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闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第二章 少女に蠢く憎悪
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再訪問

翌日の昼下がり、俺と冬月は再び青ヶ丘学園へと足を運んだ。

約束していた時間よりも30分早く付き、応接室で待機していた。


「……やっぱり早く来すぎたじゃないですか」


不機嫌そうな表情を浮かべ、冬月がつぶやく。


「遅刻するよりマシだろ」


「そうですけど……」


行こうとする直前、冬月に行くには早いと言われていたのだが、それを押し切り出たのだ。


「先輩は約束した時間を破ることは無いですけど、早くつきすぎてるので申し訳なく感じるんですよね」


「お、遅れる方が申し訳ないだろ」


冬月と言い合っていると職員室方面の扉が開き、湯呑みを乗せたお盆を持った明日香が入ってくる。


「よかったらどうぞ」


そう言って俺と冬月の前に湯呑みを置いてくれる。

お茶が入っているようだ。


「わざわざ悪いな」


「ううん、来客者に出すのは当然でしょ。それにしても相変わらず来るの早いね」


「う、うるさいな。いいだろ別に」


慌てて目の前のお茶に手を伸ばす。


「やっぱり早いんじゃないですか」


冬月の呟きに何も言えず、誤魔化すようにお茶を飲む。



しばらく待っていると正面の扉が開かれ、前回話をした長洲と5人の女子生徒が入ってくる。


「お待たせしてすみません。昨日お話した5人を連れてきました」


「いえ、無理を言ったのはこちらですので。どうもありがとうございます」


俺と冬月は椅子から立ち、長洲に頭を下げる。

そして、女子生徒の方を見ると5人とも少々面倒くさそうな、また疑問を浮かべるような表情をしている。

その中の1人が俺のことを見て声をかけてくる。


「あの、もしかして隼さん?」


「てことはやっぱり絵里ちゃんだったか」


絵里とのやりとりに疑問を持ったのか長洲が絵里に声をかけてくる。


「河野さん? 知り合いなの?」


「えっと、兄の友だちでたまに遊んでもらったことがありまして」


「……なるほどね」


俺は小さく咳払いをする。


「とりあえず話の方を始めましょう。生徒さんの方も早く帰りたいでしょうし」


そして、俺たちと生徒5人が向き合うように座る。


「では今回皆さんをお呼びした理由ですが……」


「あの! 奈緒ちゃんに何かあったのですか?」


茶色に近いボブの髪がよく似合っている子が割って聞いてくる。


「ええっと……米村さんですね? 大変申し上げにくいのですが……」



簡単に経緯を説明すると3人の生徒は驚愕の表情を浮かべ、少し顔が青ざめている。

無理もないことだろう。

友人がそのようなことに巻き込まれたのだから。

だが、絵里ともう1人は少し違った。

絵里も驚いていたようだが少し喜んでいるようにも見えた。

もう1人の生徒、立花このはだけは無表情のままだった。

この様子に少々違和感を覚えた。

それと同時に嫌な予感がした。

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