第152話 『その日、お風呂で堪能した』
ダンジョンの魔物は、ドロップをその場に落とす。魔石とか武器とか素材とか。
でもボスの場合は、宝箱に入れられて出現する。
その過程で、元の体は魔力に還る。なので引き抜いた魔石は消えて無くなるはずなんだけど……。まだ残ってるわね。
これってもしかして、増殖出来るのかしら? 方法はまだ確定していないし、たまたまの可能性もあるけど、もしコレが狙って出来るのなら、上位のボスが出てきた時美味しいわね。単純に報酬が2倍になる様なものだわ。
「時間のある時にでも検証しよっと」
そう心に決めていると、見守っていたソフィー達が駆け寄ってきた。
「シラユキ! 手、大丈夫!? 溶けてないわよね?」
「シラユキ姉様の動き、目で追いかけるのがやっとでしたが、ミカエラ様と戯れ合っていたというのは本当だったのですね」
「お嬢様、流石でございます」
「皆ありがと。案の定余裕だったけど、参考になったかしら?」
アリスちゃんはうんうんと頷いてくれた。私が近距離戦でも強いってことを、ちゃんと理解してくれた様ね。
決闘のルールを決めた時以来、アリスちゃんは多人数で畳み掛けられた場合を想定して、私が組み伏せられないか心配してくれていたのよね。これでちょっとは安心してくれると嬉しいんだけど。
「シラユキ姉様! 今のはどう言う技なのですか? スライムを素手で倒せる人なんて、聞いたことがありません!」
興奮するアリスちゃんには、既に魔法の授業として、魔力コーティングの事を教えていたので、それの復習と共に、スライムの捕食行為についての説明をした。
「スライムに手を突っ込むなんて正気の沙汰じゃ無いと思ってたけど、気付かれる前に魔石を引っこ抜くだなんて……。うん、やっぱり正気じゃ出来ないわ」
「んー、でもこのくらいのスライム相手なら、アリシアやミカちゃんでも同じことが出来そうだけど」
「お嬢様ほど速くは動けませんが、本職であれば可能かと」
「うわぁ、アリシア姉様すご」
「ちょっとソフィー、私は?」
「シラユキは最初から全部すごいわよ」
「えへ」
「はい、シラユキ姉様はもっと凄いですよ!」
あら、アリスちゃんから感じる視線の種類が変わった? 尊敬の度合いが、上がってるような……? 今なら、もっと積極的な愛情表現も受け入れてくれるかしら。
「それよりも、もう初心者ダンジョンをクリアしてしまったのね。今まで挑戦してきたなかで、一番心地よくて楽しい時間だったわ」
「それは良かった」
「はい。ダンジョンを制覇した時は、誰もが疲労を抱えるものだというお話も聞いていましたから、なんだか拍子抜けです」
まあ魔力の回復手段が乏しい環境だと、息切れもするでしょうね。この世界における戦闘は、ハクスラのような雑魚を一掃しつつ数をこなして経験を積むのとは違って、一戦一戦を大事な糧として戦っては休んでを繰り返すもの。
だから序盤の魔力が少ない時期ほど、魔法使いなどの後衛職は息切れが起きやすい。レベルが上がれば魔力も回復するという特典はあるが、パーティシステムがなければ戦闘での貢献も少なく、ちゃんと当てて倒さないとレベルアップする機会も少ないわけで。
まあ、そんな環境で戦うのを強いられるのは、しんどいわよね。同情しちゃうわ。
「あっ。これがシラユキやフェリス姉様が言っていた魔法陣ね。早速使うの?」
「今回はパスね。抽選で出る物の中に、とっても欲しいと思える様なものもないし、珍しいものほどでにくいし。中級ダンジョンに入って直接狙った方が確実だわ。さ、出ましょ」
何か言いたげなソフィーやアリスちゃんの背中を押して、魔法陣よりも奥に出現した脱出用ポータルへと入る。乗ったものから順番に光の粒子へと変わり、ダンジョン入り口へと排出されるシステムだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「「「お帰りなさいませ、シラユキ様」」」
「ただいまー」
ナンバーズが出口で待ち構えていた。
ずっとここに待機していたのかしら。仕事熱心ね、ちゃんと休めたのかしら?
