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闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第四章 悲嘆に蠢く狂願
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緊急会議

 その日の夜、少し気になり心臓麻痺について調べていたが『急性心臓死』というのにたどり着いた。

 この急性心臓死というのは拒血性心疾患であり、臓器への血液供給が減少し、酸素や栄養がいきわたらない状態の事のようだ。


「……これだけ見たら連夜死亡というのもありえるのだろうか……?」


 2日連続というだけであるため偶然という可能性もある。

 確証もなく捜査依頼も無ければ俺たちは動けない。

 事件が起きてからでないと動けないのはどうも歯痒いが仕方がない。


「ひとまず様子見だな。また明日にでも行くか」


「……行くってどこに?」


 不意に弓月から声をかけられた。

 どうやら考えてたことが声に出ていたようだ。


「え、あぁ、ちょっと病院にな。仕事で気になることがあってさ」


「そっか……また危ない感じなの?」


 弓月は今にも泣き出しそうな不安を感じさせる表情で俺の事をじっと見つめる。


「……まだ分からない。でも俺の仕事ってのはそういった危険な仕事なんだ。それはわかって欲しい」


 そう言うと弓月は俯き、肩を落として貸している部屋へと去った。

 まだ立ち直れていないようで少し心配になる。


「……大丈夫だろうか」



 翌日、デスクで書類の整理をしていると荒巻警部から声をかけれた。


「山川くん、ちょっといいかね?」


 荒巻警部はどこか張り詰めた様子だ。

 何かあったのだろうか?


「はい、どうかされましたか?」


「これから緊急会議をする。2人にも出てもらう」


「はい、わかりました」


 そう言って俺と冬月は手帳を片手に会議室に向かった。

 会議室に着くと警部の他に司書の桂木、新人刑事の新田、それと俺の同僚である影崎聖の3人が席に着いていた。

 影崎は俺の事を見ると鋭い目で睨みつけてきた。


「山川……」


 影崎とは同じタイミングで配属され、当時から何かと俺につっかかってくるのだ。

 俺のどこが気に食わないのだか。


「よし、全員揃ったな。それじゃあ会議を始めよう」


「あの、緊急ってことは何かあったのでしょうか?」


 まず初めに冬月が口を開いた。

 恐らくこの場にいる誰もが気にしていることであろう。


「あぁ、今回連絡を受けたのは森原総合病院というところだ」


「森原総合病院ですか。この辺りの総合病院の中でもなかなかの規模のとこですよね」


 桂木がそう言うと警部が頷いた。

 対して俺は森原総合病院ということに少し心配が残る。

 何しろ絵里ちゃんが入院しているためそこが気がかりだ。


「その森原総合病院で連日人が亡くなっていたのだ。今朝確認したところ3人亡くなってる」


「医療ミスとか事故じゃないんですか?」


 影崎は疑いを持っているようでその辺を指摘した。


「死因というのは心臓麻痺ですよね? それも全員突然のこと。さらには病状も重症軽症関係なく……で間違ってないですよね」


「あぁその通りだ山川くん。君は知っていたんだな」


「先日偶然にもその病院に用事があったんですよ。それと俺たちを呼んだということはもしかして……」


「察しがいいな。その通り、あまりにも不自然で納得ができない。これは怪事件とするのが適切と判断させてもらったんだ」


「なるほど……わかりました。では早速森原総合病院に向かった方がいいのではないでしょうか?」


「そうだな早いに越したことないだろう」


「では私は病院のスタッフと入院患者のについて調べます」


 桂木は情報をまとめたりプロファイリングするのが得意なため適任だろう。


「でも1人で大丈夫か? 量にしたら結構あるんじゃ?」


「そうね。同じ部署の手の空いた後輩にでも手伝って貰うよ」


「頼むよ。山川たち4人は現場で調査を頼む。必要に応じて桂木くんのサポートも頼む。今回の事件、このメンバーで一チーム。しっかり頼んだよ」


 そう言って会議は終了。

 各々がやるべき仕事に着こうと準備を始める。

 そんな中、影崎が俺に声をかけてきた。

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