10話 真夜中の賢者の塔
前回のあらすじ:
作者は、ついたちめ症候群。
もう、お昼も過ぎてますが、この回を書き上げた作者にとっては、朝飯前です。
おなかぺこぺこ……
ボクとアリは、一息つくために、1階の厨房へ行くコトにした。
アリは、椅子から立つと、ブランケットの下は、腰丈のシミーズに膝上のドロワーズだった。
フリルやリボンが可愛いんだけれど、下着姿だよね?
作者はロリコンなんだよ。気をつけて!
「アリ、その格好じゃ冷えるから、何か着なよ」
「……ん、コレ、暖かい……」
ブランケットを三角折にして、ショールみたいに肩に羽織った。
横着だなぁ……
「今日の宿直、クレアさんだよ。お小言もらっても、ボク知らないよ」
「……クレア、の、お菓子。美味し……」
ボクとアリは、普段は賢者の塔で暮らしてる。
賢者の塔は、地上30階、地下5階以上。とっても高くて広くて大きいんだ。
随分長く住んでるけれど、未だに訪れたコトが無い場所もある。
塔の探索だけでも、冒険にはもってこいじゃないかな?
塔に住んでいるのは、ボクらの他には、今では、大賢者さまだけ。
あとは、宿直で塔番の巫女さんが交代で居てくれるんだけれど、塔はとっても静か。
言っとくけれど、オバケは出ないよ。
とっても古い建物だけど、神聖な神殿だったんだ。
だから、悪いオバケは近寄れないような、結界があるんだって。
ぼぼぼ、ボクはオバケなんて、へ、へっちゃらだけどね!
書斎を出ると、広い吹き抜けのリビングを見下ろす上階の廊下部分に出る。
淡い照明が足下で発光しているので、夜でも安心安全なんだ。
「アリ、転ばないように気をつけてね」
「ん、手すり、ある……」
右手に本を抱えて、左手は手すりにそえてる。左手はそえるだけ。
ぺた、ぺた、ぺた
素足で階段を降りて、対面キッチンの横の扉のに向かう。
その先、廊下の奥に玄関。そこで、靴を履くんだよ。
なんでも、この27階と28階を改装して作ったフロアは、アリのお母さんの特注品。
勇者世界の住居に近いデザインなんだって。
だから、部屋では靴も脱いで、裸足になるんだよ。
アリは裸足が好きみたい。
ボクは靴を履いたコト無いから、どっちでもいいんだけどね。
「ほら、アリ、ちゃんと靴を履こう。夜だからサンダルやスリッパは転ぶといけないからダメだよ」
「ぬー、メタ、お母さんみたい……」
アリは、細い生足をえんじ色のロングブーツに通そうとして、少し考え込んでやめた。
ぽいっ
あぁ、ロングブーツは、紐とめるのめんどくさいもんね。
しかも、アリは蝶々結びにスッゴイこだわりがあるみたいで、時間がかかるんだ。
ボクは、何度やっても、縦結びになっちゃうから、苦手だよ。
キミは、上手に結べる?
下駄箱から、ネコの柄と花柄のズック靴を取り出して、どっちか悩んでる。
ネコの柄にしたみたい。
なんとなく、素足で履くと、ネコを踏んづけてるみたいな柄だね。
ぼ、ボクは、羨ましいとか、アリに踏んで欲しいなんて、思ってないよ!
思ってるのは、作者だよ! 作者は背中を踏まれたいんだよ。
え、キミも踏まれたいの? そんなに、背中が凝ってるの??
裸足と素足と生足の違いって、わかる?
ボク、ネコだから、足にすりすりするの好きなんだよ。
べつに、足フェチなんかじゃないってば!!
玄関から外廊下に出て、扉を閉める。その扉に、鍵束の鍵を差し込んで、また開く。
すると、玄関だったはずの扉をくぐった先は……
1階にある聖堂の脇の扉に出た。
アリは、扉を閉めて、刺さってる鍵を抜く。
移動完了。
どお? この鍵、魔法の鍵なんだ。
扉の鍵穴に差すと、登録された場所の扉に繋がるんだ。すごくない?
