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異世界でもうちの娘が最強カワイイ!  作者: 皇 雪火
第7章:エルフ王国 救出編
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第227話 『その日、精霊の森へ立ち入った』

「盟友様、行ってらっしゃいませ」

「ありがとー」


 私達は今、『精霊の森』入り口前にいる。

 『精霊の森』は、ダンジョンの様に別世界への入り口の様になっている。その為ここ以外から近付いても、中に入る事は叶わずいつの間にか別の場所へとワープしている不思議仕様だ。

 正面以外から入る事はできない為、監視も正面だけで済むのはお得よね。


「アリシア、緊張してる?」

「はい。ですが、お嬢様が一緒ですから」

「んふ」

「ねえ、私も一緒でいい訳? 2人の邪魔はしたくないんだけど」

「いいのいいの。ちょっと確認したいこともあるからさ」

「ふうん?」


 2人の手を引いて『精霊の森』へと侵入する。

 ダンジョンと同じ様に、門を潜ると周囲の空気が変わったことを知覚する。それと同時に、清涼な風と朗らかな陽気が、私の肌を優しく撫でた。

 視界に広がるのは華やかに咲く色とりどりの花達。懐かしくも夢見た、あの時と同じ……。いや、似た景色だ。


 そう。『精霊の森』と名を冠しているにもかかわらず、ここには誰もいないのだ。

 この森からは、精霊の気配がまるでなかった。


「ここが……『精霊の森』」

「静かなものね」

「……やっぱり。素敵な場所なのに、寂しい空間だわ」


 寂しさを感じているのは、精霊が居ないからだけじゃない。

 私が()()に過ごした場所が、遠くに見えているからだ。


「お嬢様?」

「ん」


 寂寥感をごまかすために、アリシアの手を握る。


「スピカ、出て来なさい」

『~~!』

「良かった。精霊が入れない訳ではないのですね」

「ええ。ただ、契約精霊しか入れないのは、この森に問題があるからなの」


 本来、この森を管理しているはずの上位精霊が、エルフの国で空位となっているからだ。

 その席は、シルヴァちゃんが契約している精霊をランクアップさせれば、管理を任せられそうだけど……。その前に、うちの子を上位精霊にしてあげたい。

 それは親心から来るものもあるけれど、本命はこの地に溜まった、数百年分のエネルギーだ。溜まりに溜まったそれを使えば、この子はより強力な上位精霊へと進化してくれることだろう。


 必要なアイテムは準備している。あとは、進化の為の祭壇が、この森の奥にある。

 私の()()を迎えた、あの場所の奥に……。


「シラユキ、大丈夫?」

「ん、ありがと」

「辛いなら、迂回していきましょ」


 もう片方の手をミーシャが握ってくれる。


「……そうしよっかな」


 ミーシャが先導するように、遠回りの道を進んでくれる。


 まだ、あの場所を直視するのは、辛いかもしれないわ。

 うん、気を取り直して行こう。

 祭壇へ。



◇◇◇◇◇◇◇◇



 遠回りと言っても、『精霊の森』はそこまで広い空間ではない。

 10分程度で、その目的地に到着した。


 精霊王を模した石像と、その両手から溢れる水源が、小さなため池を形成している。

 この水源は、この地でしか採れない貴重なもの。あとでいくつか瓶に分けて、汲ませてもらおうかな。


『~~??』

「そうよ、この石像は精霊王。精霊の頂点に位置するお方よ」

『~~~』

「そうね。今は存在しないと云われてるわ」

『~~?』

「ふふ、私が王様? そんな訳ないでしょー」

『~~』


 スピカの頭を撫でつつ、必要な素材を取り出す。


 『世界樹の葉』『世界樹の実』『女神の聖水』。そして、目の前に広がる『精霊の清水』。

 最後に、私の魔力を籠めた純粋な魔力の塊。……これで、準備は整った。


 ミーシャとアリシアは、空気を読んで下がってくれる。


「スピカ、これからあなたを進化させるわ。準備は良い?」

『~~~!!』


 ―平気だよ!―


「それじゃ、始めるわ」


 純粋な魔力の塊に、順番に素材を放り込んでいく。

 すると、素材に秘められた力が魔力の中へと溶けだし、合わさり交わっていく。


 その力に呼応するかのように、像が輝きを放った。


『~~!!』


 スピカが意を決して、魔力の塊へと飛び込む。

 その瞬間、世界は光に包まれた。



◇◇◇◇◇◇◇◇



 どれくらいそうしていただろうか。

 一瞬か、それとも数分か。眩い光と共に溢れ出る魔力に全身が飲み込まれ、揉みくちゃにされた様な感覚を覚えた。

 光りが収まり、目を開ける。すると、そこには成長したスピカが佇んでいた。手乗りサイズだったはずの彼女は、今やシラユキちゃんと同じくらいの……。ううん、よく見たら浮いてるから、身長としてはリリちゃん達と同じくらいかも。


「シラユキ?」

「スピカ?」

「わーい、シラユキ! お話しできるー!」


 スピカはハートを振り撒きながら抱きついてくるので、大きくなった彼女の頭を撫でてあげる。あ、赤ちゃんみたいにすべすべで柔らかい。ふふ、産まれたてだからかしら。


「言葉、喋れるのね?」

「うん! いっぱいお話しよ!」


 ああ、聞き間違いではない。念話ではなく、しっかりと彼女の口が、言葉を話していた。

 あれれ、でも、上位精霊でもこんな流暢に言葉は話せなかった様な……?


 彼女をしっかりと観察してみる。


**********

名前:スピカ

種族:精霊王

レベル:60

説明:女神に仕える精霊種の王。女神の寵愛を受けた身で、『精霊の森』に眠っていた力を全て吸収したことで神格を得た。精霊が扱う全ての権能を使役可能

**********


「ほわぁ?」


 な、なぁにこれぇ?


「ミーシャ、みてみて。スピカが上位精霊も大精霊もすっ飛ばして、精霊王になっちゃった!」

「う、うん……」

「スピカ様が言葉を……」


 ミーシャは最近よく見る呆れ顔だし、アリシアは今にも跪きそうな恍惚とした表情をしている。

 シラユキちゃん、またなんかやっちゃったかも?


 うーん、でもまあいっか! 強くなるに越した事はないもの!

 それに……。


 元気にはしゃぐスピカの背後で、ふわふわと浮かび上がる、半透明の()()()()()を見る。


********

名前:精霊王の抜け殻

説明:精霊王スピカが脱いだ抜け殻。神の力を宿すそれは、扱いを誤れば国すら吹き飛ばすほどの力を蓄えている。世界に一つしかない秘宝。

********


 小雪を作成するためのキーアイテム、2つ目ゲット!


『おめでとう、マスター』

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― 新着の感想 ―
[良い点] おや?なんか世界に本格的に女神認定されてない? イフリートが気になること言ってたし、もしやゲーム自体が新しい女神を選定するための機構だった可能性すら出てきたぞ? [気になる点] あんまりこ…
2023/05/03 01:56 退会済み
管理
[一言] シラユキ印の聖水に加えて、またしても超レアアイテムGET。小雪ちゃんも着々と女神への道を・・
[一言] シラユキはやっぱりシステム処理上では女神なのかw
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