空を見上げると、まだ日は暮れていない。澄み渡る青空が広がっていた。そう思っていると、視界にウィンドウが表示される。
『クリア時間 58分54秒』
「ん? ああ、クリアタイムね。まあのんびり歩いてたし、こんなもんでしょ」
「ええ!? 確かに楽しかったけど、あんなにゆっくり進んで1時間を切ってるの!?」
「あ、これって早い扱いなんだ?」
「……初等部から高等部に進学する際、3時間以内にクリアするのが、Aクラス以上に入るための課題になっているのよ」
「うわぁ……。しかもそれ、人数制限はどんな感じよ」
「12人よ」
「うわぁ……」
ドン引きである。
ソフィーもアリスちゃんも、1時間以内にクリアしたことが驚きなのか、改めて疲れがないことを申告してきた。
「じゃあ、まだ余裕があるのよね? だったらもう一周しましょうか」
「「ええっ!?」」
「承知しました、お嬢様」
アリシアは察していたらしく、既に準備万端だった。集まった素材を見て、私が物足りなさそうにしていたのに気付いたとか、そんな感じなのだろう。たぶん。
「と言うわけだから、貴方達も休暇は延長ね。1時間以内にまた戻るわ」
「「「いってらっしゃいませ」」」
困惑する2人の背中を押し、再びダンジョンへと入場するのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……疲れたわ」
「……疲れました」
部屋に帰り次第、2人は机に突っ伏してしまった。あの後、追加でさらにもう1周したのが堪えたのかしら?
肉体的な疲労や魔力消費による精神の摩耗ではなく、心の疲労はどうしようもないわよね。
でも、その甲斐あってか2人のレベルはしっかり上昇してくれたわ。
『観察』
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名前:ソフィアリンデ・ランベルト
職業:魔術士
Lv:25→27
補正他職業:魔法使い
総戦闘力:1119(+10)⇒1200(+10)
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名前:アリスティア・フォン・エルドマキア
職業:魔法使い
Lv:1→17
補正他職業:なし
総戦闘力:105⇒585
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あと、アリシアも。
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名前:アリシア
職業:神官
Lv:21⇒24
補正他職業:剣士、格闘家、魔法使い、狩人、シーフ、武闘家、魔剣士、魔術士、レンジャー、暗殺者、ローグ
総戦闘力:1671(+210 +430)⇒1803(+210 +430)
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ふふ、初心者ダンジョンなんて最序盤のダンジョンでも、周回すればそれなりに成長できるわね。
そしてそんな疲労は、頑張りが数値として見えれば吹き飛ぶはず。そう思って彼女達に、どれだけレベルと総戦闘力が成長したのかを紙に書いて見せてあげた。
その結果疲労より驚愕が上回ったけど、アリスちゃんは困った表情のまま固まってしまったわね。
「どうしたの?」
「こ、こんなに成長してしまって、良いのでしょうか……」
「成長することに悪いことなんてないわ。今まで馬鹿にして来た連中を見返すのなら、やっぱりある程度の地力は必要だし、何よりこの成長は今日までの努力に見合ったものよ、胸を張りなさい」
「は、はい……」
アリスちゃんは一番急成長したものね、困惑するのも仕方ないか。
あと、急激な成長は心身に影響を及ぼすから、それも関係しているのかも。
「アリシア姉様、私と同じハイランクの職業で、レベルも私の方が高いのに、総ステータスは凄い差なのね」
