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闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第三章 離島に蠢く怪虫
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決意

 健介に手当てしてもらい、島民たちを拘束していると後ろから唸り声が聞こえてきた。


「う、うーん……あれ、私、何してたんだっけ……?」


「お、冬月。ようやく気がついたか」


「私、さっきまで本を読んでた気がするんですけど……?」


 気を失ったことに気付いていないのか、少し困惑した様子で辺りを見渡してる。

 俺が拘束してる島民に気付いたのか驚きの表情を見せた。


「せ、先輩! この人たちは?」


「さっきここがバレてな。交戦になった」


「それにその服……もしかして……」


「何、心配するな。さっき手当してもらったから大丈夫だ」


 そう言ったもののまだ軽く痛みはある。

 冬月がとても心配そうに俺を見ているのでとても申し訳ない気持ちでいっぱいだ。


「とりあえずだ。冬月、そっちで得た情報をくれないか?」


「あ、はい。私はさっきの古い本を読んだのですが、段々頭に何かが流れ込んでくる感覚に襲われまして。最後のページを閉じた途端に何かが切れた感じがありまして」


「それで気を失った訳か。内容に関してはどうだった?」


 そう聞くと冬月は目線を落とし、少しもごもごしている。

 何か言い難いことでも書いていたのかと思っているとゆっくりと口を開いた。


「先輩、『魔術』なんて存在すると思いますか?」


「……ここまで来て疑う余地もないだろう」


「そう……ですよね。この本には例の化け物たちや魔術について記されていました」


「少し捲ってみたがやはりか……」


「先輩の方は何か掴めました?」


 そう聞かれ、俺は机に置いておいた手記を手に持った。


「ここに正人さんが魔術を使ったことが書かれていた。そして、何かを召喚したことも書かれていた」


「召喚……?」


 目を見開き、まさかといった様子で目を見開いていた。


「あの本にやはり書かれていたか」


「はい、様々な化け物の召喚……又は神と呼ばれる存在の召喚について書かれていました」


 神の召喚。

 それが本当に可能なら手記に書かれていた内容が一致する。

 だが正気の沙汰ではない。

 正人はそこまでしてでもこの島を救いたかったのか。


 いや、あるいは香織たちのために必死になったのかもしれない。

 いずれにせよ、知れば知るほど無茶がすぎる。


「あとあの虫を撤退する方法も書いてましたよ」


「やはりなのか。こっちでその魔術を使う場所が記された地図も見つけた」


 そう言って冬月に鍾乳洞の地図を渡した。

 初め、これは何? と言った様子だったが少しして気がついたようだ。


「なるほど、鍾乳洞ですか。そしてそこが島の中心に位置していると」


「あぁ、そこで魔術を唱えるだけなんだろうが。冬月、いけるか?」


「多分なんですけど、私一人では難しいかと……」


「どういうことだ?」


 少し浮かない顔をしている。

 冬月は本の栞を挟んでいた所を開いた。


「この本に書いてある通りなら私1人でやる場合範囲はこの島の半分もないと思うんです。島を覆うなら最低でも3人のエネルギーが必要かと思います」


「3人……か。万が一邪魔をされた場合、俺はすぐ動けないといけないし」


「あの、私手伝います!」


 突然、香織が声を上げた。

 その表情からは覚悟を決めたような真剣な様子だった。


「でも、魔術なんてどんな代償があるかも分からない。冬月にもさせたくないくらいだと言うのに被害者である香織さんにさせるなんて」


「弟を、父のためにも私がやる必要があるんです!」


「……分かった。何か異常があれば直ぐに言ってくれよ」


 香織は真剣な目で俺を見ると、強く頷いた。


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