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闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第三章 離島に蠢く怪虫
57/105

決着

 浩太が連続して殴りかかってくるのを俺は必死に避けている。

 取ろうと思えば簡単に反撃を取れるがそういう訳にはいかない。


「いい加減ひれ伏せ!」


 轟破がそう叫ぶと俺に接近し、拳を振るう。

 避けられないと判断した俺は木刀で受け止めるように構えた。

 衝撃は軽減されたが木刀は砕け、とても使える状態では無くなった。


「……っ!」


 轟破たちは止まらない。

 反撃する余裕もなく、ただ避けることで精一杯だ。

 その時だった。

 俺の後ろから強く優しげな光が放たれた。


「やっとか……」


 後ろを見ると冬月の手に光の玉があった。


「隼先輩、お待たせしました。光よ島を包み、悪霊を除外せよ!」


 冬月がそう叫ぶと光が波紋のように辺りへ放たれた。

 その光からは不思議なものが感じられた。

 それは今まで見てきた不可解な力とは違う。


「貴様らァ! よくもしてくれたなぁ!」


 轟破が叫ぶと同じく、突然浩太が苦しみ始める。


「うぅ……がぁ……あぁぁぁぁぁぁ!!!」


 浩太が叫び上げると同時に、浩太から黒い何かが出てき、そのまま消滅していった。

 魔術は成功したみたいで、恐らく島の人たちの中からも同じように消滅していっているだろう。

 轟破は物凄い形相で俺たちを睨んできた。


「貴様ら……我が幸福の邪魔をしよって……ただでは済まさん!」


 明らかな殺意を俺たちに向け、轟破は凄まじい速さで迫ってくる。

 俺は何とかして避けようとするも、身体が思うように動かない。

 殴られる直前、冬月が俺の前に立ち轟破の拳を受け流した。


「冬月……! 助かった」


「いえ、大丈夫ですか先輩」


「何とかな」


 そう言って冬月の脇から飛び出し、轟破に一太刀浴びせる。

 轟破の腹部に刀が直撃し、少し後ろによろめいた。

 続けて冬月は構えを取り直し、正拳突きを放つ。

 咄嗟に守りを固められ、攻撃は通らない。


「くくく……くはははははは!!! 我々はまだ終わらない!!!」


 突然轟破は高らかに笑い始めた。

 また、その目は常軌を逸していた。

 狂った笑い声を上げながら轟破が俺たちに向かって迫る。

 冬月が俺の前に立ち、再び受け流す構えを取る。

 しかし、轟破の拳は先程よりも強く、受け流しきれず冬月は飛ばされてしまう。


「うぁっ!」


 冬月を殴った隙をつき、俺は刀を轟破の腹部目掛けて振り抜いた。

 胴に直撃し、後ろによろめいた轟破は悲痛の顔を浮かべ、俺の事を睨みつける。

 再びこちらに迫ってこようとしたとき、轟破に異変が現れた。


「うぐっ……がっ……こんなところで……我々の……こうふ……く……」


 そう言い残すとその場に倒れ込んでしまった。

 俺は轟破へ近づき、気を失っていることを確認した。


「お前は終わりだ、轟破。島の人たちを利用した罪、しっかり償ってもらうぞ」


 そう言った途端、頭がクラクラしてくる。

 どうやら身体は限界を達しているようだ。


 ……冬月、あとは頼んだ。


 そうして俺は気を失ってしまった。

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