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闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第四章 悲嘆に蠢く狂願
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緊急会議(2回目)

 翌朝、緊急の捜査会議が行われることになった。

 理由は当然昨夜の件だ。

 既に全員揃っているが、しばらく沈黙が続いていた。


「……山川君。まず昨日何があったのか教えて貰えないか?」


 荒巻警部は沈黙を破るように俺に問いかけた。

 ここで嘘を言っても仕方ない上に隠しようがない。


「はい、昨夜0時10分頃、俺と冬月、桂木の3人で魚川総合病院の方に行ってました。許可は取ってました。その際、東館にて不審な動きを見せる女性と思わしき人物がいたので追いかけたものの逃げられてしまいました」


 荒巻警部以外の人物がいる中、魔術に関する発言は控えなければならないため、こう言うのが最善だろう。

 ふむ、と相槌を打ち、荒巻警部は少し考え口を開いた。


「病院の看護師からは犯人を取り逃した上に患者を見殺しにしたと聞いたがそれに関しては?」


「そちらについては私から」


 桂木が小さく手を上げ、席を立つと状況を説明してくれる。


「山川君から連絡を受けて私と冬月さんですぐに現場に向かいました。その時には既に息を引き取っていました。心肺蘇生も試みましたが息を吹き返す様子は一切ありませんでした」


 俺は桂木のフォローに感謝しつつ、心肺蘇生も効かないのはどういうことか疑問に思った。

 上手く出来なかった可能性もあるが仮にもそのような訓練は受けているので効果がないなんてことはないと思う。


「……なるほど、聞いてる限りでは現場において必要なことは押さえてる様だな」


「はい、未然に防げなかったのが非常に悔やみますが……」


「いや、山川君はよくやってくれた。君が見た犯人の姿は女性で間違いなのか?」


「顔はハッキリ見てないですがあの身長と僅かな胸の膨らみも見えましたし、間違いないかと」


 荒巻警部は再び黙り、難しい顔で何か考えてるようだった。

 ふと視線を感じ、その方を見てみると影崎が俺に対して睨みを効かせていることに気がついた。

 ……また後で何か言われそうだな。

 影崎の態度に呆れていると荒巻警部が口を開いた。


「ひとまず今回の件は全てが我々の失態という訳では無いことが分かったことを病院側に説明しておく。山川君、君はそんなに気を追う必要は無い。聞いた限り悪くない判断だ」


「はい、ありがとうございます」


 警部の気遣いに感謝しつつ俺は深々と頭を下げた。

 捜査会議が終わり再び捜査に移ろうとした時、案の定影崎に呼び止められる。


「おい、山川」


「またか。今度はなんだ」


「犯人取り逃した挙句患者を見殺しにしたってのによくもそんな態度取れるな」


「……確かにその通りだな。失態は失態だ。この状況を受け入れて今日の捜査に挑むだけだ」


 そう言うと影崎は舌打ちをし、俺に迫ってくると胸ぐらを勢いよく掴んだ。


「失敗してもそんなヘラヘラされてるとこっちが迷惑だ。てめぇみたいなやる気のない刑事はいらねぇんだよ」


「……俺からも1つ言わせてもらう。そうやって自分の都合に合わせて仕事をするのはやめろ。お前は私情で動きすぎだ。俺の行動を意識するくらいならどうすれば事件を解決出来るのか考えたらどうだ」


 この言葉が図星だったのか影崎は鋭く睨んでくると俺を殴ろうと振りかぶる。

 その腕は振りかぶったところで後ろに来ていた冬月に止められる。


「署内での職員同士の暴行は禁止ですよ。いかなる理由であれ暴力はいけませんよ」


 冬月がそう言って影崎を睨むと、舌打ちをして俺を突き飛ばしこの場を去っていった。

皆さんいつも読んでいただきありがとうございます。

今回から毎週水・日曜日の投稿だったところを金曜日にも投稿していきたいと思っております!

更新頻度の上がる闇夜に蠢く挑戦状をこれからもどうぞよろしくお願いします!

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