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闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第三章 離島に蠢く怪虫
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祭りの前

 祭りが開始する時間が近づき、俺たちは準備を済ませると会場である神社近くの広場を目指して歩いていた。

 三人ともあまり邪魔にならない軽い荷物だけ持ち、格好もラフな格好だ。

 俺はラフというよりはいつもより少し緩くした程度でほとんどいつも通りだ。


「兄さん、祭りなんだからもう少し楽な格好にしらよかったんじゃない?」


 俺の格好をじろじろ見ながら弓月が呟く。

 それを聞いて冬月も俺の格好をまじまじと見てきた。


「確かにそうですけど……いつもとあまり変わらないんでそこまで違和感はないですね」


「……兄さん、もう少しくらい服装を気にしてみたら?」


 真顔で俺のことを見つめてくる弓月から視線を逸らす。

 服装くらい別になんだっていいだろと内心では思っていたがこれ以上は余計にややこしくなりそうだと思い、言うのはやめておいた。


「それに比べて美夢さんはわかってますね!」


 そう言われた冬月はえっと声を漏らし、自分の服装に目をやった。

 紺色の半袖シャツにストライプ柄のショートパンツといった女性らしさの出たカジュアルな格好だ。

 見た感じから動きやすそうで、祭りに行くとなれば適切な格好だろう。


「そ、そうですかね……それを言ったら弓月ちゃんも動きやすそうな格好だよね」


 弓月の服装はリラックス間のある白色のワンピースで髪もお団子ヘアというやつにしている。

 しかし、この二人のファッション話にはついていけない。

 仲良くなっていることはいいことではあるため、俺は少しうれしい気持ちになっていた。


「大学行ってるとオシャレには気を付けないといけませんから」


 大変ということは少し強調し、大学生の大変さを訴えている。


「確かにそうだったかもしれないけど私はあまり気にしてなかったかな」


 少し困った表情を浮かべ冬月は答えた。

 弓月も意外だなといった表情を浮かべていた。


「大学では一人でいることの方が多かったので」


「どうしてなんだ?」


 気になってしまい思わず訪ねてします。

 冬月は少し寂しそうな表情を浮べ、口を開く。


「隼先輩は知ってますよね、私の過去を。その影響で誰かと関係を結ぶことに少し抵抗があたんだと思います。でも、今はもう大丈夫なので気にしないで下さい」


 そう言って笑みを浮かべ、先を歩いて行った。

 冬月の中で何か変われる要因があったと思うと少しホッとする。


「少し暗い雰囲気になってしまいすみません。気を取り直してお祭りを楽しんでいきましょ!」


「……あぁ、そうだな」


「兄さんお腹空いたぁ。後で何か買ってよ」


「……お前、空気読めない奴って言われたりしないか?」


 この空気で話題を強引に切り替えるのはどうかと思った。

 弓月はケロッとした様子で特に詫びる様子はなさそうだ。


「空気が重いままじゃどうしようもないでしょ。お祭りを楽しもうよ」


 そう言って弓月は会場に向かって走っていった。

 あいつ、俺たちが仕事で来ていること忘れてるんじゃないだろうか……

 実際、祭りで何かわかるとは限らない、ほどほどに警戒して祭りを回るとするか。


 先を行く冬月と弓月を追うように俺も歩みを進めていく。

 祭りの会場はかなり盛り上がっているようで、活気に満ちている。

 弓月は冬月と一緒にいるようで、はぐれる心配はなさそう。


「冬月、弓月のこと見ててくれないか?」


「はい、いいですけど先輩は?」


 冬月は不思議そうに俺のことを見てくる。

 行動するなら二手に分かれておく方が多くの情報を得られると俺は考えたのだ。


「俺は一人で回っていこうかと思って」


 そのように答えると冬月は少し不満そうな顔で俺を睨んできた。


「な、なんだよ……」


「別に何でもないですよ……」


 頬を赤く染め、低い声で答える。

 どういうことなんだよ、全くもって分からない。


「せっかくの祭りなんだからみんなで回ろうよ兄さん」


 そう言って俺の手を引っぱってくる。

 仕事のことを考えればここで調査はしたいところだ。

 しかし、なぜだか冬月の機嫌を損なわしたみたいだしここは大人しく同行する方がいいだろうな。


「わかったから、腕を放してくれ」


「わかればよろしい」


 そう言って、俺の腕を離す。

 小さくため息をつき、冬月の方をチラッと見るとどこか安堵の笑みを浮かべているように見えた。


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