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闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第四章 悲嘆に蠢く狂願
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謝罪

 林を駆け抜け急いで病院へと戻り、さっきの女性の出てきた東側奥の病室へと向かった。

 病室に入ると既に冬月と桂木が到着していた。


「すまない、戻るのが遅くなった」


「いえ、大丈夫です。ですが……」


 冬月はどこか浮かない顔をしていたのが分かった。

 これから察するに恐らくはそういうことだろう。

 ベッドで寝ている患者の近くに歩み寄り、指を首に当ててみるも脈は感じない。


「……遅かったか」


「えぇ、ただまだ体温は少し感じることからついさっきといったところでしょうね」


 俺が見た光というのはそういう事だったのだろう。

 だが、光でどうやって一瞬で人を殺せるのだ?

 それこそ魔術による可能性しか想像がつかない。


「桂木、呼べそうな応援を呼んできてくれ。それと在中してる看護師さんも一緒に」


「分かった。ちょっと行ってくるね」


「すまないが気をつけて」


 桂木は病室を後にして看護師を呼びに行ってくれた。

 俺はもう一度被害にあった患者を見てみる。

 外傷はどこにも見られず、点滴を取っていることもないうえ、病状の重い患者では無さそうだ。


「先輩、これってやっぱり……」


「間違いないだろう。外傷も無く、注射をした後すら見つかない。となれば突然的な心臓発作が起きたかもっと別の力が働かないとこうはならないだろう」


「……また魔術ですか」


「俺がここに向かう途中、この部屋から光が見えた。それもかなり強烈な」


 そう言うと冬月は不安そうな顔をうかべ、俯いた。

 恐らくこの患者も心臓麻痺という診断が出るだろう。

 今までと同じなら尚のことその可能性が高くなる。

 でも犯人の目的は一体何なんだ?

 この殺し方に何か意味があるのだろうか?


 そんなことを考えながら窓の外を見るとさっき犯人を追って走った林が目に留まる。

 木々が生い茂り、それ以外には何も無い雑木林のようだ。

 ぼーっと眺めておくには悪くない景色だろうと関心したのもつかの間。

 その光景にどこか違和感を覚えた。


 何だろう。

 さっきあの林を通ったからこそその違和感にすぐ気付くことができた。

 さっきみた広場と鳥居がどこにも見えないのだ

 どういう事だ、あんなものがあればここからでもすぐ気がつくだろう。

 範囲を広げて見渡してみても何も無いただの雑木林だ。


 そのようなことをしていると廊下から数人が走ってくる音が聞こえた。

 そして看護師2人と桂木が病室に入ってきた。

 1人は昼間に面談をした吉木である事がすぐに分かった。


「西条さん、大丈夫ですか!?」


 吉木は患者に声をかけベッドに駆け寄った。

 当然返事は無く、吉木は状況を確認している。


「外傷は特にありません。寝てる間に何者かに何かされたみたいですがそこまで調べられてません」


「……刑事さんですよね。なぜ犯人も捕まえずここにいるんですかね」


「……申し訳ありません」


 怒りの表情を浮かべ、鋭い視線で睨んできた。

 彼女から見れば患者を見殺しにした挙句犯人を捕らえられてない無能な刑事に見えたろだろう。

 俺は弁明の余地もなくただ謝るしかなかった。

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