができた。
と、その時だった。急にゴーレムの動きが速くなったのだ。まるでさっきとは違う生物のようだった。
俺はギリギリ飛んできたパンチを空蝉で躱すが、ゴーレムはすぐにもう一つの手でパンチを繰り出した。そのパンチが直撃した俺はとてつもない速さで吹っ飛ぶ。
「ソラ!」
「ソラさん!」
大きな木にぶつかって、俺はその動きを止める。HPが残りギリギリだったので、俺はすぐにポーションで回復する。
だが、勝てない。決して越えられない高い壁。俺は短期間にそれを二度痛感した。だが、めげている場合ではない。こうしてる間にも、2人は戦ってくれている。
俺は立ち上がって、ゴーレムの元に戻ろうとした。その時、女の子が俺のそばにやってきた。
「それじゃあダメ。また攻撃をくらって終わり」
「でも、行かなきゃいけないだろ」
「もっと使い方を考えないと」
「使い方?」
「貸して」
女の子は俺の剣を持って、ゴーレムの方に走っていった。俺も最初は訳が分からなかったけど、すぐに彼女を追いかける。
「おい、待てって!」
「どうした!ソラ!」
「え?あの子、なんでソラさんの剣を持ってるんですか……?NPCってあんな行動しないですよね?」
女の子は俺の制止も一切聞かず、ゴーレムに斬りかかる。当然、キンッという音とともに弾き飛ばされる。ゴーレムは狙いを彼女に変えて殴りかかる。
「危ないッッ!!」
俺がそう叫んだ時には、既に彼女は攻撃を避けていた。そして、それからは圧巻だった。ゴーレムがどんなに攻撃を仕掛けようとも、彼女はいとも容易く躱していく。それはまるで舞でも舞っているかのように軽やかだった。
そしてある程度の所で彼女は再び剣を振り下ろす。すると、これまたいとも簡単にゴーレムの体が斬れた。HPも一気に削れている。
彼女はそれで満足したのか、また俺の所にやってきた。
「はい、返すね」
「君は一体……」
「あなたは本物だった。けど、その力をしっかり使いこなせてない。もっと声を聞いてあげて」
「声?」
「ほら、また動き出したよ」
ゴーレムは彼女めがけて、その拳を振り下ろす。俺は彼女を抱えて、その攻撃を回避する。
俺は女の子が言った通り、声を聞くことにした。正直、全然意味は分からないけど、やってみるしかない。
「ショウ!カンナ!もう少しだけ2人で耐えてくれ!」
「了解!」
「分かりました!」
俺は目を閉じて、耳を傾ける。聞こえるのは戦闘の音。ショウが弓から剣に持ち替えてゴーレムを斬る音、カンナがスキルで攻撃する音、ゴーレムが動く音。
それに混じって、何者かの声が聞こえた。今ここにいる誰のものでもない、確かな声が。瞬間、俺は悟る。今まで俺を導いたのはこの声なんだと。
そう思うと、声は今までよりも大きくはっきりと聞こえた。それは幼い男の子のような声だった。
『やっと聞いてくれたね』
連載13回目です。
少女についていくと、とても強いゴーレムに会ったソラたち。果たしてゴーレムを倒すことができるのでしょうか。次回はゴーレム戦とクエストの続きです。
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