8話 大好きなオムライス
前回のあらすじ:
パパとママは、素敵な夫婦
今日、2度目の投稿です。
丸い大きなテーブルに、ボクら6人全員、席についたよ。
パパさんとママさんは隣同士で仲良しだね。
ボクはカレンの左側だよ。
メイはカレンの前に座ってる。
パパさんの隣には、メイはいないよ。
さて問題です。
アリの右側には、誰が座ってるでしょう。
答えがわかった人は、感想欄にコメントしてね!
それからボクらは、みんなで自分のオムライスにケチャップで落書きしたんだ。
ボクは、ネコの似顔絵。すっごく上手に描けたよ!
ボクは、器用だからね。スプーンだってお箸だって、ネコの手でもちゃんと使えるんだ。
アリの小説の挿絵、ボクが描こうかな?
アリは、オムライスに自分の名前を書いてるよ。
アリってば、何にでも名前を書くんだよね。
カバンでしょ。タオルでしょ。釣り竿とかバケツとか。洋服にも書いてる。
パンツにも書いてるんだ。
それどころか、ボクにまで名前を書こうとしてたしね。
大切だからって言ってた。ちょっと嬉しくて照れちゃったけれど、パンツと同じ扱いだよ?
メイは何を描いたのか、謎だよ。ぐちゃぐちゃだ。
「メイ、それは何?」
「ぼうけんしゃ!」
よーく見ると、ぐちゃぐちゃなケチャップが血しぶきみたいに見えてきた。
そうなの? 戦闘シーンなの? よくわかんないけれど……
「……メイ。小説の挿絵、描く?」
「えぇー! ボクが描きたかったのにぃ〜」
編集長だけじゃなく、イラストレーターの地位まで取られてなるものか!
「メタ、いっしょにかこ〜」
「……メタ、大人げない……」
「う、うん……」
な、なんてこと……
メイはすごくイイ子だよー ボク、ちょっと恥ずかしい……
気を取り直して、カレンのオムライスを見たよ。
「カレンのオムライスの花柄、素敵だね!」
「今日のパンツの花柄。お気に入りなの。見る?」
カレンは、スカートの裾をつまんだよ。
ボク、またもや、地雷を踏んだみたい?
「それじゃ、パパは、シマシマ柄にしなくちゃだ」
パパさん、オムライスに縦縞の線を引いたよ。
知らなくて良い情報をありがとう!
「それじゃ、ママは、リボンとレースと……」
この夫婦、ちょっとどうなの?
きっと普段から、家族の食卓はこんな感じなんだろうね。
ボクやアリが居ても、それが変わらない。
ボクらのことも家族って思ってる証拠なんだ。
なんだか嬉しくて、ぽかぽかするね。
「メタのパンツは、ネコの柄なの?」
「カレン、ボクはべつに、パンツの柄を描いたわけじゃないよ! ボクの似顔絵だよ」
カレンはボクをヒョイって持ち上げて、帽子の裏を確認したよ。
「ホントだ! パンツはいてない。おちんちんも無いよ」
「は、恥ずかしいよ……」
この姉妹、おちんちんの確認、好きなの? どういう教育してるのさ!
「それじゃ、みんなのパンツが描き上がったところで、一緒に、いただきます。しましょうか」
ママさん…… ボクとメイのは、パンツじゃ無いと思うよ……
みんな、背筋を伸ばして、手のひらを前で合わせた。
「……いただきます……」
「「「「「いただきます!」」」」」
アリが最初に、続いてみんなで言った。
いただきますの呪文は、古くから勇者が使ってたんだよね。
アリのお母さんも必ず唱えてたんだって。
いただきますの呪文を唱えると、とっても美味しくなる。
これって、勇者世界じゃ常識だったね。
この家の家族は、もう1人居るよ。
今、ママさんの傍らのベビーベッドに寝ている、一歳の男の子。
名前は、グラン。
黒髪なので、最初は勇者なんじゃって、気になったんだけど、違ったんだ。
アリのお母さんは、必ず女性に生まれ変わってるしね。
ところが、グランはなんと、魔王の生まれ変わりだったんだ。
しかも、相当強い、千年以上前の魔王らしい。
これから、どんなふうに育つんだろう。ボクは、ちょっと心配だよ。
それからね、ママさんのお腹の中には、もう1人、赤ちゃんがいるんだって。
秋には産まれるのかなぁ?
ママさんが言うには、お腹の子は待望の勇者だって。母親には、何となく感じるのよって……
この家族、誰を主人公にしても、物語が書けそうだよね。
カレンもメイも、勇者の子孫で、皇帝の孫で、魔王と勇者の姉だよ!
設定盛り過ぎ注意だよ!!
「「「ごちそうさまでした」」」
パパさんは、お皿を流しに持って行くと、ヤカンでお湯を沸かし始めた。
食後のコーヒーを淹れるんだ。
魔法でチンしてお湯にすれば良いのにって思うんだけど、パパさん曰く、味と香りが全く違うんだって。
グルメだね。
ママさんは、隣の部屋にグランを連れて行ったよ。
おしめが濡れてないか、確認してるみたい。
おしめを変えてもらう魔王って、なんか微笑ましいよね?
カレンは、お皿とスプーンを流しで洗ってる。
やっぱ、偉いね!
アリは、食べ終わってスプーンを舐めてるよ。はしたないったら……
ちょっと、カレンを見習おう。
メイは、あとちょっとで食べ終わる。
残さず食べるの、偉いね。
そして、ボクはというと……
上手に描けたネコの似顔絵を崩すのがもったいなくて、まだ、両端を食べただけなんだ。
絵が上手なのも、困りモノだね。食べるのかわいそうだよ。
次からは、ボクもパンツの絵を描くコトにしよう……
「……メタ、お腹いっぱいなら、アリが食べて、あげる……」
ズボ!
「な、なんてこと、するの!」
アリのスプーンが、ネコの額に突き刺さったよ!
致命傷だよ。ご臨終だよ!
パンツが破れちゃったくらい、ショックだよ!!
ボクだって、こういう時は、怒ってるのポーズをとっちゃうよ。
「ぷん、ぷん、ぷーん」
あ、そっか……
アリは、朝ご飯を食べてなかったんだ。
だから、もう少し食べたくて、スプーンを舐めてたんだね。
「アリ、ボクの半分あげるよ。一緒に食べよう」
「ん、ありがとう……」
ネコの顔にスプーンを入れて、冷めたオムライスを一緒に食べた。
ボクとアリは、やっぱり仲良しだね。
今までで、一番美味しい味がした。
「「ごちそうさまでした」」
先に食べ終わっていたメイが、ボクらのお皿も流しに運んでく。
それを、受け取ったカレンが洗ってる。
テーブルでパパさんが淹れるコーヒーの良い香りがした。
ボクは、アリのことが大好きだけど、この家族のことも、オムライスと同じくらい好きなんだ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
クイズの答えがわかった人は、感想にコメントしてください。
作者は、あの手この手でコメントもらおうと、姑息な手段に出ましたw
メイ達の一家は、構想段階では、全く存在してませんでした。
小説を書き始めてから、どこからともなく、現れた感じです。
はやく、アリについてのお話をしないとって思いつつ…
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とってもはげみになります。
また、誤字脱字、文章の書き方が変だ等ありましたら、ご教示ください。
よろしくお願いします。
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