「それがアリシアの、今までの努力を積み重ねてきた結果よ。同じレベル帯で比べた時、差が出るのはやっぱり他職業の補正の存在が大きいからね」
「ありがとうございますお嬢様。ですが、それよりもお嬢様が用意してくださった装備の恩恵が凄まじいです。お嬢様には感謝しかございません」
「もー、大袈裟ねぇ。装備の恩恵を如実に受けるのは最初だけよ。それなりのレベルになれば、こだわる人以外からすれば誤差みたいなものよ?」
「それでもです。お嬢様、ありがとうございます」
「うぅ……アリシアー!」
「お嬢様ー!」
「また始まった……」
ソフィーが遠い目をし始めると、遊びに来ていたココナちゃんが労いの言葉をかける。
「はわわ、皆さんお疲れ様なのです」
「あはは、ありがと、ココナちゃん」
「ココナちゃんもいつか一緒に入りましょうね」
「はいです! 楽しみなのです!」
ココナちゃんの耳や尻尾を撫でて癒された後に、ブラッシングをしてあげる。彼女の髪質は、出会ってすぐはゴワゴワしてた部分もあったけど、私達と生活を共にしたり、寮のお風呂に毎日入れる様になった関係で、しっとりさらさらになったわね。
「それでココナちゃん、どうだった? 調合の成果は。放課後もお部屋で頑張っていたんでしょ?」
「はい、まだ完成には至れていないですが、スキルはたくさん上がったのです!」
「そう。スキルが10を越え始めたら安定して作れ出すわ。それまで素材が飛んでいくと思うけど、頑張ってね」
「はいです!」
ブラッシングを終えたココナちゃんを、膝の上に乗せて抱きしめる。はー、ふわふわのモコモコね。
あっ、そうだ。
「ココナちゃん。久々に、一緒にお風呂入りましょうか。洗ってあげるわ」
「は、はいです!」
「アリスちゃんも来なさい。今日は疲れたでしょ」
「わ、分かりました」
少し緊張した素振りを見せながらも、アリスちゃんはゆっくりと立ち上がった。うんうん、今日はアリスちゃんの白いお肌を堪能しよーっと。
さて、残るは……。
「……私は、まだ無理」
「そっか……残念だけど、無理強いはしないわ。あれ? 見られるのが恥ずかしいなら、ソフィーって寮内にある大浴場に入れないんじゃない?」
「そっちは入れるわよ。というか、私がそんな所に行ったら、きっと皆遠慮しちゃうじゃない」
「??? なんでそっちは入れるの?」
「……あんたに裸を見られるのが恥ずかしいのよ。言わせないでよ、こんな事」
ソフィーが顔を真っ赤にしてボヤいた。もう、そんなカワイイ理由だなんて、全力で愛でたくなるじゃないのっ。
私はソフィーに飛びつきたい衝動を抑えて、お風呂場へと向かった。
アリシアとはいつも入っているけど、4人同時となるとちょっと手狭に感じちゃうわね。まあでも、ココナちゃんもアリスちゃんも、どちらも小柄だし窮屈と言うほどではないわね。
脱衣所では率先して服を脱ぎ、髪はアリシアに巻いてもらってから風呂場へと突入する。そして追いかけて来た彼女達の身体を順番に眺める。
アリシアは相変わらず綺麗でボリューミーな身体をしているわ。でも私の身体を直接見るのは、尊すぎて辛いらしく、お風呂に入るときは脱衣所に入った瞬間からお風呂から上がって着替え終えるまで。ずーっと目を閉じている。そんな状態でも支障なくお風呂に入れるだなんて、職業には現れないアリシア独自のスキルよね。目を閉じてる理由がなんともカワイらしいけど、やってる事は凄いのよね。
ココナちゃんは相変わらずモコモコの尻尾が特徴的だ。獣人の女の子って、別に全身が毛に覆われてるわけでもなく、耳や尻尾が生えてるだけの人間だ。獣の血が濃ゆいとそうでもないらしいんだけど、ココナちゃんは至って普通なのだ。
まぁ、尻尾が何本もあるので、体積というか使っている空間の量は2人分あるのかもしれないけどね。
そしてアリスちゃんは……。
「アリスちゃんのお肌、髪の様に真っ白でとても綺麗ね」
陽の光に弱そうなほどに真っ白なお肌に、お人形さんの様な整った顔立ち。胸もお尻も小振りだけど、プニプニしていて柔らかいわ。ツンツン。
