表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第三章 離島に蠢く怪虫
30/105

困った妹

「待たせた、警部から許可はもらったし九十九島に調査しに行くぞ」


「はい、わかりました。出発はいつになりますか?」


「すぐにでも向かいたいところだが、船の手配に時間がかかるかもしれないな。どれくらいかかることになるか……」


「観光客を迎える旅客船とかに乗れないでしょうか?」


「さすがに空きがあるとは思えないが……調べてみるか」


 俺がそう言うと、冬月は船の予約状況を確認し始める。

 いい具合に空きがあればあればよいのだが……

 三十分ほど調べてみたがどれも満員で乗れる様子はない。

 しかし、冬月がお礼の言葉言うのが聞こえてきた。

 そして電話を終え、俺の方に振り返る。


「隼先輩、予約キャンセルがある便を見つけました!」


「本当か?」


「はい、明日十時の便にちょうど空きがありました!」


 なんという運の良さだ。

 早く行きたいこちらとしてはかなり助かる。


「じゃあ明日の九時半ごろに港集合にしましょう」


「あぁ、帰ったら急いでしたくしないとな。俺は報告してくるから先に帰っておいてくれ」


 そう言って俺はその場を後にした。



 その後、明日から九十九島へ調査しに行くことを報告し終え、自宅に帰宅した。

 明日には九十九島に行くため、帰宅途中で急遽買い物を済ませておいた。

 家の戸を開くと弓月が台所に立って何かしているのが目に入った。


「ただいま、何やってるんだ?」


「あ、おかえり。ご飯作ってたんだよ」


「へぇ、料理できたんだ」


 俺はそう言って部屋にカバンを下ろし、床に座った。

 弓月はむっとした表情で俺のことを見て口を開く。


「兄さんほど料理は下手じゃないから。最低限出来るよ」


「……痛いとこつくな」


 弓月は料理に戻っていき、普段使われない台所から珍しく物音がするのに違和感がある。

 とりあえず明日の準備をしなくては。

 そう思い、旅行用のカバンを探し始める。

 普段使わないため、押し入れの奥にあり取り出すのに少し苦労した。

 そして、何日か分の衣服とノートパソコン、スマホの充電器やモバイルバッテリーなどをカバンに詰め込む。

 そのようなことをしていると弓月が顔をのぞかせてくる。


「兄さん何してるの?」


「あぁ、明日から仕事の関係で九十九島に行くことになってな」


「えぇ、せっかく来たのに兄さんいないんじゃ意味ないじゃん」


「そういわれてもこっちは仕事なんだから仕方ないだろ」


 ため息をつきつつ呆れながら答える。

 すると弓月はスマホを取り出して何かを始めた。


「よし、私も行く!」


「……は?」


 弓月のいていることを理解できなかったが、俺に向けるスマホの画面を見て理解できた。

 画面には『予約完了』の文字が表示されていたのだ。


「いや待て、俺は遊びに行くんじゃないんだぞ? 大人しくこっちで待ってろ」


「何のためにわざわざこっちまで来たと思ってるのよ。それに私、探偵事務所でバイトしてるから手伝いも出来るよ」


「なんでそんなおかしなバイトをやってるんだ?」


「友だちに頼まれちゃってねぇ」


「はぁ……まぁいい。くれぐれも邪魔はするなよ」


 予約してしまったものは仕方ない。

 それに言って言うことを聞くやつじゃないことは分かっている。

 弓月は嬉しそうに台所へと戻っていく。

 不安を感じつつ明日の準備を済ませる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