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闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第三章 離島に蠢く怪虫
53/105

心配

「それで先輩、鍾乳洞にはすぐ向かいますか?」 


「いや、あの虫は夜に活動するらしい。だから明日の朝イチがいいんじゃないか?」


 正人の手記にそう記されていた。

 昼と夜とで人格が変わるらしい。

 だが、さっきの4人とやり合ったのは夕方。

 洗脳されてからの期間次第で変わるだろうか?


「兄さん、人と話してるときに考え事しちゃだめだよ」


 目の前に弓月の顔があり、驚いて一歩引いてしまう。


「え、あぁ、すまん」


「先輩っていつもそうですよね」


 冬月もため息をついて呆れていた。


「……面目ない」


「とりあえず、明日の朝になったら行く感じでしょうか?」


「その方がいいだろ。奴らの習性を知らないうえにこっちは隼君も傷だらけ、少しでもマシな時に行くのがいいだろう」


 健介が口を開いた。

 さっきの戦闘で少し傷を負いすぎてしまった。

 それ故に交戦となった時の不安は少ない方がいいだろう。


「ですね。あの虫による洗脳は、終わらせるのには数日かかるみたいですし」


「あぁ、一晩休んで5時頃にここを出よう」


「ねぇ兄さん、あの人たちはどうするの?」


 弓月が声をかけてき、指を指していた方向を見ると先程捕まえた4人がいた。


「そうだな。出来れば儀式までは大人しくしておいてもらいたいところだが、目を覚ませば騒ぎかねないな」


「ではどうしましょう?」


 冬月の問に少し悩んでいると健介が提案をあげる。


「なら私の診療所に置いておこうか。洗脳が溶けた時にこんな所にいては混乱してしまうだろうし」


「そうですね。確かにその方がいいかもしれませんね。健介さんお願いします」


 そう言って俺は小屋にあったいくつか気になる本などを棚にあったカバンに詰め、島民たちを引張って降りて行った。


 健介の診療所へ戻ってきた頃には既に日が落ちていた。

 冬月と俺は前日通り交代で見張りをすることとなり、俺は先に見張りをすることにした。


 日本刀と木刀を横に立てかけ、外が見える位置に構えた。

 30分ほどたった頃、誰かが後ろの部屋から出てきた。


「ねぇ、兄さん」


「なんだ弓月か。どうかしたか?」


 いつもの明るい弓月とは違い、どこか深刻に思い詰めた顔をしていた。

 こんな顔をした弓月を今まで見たことがない。


「ずっと気になってたんだけど、兄さん大丈夫なの?」


「……どういうことだ?」


「だって兄さん、ずっと難しい顔してるし無理してるでしょ。昨日だって1人で見張りしようとしたり、今日も1人で私たちを守ってくれて」


「……弓月、お前は知ってるだろあの事件。あれを繰り返したくない。だから俺は無理してでも守らないといけないんだ」


「……そうだけど、他のみんなも頼るべきでしょ」


「弓月、もう休め。疲れてるんだよお前」


 俺がそう言うと、俯いたまま弓月は部屋に戻っていった。

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