心配
今回から新章です!
どうぞよろしくお願いしますm(*_ _)m
「……はぁ」
「どうしたんですか。ため息ばかりじゃないですか」
「あの事件の報告書書き上げるのが難しくてな。結局、犯行の動機も分からず終いだしさ」
再び小さくため息を1つつく。
あの事件から3日経ったが未だに謎が多い。
病院で金子や仙道の知り合いを手当り次第聞いて回ったが成果は特になかった。
一時的に上がっていた商店街の方も聞き込みをしても、彼女たちが来ただけでどこに行っていたかは教えて貰えなかった。
また、病院の裏にあった社に関してはその姿を消していた。
残しておいた不味いものだったのだろうか?
それとも別の何かあったのだろうか。
あの女性にも会えなかった訳だし真相は闇の中だ。
「ひとまずは何とかなったから良いじゃない。それにそれだけじゃ無いでしょ?」
そう言って俺のデスクにコーヒーの入ったカップを誰かが置いた。
振り返るとカップを片手に持った桂木の姿があった。
「桂木か、ありがとな。それだけじゃないってなんだ?」
「見てたらわかるわよ。病院の件以前からどこか別の事を考えてるみたいだったじゃない」
「確かにそうですね。隼先輩、何か悩んでることあるんじゃないですか?」
2人が言ってるのは恐らく……いや、間違いなく弓月の件だろう。
九十九島以来元気がない妹のことをずっと気にしているのはその通りである。
……黙っていても仕方ないだろう。
「何、最近妹がこっちに来てるんだが遊び半分で仕事に着いてきてな。その時のショックで元気を無くしちゃったんだ。そのことが引っかかってたってことだ」
「あの時のことですか。まぁショックは大きいでしょうね……」
「でも、勝手に着いてきてるんだから自業自得なんじゃないの?」
冬月は一緒に行動してた分、容易に想像出来たのだろう。
対して桂木は少しばかり厳しい言葉を突きつけた。
実際は桂木の言う通り勝手に着いてきた弓月に非がある。
「その通りなんだがな。やっぱ兄としては気になるものがあるんだよ」
「弓月ちゃんも反省してるんですよね? でないといつまでも思い詰めてる様子にはならないと思いますよ」
「……なるほどね。まぁ御家族が元気ないってのは気になってしまうわね」
桂木も納得してくれたようで、少しだけ心配しているような表情になった。
桂木が厳しくも優しいやつなのは知っているため、こういった時は良く心配してくれている。
とにかく弓月には早く元気を取り戻して欲しい。
本来ならゆっくりでもいいんだが、今の時期では戻る前に元気になってもらう必要もある。
どうすれば元気が戻るだろうか……




