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困った時の妹頼み

 『同級生の友達との休日の遊び方を教えて欲しい』――という悩みを解決するべく向かった先は藤岡家…つまり俺の自宅。

 早速今回のお悩み相談における助っ人の元へと向かおうとしたのだが、


「ただいま~」

「あ! お兄ちゃん!! 急に飛び出してどうしたの!? 電話にも出ないし、私心配して――って、なごみちゃん!?」

「お、お邪魔します……」


 助っ人を頼もうとしていた相手は慌てて飛び出していった俺を心配してくれていたようで、ずっと玄関で俺の帰りを待ってくれていた。

 そう。俺が力を借りようとしている相手は藤岡栞――可愛く、健気で優しい、兄想いな自慢の妹だ。

突然の兄の彼女来訪に驚きを隠しきれないご様子の助っ人。

 あ、そういえば、なごみには道中説明したけど、肝心の栞にはまだ何も言ってなかったっけ……。


「心配かけてすまん、栞!」

「ま、まぁ無事だったみたいだし、別にいいんだけど……」

「それで、重ねて申し訳ないんだが……、実はなごみのことでお前に相談があってだな」

「え? 私に?」

「ああ。――とりあえず話聞いてもらってもいいか?」


 俺は隣で申し訳なさそうにしているなごみの方をチラリと確認しながら、栞に相談を持ちかけた。


「うん。まぁ、私にできることであれば……。――とりあえず立ち話もなんだし、上で話そ? ほら、なごみちゃんも」

「おう」

「あ、ありがとう」


 そして、俺達三人は話しやすい場所、ということでとりあえず俺の部屋へと向かうことにした。


※※※※


 部屋に入って早々、早速事情を説明し、なごみの友達との休日デビューにへの協力を申し出た。

 陽平は友達経験豊富ではあるが男だからな。同性で友達も多く社交性抜群で美少女の栞以外に適役はいないはず!

 そんな想いを胸に、なんとか引き受けてくれるように誠意を込めて説明したのだが、


「――なるほど。とりあえず事情は分かったけど……、お兄ちゃん、友達との付き合い方で妹を頼るって兄としてどうかと思うよ……?」


何故か可哀想な人を見る目を向けられた。


「いやいや、仕方ないだろ? うちは『友達と遊んでる暇があったら勉強しなさい!』って言われながら育ってきたんだから」

「いや、お母さん、いつも『勉強よりも友達をたくさん作りなさい』って言い続けてたと思うんだけど!? お兄ちゃんに対しては特に!!」

「え? そうだっけ?」


 そういえばそんなことを言われてたような気もするな。

 まぁ、今はそんな細かいことどうでもよかろう。


「はぁ……。まぁいいや。それより、私は具体的には何をすればいいの?」


 栞も同じ気持ちだったのか、ため息をつき、呆れ顔を浮かべながらも本題へと話を戻す。


「ああ。それなんだが…栞には俺と一緒に当日なごみ達を尾行しつつ、都度アドバイスを送る役を頼みたい。その道のプロとしての的確なアドバイスを頼む」

「いや、その道のプロって……、まぁいいや。――別に引き受けるのはいいんだけど……。その前になごみちゃんに一個だけ確認しておいていい?」

「わ、私?」


 そして、栞は改めてなごみの方へと向き直ると、


「なごみちゃん、そもそも友達とのコミュニケーションに正解なんて無いの。勿論私もなごみちゃんがその友達とうまくいくように最善は尽くすつもりだけど、あくまで私がするのはアドバイスだけ。そのアドバイスを踏まえて、どう行動するかはなごみちゃん次第。私の言う通りにやっても結果的に失敗することはあるってことは覚えておいてね?」


真剣な口調で確認を取る。


「そ、それは勿論だよ! 最終的に判断するのは私自身だってのは分かってる。でも、私どうしても不安で……。――栞ちゃん、アドバイス、お願いできるかな……?」


 そして、なごみが栞の意思確認に同意した上で、不安そうな表情を浮かべながら改めて協力を願いでると、栞は少し考えてから


「――うん、そこら辺分かってくれてるならいいよ!」


それを笑顔で快諾してくれた。


「本当!? ありがとう!!」


 無事に協力を得ることができ、なごみの表情もぱあっと晴れやかに。

 困っている人を見れば放っておけないような優しい妹のことだ。元々断られるとは思ってなかったが、無事に協力を取り付けることができ、正直ほっとした。


「栞、ありがとな」

「ま、将来のお義姉ちゃんのためだもんね。私にできることなら何でもやるよ!」

「お、お義姉ちゃん!?」

「あははっ! なごみちゃん、顔真っ赤だよ?」

「も、もう!!」

「なごみ、俺達婚約してもう結構経つんだし、こういうのにも早く慣れろよ?」

「いや、そんな偉そうなこと言ってるけど、お兄ちゃんの方が顔赤いからね?」

「これは熱中症だ。今日は一段と暑いからな」

「え!? 熱中症!? だ、大丈夫、奏太君!?」

「いや、今クーラーガンガンだからね!? エコとか完全無視の設定温度22℃だからね!?」


 そんなこんなで俺となごみは無事に助っ人の協力を取り付けることに成功。

 この後も助っ人からのアドバイスを元に当日のスケジュールを考えたり、当日の服装や持ち物等々念入りに準備を整えた俺達。


 そして、当日。

 なごみは只ならぬ緊張感を漂わせながら、友達である下之城優奈との待ち合わせ場所へと向かって行った。


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