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闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第二章 少女に蠢く憎悪
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謎の違和感

 マンションの中を歩いているとき、冬月に今回の事件について尋ねてみる。


「なぁ、冬月。今回の事件どう思う?」


「……まだ何とも言えないですね。犯行がこれで終わればいいのですが」


「やっぱりそうか。犯行はこれで済むとは到底思えない。俺的にあの殺し方に違和感があるんだよな」


 俺がそう言うと冬月が不思議そうな表情を浮かべ、こちらを見た。


「違和感……ですか?」


「あぁ、人を殺すだけなら動脈を斬るだったり心臓を突き刺すだけでよかったはず。それなのになぜ腹部を滅多切りにしたのか、なぜそうする必要があったのかと思ってな」


「そうですね……切られてから抵抗しようとすれば刃物をさせばいいはずですし、おそらく切り裂くまではしませんね」


 少し黙り、ゆっくりと口を開く。


「……もしかして、犯人は被害者に対して何らかの恨みを強く持っていたのではないかな。滅多切りにしたくなるほどにな」


 恐ろしさと驚きの混ざった顔で冬月が俺のことを見る。

 沈黙が続き、マンションの廊下を歩いていくと管理人室に到着する。

 扉をノックし、しばらくすると一人の中年男性が出てくる。


「あ、警察の方でしたか……どうでしたか?」


「……捜査の結果、飯田さんは何者かに襲われたようでした。部屋もひどい有様でしたので……ここ数日の間でこのマンションに外部の人間が来たことはありませんでしたか?」


 管理人は少し考えてから口を開く。


「……いえ、ここ最近ですと青が丘学園の生徒さんしか見かけてないですね。一応学校との関連があるところですので」


「そうなんですね、ありがとうございました。もしかしたらまた犯行があるかもしれません。注意の方お願いします」


 管理人に頭を下げ、外に停めていた車へと向かうためマンションを出る。

 外はこれでもかと太陽が照りつけ、夏の風物詩でもあるセミの鳴き声が耳に突き刺さる。

 この暑さは耐えがたいものだ。


「うぅ、さすが真夏の暑さですね……」


 冬月は顔を腕で覆いまぶしさを抑えている。

 足早に車へと向かい、乗り込む。

 車の中は蒸し風呂のように暑くなっており、熱気がものすごい。

 冷房をかけ、しばらくして車内が涼しくなってくる。


「ふぅ、今日も暑いなぁ」


「もう毎日暑すぎですよ、今日の最高気温三十五度超えるって言ってましたよ」


「そうなのか……」


 二人でぐったりし、ふとモニターに表示されている時計に目をやると時刻は十三時を回っていた。


「もうこんな時間か、そろそろ昼飯でも食べに行くか?」


「……いえ、今は食欲ないですね」


「……そうか」


 あのようなものを見た後だから仕方ない。


「とりあえず、高校に電話するか。いつ訪ねていいか聞かないといけないし」


 冬月もそうですねと答え、青が丘学園へ電話を入れることにする。


『はい、青が丘学園でございます』


「突然すみません。警視庁刑事課の山川と言うものです。飯田奈緒子さんのことでお尋ねしたいことがあるのですが」


 少し沈黙が続き、しばらくすると声が聞こえる。


『……はい、生徒の多い時間は避けたいので五時ごろにお越し頂けますか?』


「わかりました。では五時に伺わせていただきます」


 電話を切り、背もたれにもたれる。


「とりあえず四時に青が丘学園に行くことになったから。それまではもう少し部屋の捜査をするか」


「分かりました」


 車から出て再び飯田の部屋へと戻って行った。

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