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闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第三章 離島に蠢く怪虫
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小屋での戦い

 冬月たちを守りながら戦うとなると場所の狭さと多数相手という大きな負担がある。

 少しの睨み合いが続いた頃、店主が俺目掛けて刃渡りの大きい包丁を振りかざしてきた。


「大人しく寝てろぉ!」


 半身で避け、店主と少し距離をとる。

 そして床を蹴り、木刀を店主の横腹目掛けて振り抜く。

 見事命中したものの怯む様子も無く包丁を構え、こちらへ突っ込んでくる。

 その後ろで昭恵はこちらを見て何かブツブツと話しているように見える。

 それを見て何か嫌な予感がした。


「何か分からないがさせない!」


 店主の足を木刀で払い、転倒させた隙に昭恵目掛けて体当たりする。

 昭恵は話すのをやめ、俺と一緒に床に叩きつけられる。


「ちっ、どきなさい!」


 次の瞬間、左肩に何かが刺さり強い痛みを感じた。


「っ……!」


 痛みで怯んでいたところを後ろから店主に蹴りつけられる。

 そのまま俺は倒れてしまう。


「兄さん……!」


 肩を抑えるとそこから血が流れているのが分かる。

 痛みに耐えながらゆっくりと立ち上がり、倒れた時に落とした木刀を拾い上げる。


 痛みに耐えながら店主目掛けて一振りする。

 悲痛の声を上げ、木刀を腕で受けたところを抑える店主。

 その隙にといわんばかりに昭恵が包丁を俺の腹部目掛けて刺そうとしていた。


 咄嗟に身を翻し、間一髪のところで避けることができた。

 再び攻めに行こうとした時、足を掴まれている事に気付いた。

 見ると先に倒した男が意識を取り戻し、俺の足を掴んでいた。


「お、大人しく……やられろ」


「……くっ」


 振り払おうにも体勢を崩しそうになり、上手く身動きが取れない。

 その隙に昭恵が包丁を振りかざし、切りつけてこようとしている。

 せめてもと思い、木刀で守りを固める。


 しかし、その包丁は俺を捉えることは無かった。

 昭恵は床に倒れ、頭を打ったようでその場で気を失った。

 どうやら弓月が昭恵に体当たりしたようで、尻もちをついていた。


「弓月……大丈夫?」


「それ兄さんが言っちゃう?」


 俺の足を掴んでいた男も驚いていたようで力抜けた隙に手を振り払った。


「まったく、無茶するんじゃない。危ないだろ」


「だから兄さんがそれ言うのはおかしいよ」


「俺はここにいる全員を守る義務があるんだ」


 そう言って弓月の前に出て、店主と向き合う。

 店主は雄叫びをあげながら俺に包丁を振りかざす。

 居合の構えをとり、床を強く蹴り間合いを詰める。

 刀を振っても当たらない距離まで詰め、刀の柄で店主の腹部を強く殴打した。


「ぐっ……うあ……」


 短い呻き声をあげ、店主はその場に倒れ込んだ。

 それを確認したのと同時に、肩を抑え近くの壁に寄りかかった。


「さ、さすがに1人で4人を相手するのは無理があったな」


「兄さんほんとに大丈夫!?」


 弓月が心配そうな表情を浮かべて駆け寄ってきた。

 

「無理に動かない方がいい。直ぐに手当してあげるからね」


「申し訳ないです」


 そう言って俺は健介に傷の手当をしてもらった。

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