20話 ふるいの魔法〔解答編〕
前回のあらすじ:
魔法でふるいをする方法をアリに出題されたよ。
感想欄に感想と解答コメントをありがとうございました!
そして、最初の解答者が、作者より優れた解答をしちゃった件……
やばい〜って思いながらも、書き上げたわけですw
ツッコミ所があるかもしれない……
でも、優しい気持ちで読んで下さい。
しんしんと降る粉の雪は、ふるいの音がしないから、とっても静かで幻想的な感じがした。
ボクは、調理台の反対側に移動して、粉雪越しにアリを眺めるコトにした。
いつも可愛いアリが、雪の精霊みたいになった。
うわ〜、ボクを萌え殺す気なの?
死なずに済んだのは、泥棒頭巾のおかげかもしれないよ……
泥棒に命を助けられるとは、不覚。
「で、答えを教えてよ。クレアさん、どうやったの?」
「どうしようかしら〜」
「……しんきんぐ、た〜いむ……」
「えええ、またなの?」
アリは、また、肉球パンチを始めたよ。
「……チッカッ、チッカッ、チッカッ、チッカッ……」
「ヒントは〜、アリさまで〜す。制限時間は、粉が全部落ちるまでね〜」
クレアさんってば、自分だけわかったからって、勝者の余裕なの?
もう、粉も少なくなってきた。
「正解したら〜、アリさまがなでなでしてくれますよ〜。正解出来なかったら〜、これからず〜っと、なでなで禁止です〜」
「えええええ!」
「……メタ、がんばって……なでなで、できないの、つらい……」
ボクの毛並みはもふもふで気持ちいいからね。
ボクのためにも、アリのためにも、絶対に正解しなくっちゃ。
アリにヒントがあるんだよね。なんだろう。
「アリが可愛いから!」
「……正解……」
「ぶ〜」
「アリがお嫁さんみたいに可愛いから!」
「……正解……」
「ぶ〜」
「アリの肉球パンチが可愛いから!」
「……正解……」
「ぶ〜。 アリさまが可愛いのは、いつものコトなので、他を探してね〜」
そうだった。アリが可愛いのは、ヒントじゃないんだ。
「アリが泥棒だから!」
「……大泥棒……」
「残念〜」
「アリが時計ごっこしてるから!」
「……ごっこ、じゃない……」
「う〜ん、もう少し〜」
あれ? 時計がちょっと正解に近いの?
でももう、思いつかないよ……
そうだ、魔法みたいに、工夫が大切だ!
「アリが可愛すぎて時間泥棒だから!」
「……近い……」
「ほぼ、ほぼ、正解なんだけど〜」
え? ごちゃ混ぜしたら、正解に近づいた?!
でも、さっぱりわかんないよ……
「あー! もう、粉が無くなっちゃう!!」
あとチョットなのに、時間切れさせてなるものか!
ボクは、近くにあったお皿で粉をすくって、結界の中に追加投入した。
ズルじゃないよ。知能犯だよ。
ボクとアリの、なでなでのタメだもん。
どんなコトしたって、ボクの女神は許してくれるはずだよ!
ん? あれれ?
「ねぇ、コレ、どうなってるの? 結界の中で、小麦粉が落ちる途中で止まってる!」
「あら〜、メタちゃん、裏技に出たわね〜」
「……アリも、粉、入れる……」
アリは、大きめの匙で粉をすくって、結界にふりかけてる。
粉はやっぱり、結界の途中でピタッと止まった。
まるで時間を切り取ったように……
「わかった! これ、結界の中だけ時間を止めてるんだ」
「……正解……」
「そうなのよ〜、結界で小麦粉を持ち上げた後に、中だけ時間停止させてるの〜」
やったね。時間を止めていたから、アリは時間泥棒だったんだ。
わかってしまえばスゴいヒントだった。
あとは、粉雪が降る仕組みだけだ。
「……メタ、ほら、これ……」
アリは、お箸を立ててる。
そういえば、結界は最初にお箸の高さまで上げたはず。
なのに、今は、お箸の高さよりだいぶ上だ。
ちょうど、降り積もった粉の高さくらいに……
「そっか! 小麦粉は動かさずに、結界だけを気づかないくらいゆっくりと上に移動させたんだ」
「……正解……」
「そうなのよ〜。結界だけ移動させるとね〜、結界の外に出た粉だけ、時間が戻って重力で下に降るのよ〜」
「スゴいよ、コレは。ボクは、小麦粉をどうやって少しずつ動かそうって、そればっかり考えてたけれど、逆の発想で、小麦粉を動かさずに、結界を動かすなんて、思いもしないアイデアだよ!」
「……これが、魔法。工夫、大切……」
ボク、すっごい驚いちゃったよ。