塔の中なら、魔力もいらないから、ボクでもアリでも使えるんだ。
すっごい便利!
アリは、鍵束で沢山の鍵をもってるんだけど、どこに繋がってる鍵なんだろうね。
お父さんやお母さんの使ってた鍵がジャラジャラ付いてるよ。
鍵束を、持っていた本に挟んだら、鍵束の栞になった。
開いた扉側から閉じた扉側に、鍵が移ってるのも不思議なんだけど、鍵束が栞になるのも不思議だよね。
理屈がわかんないコトは、魔法だからって思えばいいよ。
ボクはネコだし、深く考えないどくよ。
もしも、設定好きな人がいて、カッコいい設定を考えたら作者が感謝するかもよ?
1階の聖堂の手前には、中庭があり、その先がエントランスになっている。
塔の中なのに、中庭だなんて、変わった作りしてるよね。
賢者の塔の最上階には、塔核が設置されていて、大賢者さまが管理してる。
だから、塔には沢山の魔法が施されていて、いろんな仕掛けがあるんだよ。
魔法の鍵が無くても、転送魔法陣が各所にあるので、それで便利に移動できるしね。
普通じゃ絶対に無理な構造でも、ちゃんと建っていられるのも、このコアのおかげなんだ。
コアについて、もっと知りたい?
今回は、説明だらけだから、また今度、しっかりと説明するね。
だって、世界観の説明が詰め込み過ぎって、感想もらっちゃったしさ。
感想読んだコト無い人は、あとで見にいってよね。
ボクらのコメントも読めるよ。裏設定もあるかもしれない。
きっと、キミも感想を書きたくなるんじゃないかな?
エントランスの脇に、宿直室があり、厨房などが併設されているので、ボクらはそこに向かって中庭を通る。
ヒカリゴケや夜光草の淡い光に、アリの白い肌が照らされて、息をのむほど綺麗だった。
夜光虫がボクらの周りをダンスしていた。
静寂という、とても静かなBGMにのせて……
その幻想的な光景は、ボクらには見慣れた日常。でもやっぱり、綺麗だ。
もしも、みんながこの光景を観たら、言葉に出来ないほど感動すると思うよ。
アーステラの人達が、勇者世界の夜景を観るのと同じくらいにね。
お互いに無いものが有るから、異世界は魅力的なんだ。
はくしょん!
「アリ、寒い? それとも花粉?」
「……誰かが、アリのコト。美人って、噂してる……もしかして、メタ?」
「うん、きっとボクの所為だね」
「……ほどほど、にね……」
やっぱり、下着にブランケットじゃ、寒かったんじゃないかな?
ちゃんと服を着せなかったボクの所為だね。
中庭を抜けて、宿直室を覗いたら、誰も居なかった。
キャッ!
ガッシャーン!!!
辺りの静寂を破る、けたたましい金属音が、微かな悲鳴混じりで鳴り響いたんだ。
ボクは、アリに引っ付くくらい、ビックリしたよ。
あ、違う、間違い。
アリを守るために、寄り添ったんだよ。
うん、きっとそうに違いない。
「厨房の方からだよ。クレアさんに何かあったんだ」
「……ん、いってみよ……」
オバケだったら、どうしよう……
もっとすごい、大事件だったら……
そうだよ。ボクがアリを守らなくっちゃ!
アリにも、読者にも、ボクのカッコいいところを見せてやるんだ。
アリの小説と関わりなさそうなエピソードになっちゃいました。
あれー? 何ででしょう……
そして、何やら、大事件?
いえ、ただの引きだけだと思うので期待しないで更新を待って下さいね。
少しでも面白いと思ったり、アリに踏まれたいと思った人がいたら、ブックマークや評価、感想コメントをしてください。
とってもはげみになります。
また、誤字脱字、文章の書き方が変だ等ありましたら、ご教示ください。
よろしくお願いします。
ん




