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闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第四章 悲嘆に蠢く狂願
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悪夢の内容

感想1件頂きました!

ありがとうございます!

 人影はゆっくりと扉の方へと進み、扉をノックする音が聞こえてきた。

 俺は冬月と目を合わせると無言で頷いた。


「……どうぞ」


 冬月がそう言うと扉はゆっくりと開かれた。

 そこには看護師であり事件と関係あるかもしれない人物である我孫道子が立っていた。

 初めは何の様かと疑問を持ったが、我孫の顔を見ると顔色がとても悪く、生気を感じさせない。


「ど、どうしたんですか!?」


 冬月も気付いていた様で慌てて我孫に駆け寄った。

 あそこまで顔色が悪いと誰でも心配するだろう。

 そして脳裏に『あの夢を見てるといつか自分が死んでしまうんじゃないかって……』と我孫が言ってたことが浮かんできた。

 よく見ると我孫の身体はどこか震えているようにも見え、ただ事でないことが明らかだ。


「我孫さん、もしかしてですがまた悪夢を……?」


「……はい。さっきの休憩時間、どうやら少し眠ってしまったのですがその時……」


 言葉を詰まらせ、目からは涙が溢れてきている。

 ひとまずソファまで連れていき、落ち着くのを待つことにした。

 今は精神的に不安定だろうから落ち着かせなければならない。

 しばらくの間、我孫は俯いたまま震えていたが次第に少しずつ落ち着きを取り戻していった。


「我孫さん、聞かせていただいても大丈夫でしょうか?」


 話を聞かないことにはどうしたらいいか分からない。

 ことによれば手遅れになりかねない。

 それだけは避けなければならないため、ここはしっかり話を聞く必要がある。


「……はい。以前に見た夢はよく覚えてなかったのですが、さっき見たのは覚えてまして……あれは、影なのか何なのか分かりませんがそれが私の中に入ってきて何か抜き取られてる感覚に襲われました。だんだんと身体から力が抜けて最後には……」


 そこまで話すと我孫は黙ってしまう。

 どうなってしまうのかは容易に考えられてしまう。

 彼女が感じているのは死の恐怖。

 夢の中で何度も感じてしまったのだろう。

 それが今回初めて記憶に残った。


「次また寝てしまったら今度はどうなるのか……寝てしまったらダメな気がして仕方ないんです……」


 話を聞いている中、俺はふと思ったことがあった。

 被害者は全員眠っている間に殺されている。

 さらに、被害者の周りでは悪夢を見たという人の報告も上がっていた。

 もしかしたら被害者は我孫と同じような夢を見ていたのではないか?

 この推測が正しい場合次の被害者は我孫ということになる。


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