魔法って、不思議なコトが起こってるって思ってたけれど、不思議なコトを起こす発想力こそが、大切なんだ」
「……なでなで、する……」
正解のご褒美に、アリがボクの頭をなでなでしてくれた。
とっても気持ちいいよ。
そういえば、いつの間にかたんこぶはどこかに飛んでってた。
やっぱり、アリの手は魔法の手だよ。
「ま〜ぜまぜ、の、こ〜ねこね」
粉のふるいを終えたクレアさんが、魔法を唱えると、作業台の上に球体の結界が二つ現れた。
その中に、材料を次々に入れて行く。
バターを入れて、結界内の温度を上げてバターを溶かす。
そこに砂糖を入れて、結界を回転させて混ぜる。
回転中の結界に、玉子と小麦粉、バニラエッセンスを入れる。
よく見ると、結界内の下の方で見えないブレードがコマみたいに回ってるっぽい。これで捏ねてるんだ。
二つの結界の片方ずつに、ミルクとカカオパウダーを入れた。
最後に、レモネの皮をすり下ろしたのを投入したんだ。
「……クレア、それ、レシピと、違う……」
「隠し味〜」
「……クレア、だから、下手……」
「美味しいのよ〜」
そういえば、アリのクレアさんの料理の評価は、レシピと違うから下手なんだった。
ケイトさんと違って、美味しいのにね。
「は〜い、生地の完成〜」
結界で混ぜ捏ねされた材料は、クリーム色と焦げ茶色の2つの大きな玉になったよ。
クレアさんが、手をポンって軽く合わせると、生地がスルスルと桂剥きされて薄い板が何枚も出来た。
「それじゃ〜、みんなで好きなの作りましょ〜」
「よ〜し、ボク、スゴいの作ろっと」
「……ん、つくる……」
みんなは、お菓子作りはしたことあるのかな?
これから先は、魔法よりもセンスが大切だよ。
ボクは器用だし、センス抜群だからね。
粘土細工みたいに楽しい時間だ。
どんなのが出来るか、期待してね!
読んで下さり有り難うございました!
解答編は、いかがでしたでしょうか?
え? 時間を止めなくても、ゆっくりにすれば良いって?
うん……
たぶん、時間をゆっくり動かすより、結界をゆっくり動かす方が、簡単なんだと思います。
そういう設定にしておこう!w
他にも、粉が、ダマになったままなのでは? って指摘されました。
その通りですw
ダマな部分もあると思いますが、ふるいにかける目的が、空気を含ませる、なので、少しのダマは気にしないのですw
アリちゃんは、ふるいにかければレシピ通りなので、それで良いみたいです。
なんてこったー
時間停止空間では、光や音も、止まってるのでは? という指摘を自分で気づきました。
魔法の空間だから、光と音は通るのです!
ひとつは、魔力光なのと、声は人から発せられるので、魔力を帯びている、説です。
アリには加護があるし、メタは不思議生物だから、というのもあります。
もうひとつに、停止の魔法効果がかかるまでのタイムラグがある説です。
アリが小麦粉をかぶっちゃいますが、ふりかければ途中で止まる気がするのです。
ちゃんと被れちゃうってことは、その少しの空間を落ちるくらいのタイムラグがあるってコトです。
ちなみに、体が触れている物体は、時間が停止しません。
そうでないと、服が固まっちゃうからです。
こういうの、考えだすとキリがないですねー
すっごく楽しいんだけれども!
ついでに、時間停止しなくても、小麦粉を空間固定魔法で止めれば、同じ効果が得られますね。
次回は、サブレを作る回です。
いつも通り、書いてたら4000字超えたので、分割したんです……
ゆっくり進行ですが、ついてきて下さい><ノ
それから、本日4回目のレビューをいただきました。
ありがとうございます!
とっても嬉しいです!!
感謝感激です♪
ただ、巷では、レビューがつくと、10倍の訪問人数になるなんて言われてますが……
うちは、普段と全く変わりません。
ほんと、せっかく戴いたのにすみません。
どういうことでしょう?
一日のPVが100PVくらいです。今日はまだ19時で84PVです。
昨日のクイズで絵を書きますってしたから、昨日は200PV行きました。
これから、返事して、お絵描きタイムです。
どうか、少しでも面白いと思ったら、感想コメントをください。
ブックマークや評価がまだの人は、是非よろしくお願いします。
とってもはげみになります。
また、誤字脱字、文章の書き方が変だ等ありましたら、ご教示ください。
よろしくお願いします。