報告書
闇夜に蠢く挑戦状第4章今回から連載を初めて行きます!
以前のようになるべく水曜日と日曜日に更新していく予定ですのでどうぞよろしくお願いしますm(*_ _)m
夢を見た。
それは悪夢に近いような気がするが具体的には分からない。
浮かび上がるは黒い渦。
その中にて輝く、異様な光。
恐怖も狂気も苦痛も悲嘆も違うが異様な何かを感じてしまう。
これは一体……?
目を開けるとそこは見慣れた自宅の天井だ。
さっきの夢は一体何なのか?
「……あの魔術書を読んだからか?」
そう呟き、机に置いてある本に目を向けた。
九十九島の一件の後、東坂健介から小屋で読んだ魔術書を譲り受けた。
これまでの事件のことを考えると読んでおいた方がいいと思い、あれを読んだのだ。
内容としては、後輩の冬月美夢が言っていたように未知の生物について書かれていたり、いくつかの魔術が書かれていた。
あまりに現実離れした内容であり、普通であれば信じ難い内容だろうが疑いようがない。
これは正しく実在し、自分たちが使ったのだから。
「まったく……これからもこんなのが続くんかよ……」
そう言って俺は身支度を始めた。
着替えを済ませ、持ち物を確認し終えると振り返って声をかける。
「弓月、俺はもう出るからあとは頼んだぞ」
そう言うも妹から返答はない。
九十九島での一件以来元気がない。
相当ショックを受けたようで俺もどう扱ったらいいのか分からない。
仕方なくそのまま俺は家を出て仕事へと向かった。
警察署に着き、自分のデスクへと向かった。
事件解決から4日が経ったが未だに纏まっていない。
それもそのはずだ。
未知の生物との遭遇、魔術の存在、島の被害、どれもこれも現実からはかけ離れている。
そんなもののまとめを書くなどどうかしている。
「……まったく、怪事件の調査まとめはこれだから」
パソコンに向かって大きくため息をついたとき、誰かが部屋に入ってきた。
「あ、隼先輩おはようございます。朝からそんなため息ついてどうしたんですか?」
「冬月か、おはよう。九十九島の調査報告書を書くのになんて書けばいいか悩んでてな」
「あー……確かにあれは書けたものじゃないですもんね」
「書いたとしてもそれじゃあSFのストーリーになっちまう」
「ふふっ、先輩でもそんな冗談言うんですね」
口元を手で抑え、冬月が笑った。
冗談のつもりでは無かったのだが……
「とにかく、あんな異常な事件は簡単に書けないんだよ」
「まぁそうですよね。異常な部分を省略して書いてみてはどうでしょう?」
「洗脳についてはどうするんだよ」
「それは……実は超能力を使っていたとか」
「結局同じことだろ」
分かっていたのか冬月は黙ってしまった。
実際、あの事件はあまりに現実味がない。
あんなことをどうやって報告書にしたらいいのか1週間ずっと書けないでいる。
「お、山川に冬月。もう来てたならちょうどいい少しいいか?」
そう呼びかけられ声の方を向くと警部の荒巻が立っていた。
「おはようございます荒巻警部。はい、すぐ向かいます」
そう言って俺と冬月は荒巻警部に連れられて小会議室へとやってきた。