「ひゃうっ!」
学園の制服ではカワイらしい女子生徒というイメージしか付かないけれど、ちゃんとしたドレスを纏えば、か弱くて儚い、だけれど目を離せない美しいお姫様に変身出来るスペックがある。いや、実際彼女はお姫様だったわね。
ゲーム内には公式で『守ってあげたい美少女NPCランキング』なるものがあったけれど、彼女が生きていれば第1位に入り込んでいてもおかしくはないわね。
「シラユキ姉様もお綺麗です。名に恥じない綺麗なお身体ですし、スタイルも良くて……。羨ましいです……」
「ふふ、ありがと。アリスちゃんだって食べちゃいたいくらいカワイイわ」
「た、食べ……? んんっ!?」
まだまだ初心な子だから、優しめのキスをしてあげる。でも、裸同士でとか、身体を洗いながらとか、ちょっと特殊な環境下だけど。
でも驚かれたけど嫌がっている様子はないわね。うん、ソフィーの言う通りだわ。
口を離すと、顔を真っ赤にしたアリスちゃんと目があった。
「こんな風にね」
「シラユキ姉様……」
「はわわ」
動けなくなったアリスちゃんを相手に、まずは正面から隈なく洗い、堪能する。そして今度は後ろに回って背中やお尻を順番に磨いていく。
そうしているとアリスちゃんは段々と我に帰り始めた。まぁ時々、くすぐったいのかカワイらしくていじらしい、くぐもった声をあげるんだけど。
無言で洗い続けるのもなんだし、お話ししましょうか。
「アリスちゃんは、雪を見た事あるんだ?」
「……あ、はい。昔、お父様に北方領土へと連れて行ってもらったことが有りますから」
「そっかー」
北方領土。ダンジョンで忙しいレンベルト侯爵家が治める地。北方というだけあってか、それなりに寒い地域で、北端へと行けば雪国の景色や氷原が見られる。
そこでは遭遇する野生動物の中に、ペンギンとかアザラシとかもいたなぁ。ぬいぐるみを持っていた様に、私は小動物が大好きなのだ。小雪もそうだと思うし、いつか行ってみたい。そして出来るなら、飼ってみたい。
そうしてアリスちゃん、ココナちゃんの順番で泡まみれにしたあとアリシアの身体も磨く。先程までの小柄な子達の後だからか、余計にアリシアの大きさに目が行った。毎日この2つの山を、好きにしたり甘えたりしているのかと改めて意識すると、ちょっとドキドキしちゃう。
このドキドキが伝わっていないかとアリシアを伺うも、相手はもっと余裕がなかった。
何故ならアリシアは、直接私を視られないだけでなく、主人に洗ってもらうという行為にひどく興奮をしているのだ。普段のすました表情はバイバイしている。
うん、何かに耐える様に顔を赤くしてプルプル震えている。
私の裸体を直接拝むのは恐れ多いとか、忠誠が飛び出すとかで、欲望に負けない様必死に耐える必要があるらしかった。別に我慢しなくても、アリシア相手なら襲われても良いのに。そう伝えると、以前アリシアはオーバーヒートしちゃった。
出会ってすぐは普通にしてくれていたのに、最近ずっと、お風呂の時だけこんな感じなのよね。何か心の変化があったんだろうけど、もっとイチャイチャしたいわ。
私からお願いすればアリシアは見てくれるんだけど、出来ればアリシアの意思で見て欲しいしね。
先日、私とくんずほぐれつを経験したけど、それも最後まで致した訳では無いからか、あの時熱に浮かされていたからかは分からないけれど、シラフの今、裸を見るのは別の話みたい。難しいわね。
「次は私を洗ってね」
「「「はい」」」
その後は、3人から全身をくまなく洗ってもらい、皆で湯船に入った。ふぅ、気持ちよくて心地よくて、さいこー。
湯船に浸かる時は、皆バスタオルで身体を隠すらしくて、その時だけアリシアは、一時的に目を開けてくれる。聞く所によると、極東にある和国なんかでは、温泉でのバスタオル着用はマナー違反とされているみたいだけど、こちらではそう言うのはないらしい。
ひとまずの目標としては、和国に遊びにいくまでの間には、アリシアとの仲をもっと進展させなきゃね!!
