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6/22

6話 編集長のおっしゃる通りです……

朝寝坊しちゃったので、お昼に投稿です。



前回のあらすじ:


メイに、小説を教えてあげたよ。






 メイは4歳だけど、文字は読めるよ。

 なんたって、賢者の塔の子供だからね。

 英才教育ってやつ?

 しかも、アリの小説は、ひらがなばっかりだしね。


「ほうけんしゃのほうけん」

「ほ、じゃなくて、ぼ。点々ついてるから、ぼって濁るの……」

「あ、ほんとだ。すごい。あ、ココにも、ごってある。ばとべもあった!」

「……ちっちゃい、や、もあるよ……」

「すごい、すごい!」


 小説を読むと思ったら、濁点探しゲームになっちゃった。

 でも、アリはなんだか得意になってる気がするよ。

 さすがにコレは、ボクには出来ない褒め方だよ。

 子供ってすごいね!


 しばらくしたら、やっと冒頭から読み始めた。


「あ、さ、お、き、た。  ふー

 あ、さ、ご、は、ん、を、た、べ、た。 ふー

 ………」


 とってもゆっくりと、一文字ずつ読み上げてるよ。一行ずつ深呼吸してるしね。

 そんな読み方で、内容が頭に入るのかなぁ……


「ば、ん、ご、は、ん、を、た、べ、た。 ふー

 よ、る、ね、た。 ふー」


 どうだろう。なんか、メイは真剣に読んでるけれど、面白いのかな?

 すっごく不安だよ……


「ねぇ、気になるんだけど……」

「……ん、なに?」


 えっ? 気になるところ、見つけちゃったの? ど、どこだろう……

 ボクのほうが、気になってるよね。


「このぼうけんしゃ、おひるごはん、たべないの?」


 そ、そこー??


「メイ、すごい! そこに気づくとは…… メタより賢い…… 編集長にする……」

「えええっ!」


 ボクはこれから、メイの下で編集者になっちゃうの?


「へんしゅうちょう?」

「……編集長は、偉い……」

「えらいの? じいじよりえらい?」


 じいじってのは、賢者の塔の大賢者さまのコトだよ。


「そこまでは偉く無い…… アリの次、くらい…… メタよりは、偉い……」

「そうなんだ。あのね、おねえちゃんが、ニワトリのおせわかかりになったの。それでね、メイもかかりなりたいって言ったら、アリのおせわかかりになったんだよ! だから、へんしゅうちょうはできないの」

「……なるほど、アリのお世話係なら、編集長より重要ポスト……」


 ボクの編集者の立場が守られたよ。

 でもって、アリ、要介護認定されちゃってるんだけど……


「あ、さ、お、き、た。  ふー

 …………

 よ、る、ね、た。 ふー」


 メイは続きを読み始めたよ。


「冒険者はね、過酷な仕事なの……始めたばかりは、お金も無いし、お昼ご飯は抜き……」

「へー かっこいいね!」

「うん……」

「あ、さ、お、き、た。  ふー

 …………」


 お昼ご飯抜きだと、かっこいいの? 謎感覚だよ…… でも、つっこんだらダメだよね……


「ここ、なんにちめ?」

「……そこまでで、みっかめ……」

「つぎは?」

「……よっかめ……」

「ふ、ろ、に、は、いっ、て、わ、す、れ、た。 ふー」


 メイは、一日毎に何日目か聞いてる。気になるのかな?


「おふろはいって、なにをわすれたの? いつもは、おふろ、はいってないの?」

「……冒険者は、過酷。毎日、お風呂に、入れるわけじゃ、ない……」

「かっこいいね!」

「あ、さ、ね、ぼ、う、を、し、た。 ふー

 み、ず、を、の、ん、だ。 ふー

 えっと、ここ、なんにちめだっけ?」

「……むいかめ……」

「あさねぼうするとか、メタみたい。かっこわるいね!」


 ボク、おならも寝坊もしてないんだけどなぁ……


「あ、でも、あさごはんまで、たべてないよ。すごい!」

「……過酷だからね……冒険者にとっては、朝飯前……」

「かっこいいね!」


 ボク、そろそろお腹が空いてきたよ。もう、かっこ悪くて良いから、お昼たべたいな……


「…………

 よ、る、ね、た。 ひっひっふー」


 やっと、読み終わったみたい。

 最後はついに、赤ちゃんが産まれたね。 おめでとう!


「おもしろかったぁ。いち、に、さん、し、ご、ろく、なな。ぜんぶで、ななにちだね!」

「……うん、なのか……」


 あれ? ボク、ちょっとわかっちゃったかも。


「つづき、よみたい」

「……続きは、これから、書くから……」

「えっと、はちにちめから、だね」

「ん、そう……」


 つ、続くんだ?! ビックリだよ……

 じゃ、なくて、アリの小説の改善点。見つけたよ!


「ねぇ、アリ。小説をもっと良くする方法を、ボク、見つけたよ!」


 たぶん、みんなも気づいたよね? キミの思ってる通りだよ。


「メイね、日にちがあったら、かぞえなくてもすぐわかるから、うれしい」

「……ん、わかった。そうする……」


 い、言われちゃった。メイちゃんに先に……


「……メタも、教えて……」

「う、うん…… 編集長のおっしゃる通りです……」


 ボクは、なんか恥ずかしくて、また空を見上げたんだ。

 とっても青くて広くって…… さっきのパンの雲は、もうどこか行っちゃってた。

 やっぱ、ボクなんて、ちっぽけだね。

 うん。それでいいや!


  ぐうぅぅ〜〜


 あ、アリのお腹が鳴った。やっぱりぺこぺこなんだ。


「……いま。メタのお腹、鳴ったでしょ……」

「そ、そうだね。もう、ぺこぺこだよ」

「おならのつぎは、おなかだぁ!」


 ボクの所為にされちゃった。

 でもまぁ、お腹空いてるのは本当だし、良いコトにしておくよ。


「そうだった。おひるは、ママのオムライスなの!」

「やったー ボク、オムライス大好きだよ」

「……ケチャップで、名前、書こう……」


 アリは本を閉じて、メイと手を繋いだ。

 ボクは、ふわっと浮かんで、アリの頭の上に着地だよ。


「おうちまで、ふわふわしてこう……」

「わーい。ふわふわすき」


 アリはそういうと、足下に魔方陣が現れて、ふたりの体がふわりと浮かんだ。

 そのまま、小道に沿って、ボクらは森の中へと消えていく。


 静けさを取り戻した賢者の塔を訪れるのは、若草の香りを運んで来る春の風だけになった。











 読んでくれて、ありがとうございます。


 なんか、イイ感じに終わってますが、続きます。


 書き始めた時に、メタ視点で書いてみたんです。

 そしたら、メタ発言だらけになってた。

 この作風で良いのか不安なのですが、作者は気に入ってるみたいで、楽しいです。


 企画段階では、マンガのネーム前の文字シナリオ程度の、セリフと情景描写だけの、原作っぽいのを書いて、将来的に、マンガにするためのネタをストックしていこうと……

 ふたをあけてみれば、すっごく、マンガにしずらそうな物語になってます。

 小説にしか、出来ないことをしている気がします。

 これはこれで、新鮮で、面白いんです。


 自分では思っても無い話が、書いていると湧いてきてるので、小説を書く作者の物語を書いている誰かがいて、動かされてる気がします。

 ありがとう! 誰かさん!!



 少しでも面白いと思ったら、ブックマークや評価、感想コメントをしてください。

 とってもはげみになります。


 また、誤字脱字、文章の書き方が変だ等ありましたら、ご教示ください。

 よろしくお願いします。





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