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闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第四章 悲嘆に蠢く狂願
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憶測と願望の推理

水曜日は投稿できず大変申し訳ありませんでした。

仕事が落ち着けば安定すると思いますのでよしなに。

 冬月が戻ってくるまでの間、中庭で金子白愛に関する調査レポートを見直していた。

 金子は半年前の事故で夫と息子が他界。

 その後精神的に病んでしまいしばらく仕事を休む。

 休暇中、仲の良かった仙道の熱心なサポートにより2ヶ月後仕事に復帰。

 それから笑顔が耐えない朗らかな看護師ということで患者からの評判が良くなったという。


 たった2ヶ月で病んだ心が治るものなのだろうか?

 俺自身、そのような体験をしたことも無ければ身近な人でもそのような人物はいない。

 確証を得られないがその2ヶ月の間に仙道が金子に何かしたのであろう。

 だからといって今回の事件の犯人が誰なのかは分からない。


「そんなとこで何してんだ」


 突然声をかけられ、見上げてみるとそこには影崎が立っていた。


「影崎か。なんだ、気になる点を色々見てたんだがどうも一致しなくてな」


「ふん、未だに犯人が分かってないのか。俺はとっくに犯人が分かったぞ」


「……!? どういうことだ!」


 勝ち誇ったかのような表情で俺を見るとニヤリと口元を緩めた。


「犯人は仙道萌だ。動悸は我孫道子を陥れるためだ」


「……どういうことだ」


「まず、仙道萌は薬剤師だ。そのため今回の殺人を1番容易に行える。また、患者から聞いた話だと仙道が我孫の様子を常に伺ってるように見てたとも言っていた。不眠症というので気にしていただけかもしれないと言っていたがそれは違う。仙道は常に我孫を見張っていたことから不安に思い眠るに眠れなくなったということだ」


 言ってる意味が分からない。

 その推理には無理がありすぎる。

 不眠症の原因は悪夢によるもののため不安によるものでは無い。

 その上、悪夢は犯行現場周辺の患者も見ているのだ。


「……お前、それを本気で言ってるんか?」


「何が言いたい」


「その推理には欠点が多すぎる。まず我孫の不眠の原因は悪夢によるもの。その上悪夢は犯行現場周辺の患者も見ている。この時点で不安によるものという断定にはならない」


「周辺患者が悪夢を見たのかもしれないがそれは偶然だろ。そもそもその周辺全員揃って悪夢を見るなんておかしな話だ」


「……あぁ、全くその通りだ。偶然にも揃って悪夢なんておかしいよな」


「……何が言いたい」


 影崎の表情が曇る。

 こんな隙だらけの推理、簡単に見破れる。

 それに影崎……いや、俺たち以外でこの事件を解くのは無理だろう。


「そんな非現実的な事実があるというのにそれを推理に組み込むのがまず間違ってる。それにお前らしくもないじゃないか」


「……んだと」


「お前はもっと冷静に物事を見れるはずだろう。なのになぜそこまで無茶な推理を通そうとする。それにそれを俺に話す必要があったのか?」


 俺はゆっくりとベンチから立ち上がり影崎と向き合った。


「今の推理は憶測と願望が篭もりすぎてる。何をそこまで急いだ結果を出そうとしてるんだ」


「……うるせぇな、てめぇに何がわかる」


 そう言って影崎は俺の事を鋭い眼光で睨んできた。

 その目からは怒りの様子が見て取れる。


「こうやっててめぇなんかと組むのはゴメンなんだわ。山川、てめぇは俺にとって邪魔なんだよ。一緒のチームで協力して解決なんざゴメンなんだよォ!」

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