「お嬢様? どうかなさいましたか」
「ううん、なんでもないわ」
普段と違って察しの悪いアリシアに微笑みつつ、体が温まるまで他愛のない話をして過ごす。けど、のぼせてしまう前にお風呂から上がらなきゃね。
そんな感じで満喫した表情で着替えて戻ると、リビングではソフィーが、キンキンに冷えたジュースを用意して待っていてくれた。
果物を絞る所から始めたものだから、鮮度も糖度も最高。まるで高級レストラン並みの濃厚な味わいだったわ。
しかもソフィーの手作り。
うん、プレミア価格つきそう。
「ありがと、ソフィー。とっても美味しいわ」
「美味しいです、ソフィア姉様」
「良いのよ。これも練習になるし、やってみると意外と面白いから」
アリスちゃんの修行に合わせて、ソフィーも成長しているみたい。どんどん知識を吸収して、あれこれ実践出来ないか試しているわ。特に最愛の姉が使っていた氷の属性に関しては、昔から間近で見ていた分、やれる事ややってみたい事の種類が他よりも多いみたい。
ジュースで喉を潤し、スピカにも分けて上げる。そうしていてふと、思ったことを聞いてみた。
「ねえソフィー、今からお風呂、1人で入ることになるけど、平気?」
「何が?」
「寂しくない? 一緒に入ってあげよっか??」
「寂しくないし泣きもしないわ。シラユキじゃ無いんだから。それに1人でのお風呂も悪くは無いのよ。考えを整理するにはもってこいなんだから」
「そっかー。話し相手が欲しくなったら呼んでね? 此処からでもちゃんと聴こえるから」
よかった。私も最初は1人だったけど、今では誰かと一緒じゃ無いと嫌だもん。って言うか、身体を洗うなら誰かに洗ってもらったほうが気持ちいいし。
「……聞こえてることはちゃんと理解していたのね」
「? 何が?」
「……しらない」
ソフィーはプイッと顔を背けてしまった。なんだろ??
そう思って周りを見ると、皆顔を真っ赤にしていた。アリシアも少し恥ずかしげだった。
「ソフィア様、つかぬことをお聞きしますが……」
「今日だけじゃなく、毎日聞こえているわ」
「……抑えているつもりでしたが、まだまだ自制が足りなかった様です」
「???」
不思議に思っていると、アリシアが耳打ちして教えてくれた。なんでもお風呂の声は結構響くので、私が洗っている時、皆から声が漏れ出ているんだとか。お風呂の声は反響して響くから、外にいるソフィーとしては居た堪れない空気になる、と。
思えば確かに、私が洗うと皆……。うん。
リリちゃんだけは楽しそうにして、たまにくすぐったそうにするけど、他の子達は皆、抑えてはいたけどカワイイ声をあげていた気がする。洗ってる私は楽しくなっちゃって、あんまり意識してなかったけど、思い出したら皆艶めかしい雰囲気を出していたわ。アリシアなんて特に。
ただアリシアは、目を閉じてるせいで、感覚が鋭敏になっちゃってる気がするのよね。恥ずかしがった結果、余計に恥ずかしい事になってると……。ふむふむ。
「なるほど、ソフィーが何を言いたいのか分かったわ」
「えっ? 分かってくれたの?」
ソフィーが心底驚いた様な顔をした。んもう、心外ね。私にだって人の心はあるのよ。
「ソフィーだけお風呂の外にいたから気不味い雰囲気を感じるし、気恥ずかしいのよね。みんなで一緒に入れば恥ずかしく無いわ!」
「そ……そういう問題じゃなーい!」
ソフィーの怒声が響き渡った。
えー? 妙案だと思うんだけどなー。
『みんなのお肌、堪能したわ!!』
この作品が面白いと感じたら、ページ下部にて評価していただけると嬉しいです!




