拘置所
「それで桂木さん、拘置所の場所っていうのは?」
「えぇ、ナビゲートするわ。山川君運転お願いね」
「桂木が運転するわけじゃないんかよ」
俺の突っ込みもむなしく、2人は先に駐車場へと降りて行った。
小さくため息をつくと鞄を片手に2人の後を追った。
2人から遅いと言われたが無視して車の鍵を開け、エンジンをかける。
助手席に桂木が座り、冬月は後部座席に座った。
「それで、拘置所は大体どこ辺りなんだ?」
「皐月原市にあるわ。というか行ったことなかったかしら?」
「何だかんだで行ってないんだよな。冬月は行ったことあったか?」
「先輩が行ってないなら基本的には私も行ってませんよ」
言われてみればその通りだ。
大方俺が冬月と行動しているわけだから俺が行ったことないところに冬月が行ったケースというのはごくまれなのだ。
……というか冬月のやつ機嫌悪くないか?
「ま、まぁそうだよな。ところで冬月、なんでそんな不機嫌そうなんだ?」
「何でもないですよ」
そう言った冬月から鋭い視線のようなものを感じたため、これ以上の言及するのはやめておくことにした。
何か嫌な予感がした……
しばらく桂木から道を教えてもらい、ようやく拘置所へと到着した。
ここにあの教団の連中がいるというのか……
駐車場に車を止めたのち、俺たちは入口へと向かった。
「すみません。ここは関係者以外立ち入り禁止ですが」
「警視庁の山川です。面会したい人がいてきました」
「これは失礼しました。どうぞ中へ」
入り口に立っていた警備員に促され、俺たちは中へと入ることができた。
その後受付に向かい、用件を伝える。
「金色の刻印教団教祖の天条と和田から話が聞きたいのですが、面会は可能ですか?」
「少々お待ちください」
そう言って受付の人は一度奥へと戻り、内線を取っているようだ。
しばらくして受付の人が戻ってきた。
「お待たせしました。面会できるとのことでしたのであちらへどうぞ」
そう言われて、俺たちは面会室へと向かった。
面会室は部屋の中央をガラスで区切られており、重々しい雰囲気がある。
ガラス面に向かって座り、天条が来るのを待つ。
「……先輩、本当に何か話すんですかね?」
「さぁな。簡単に話すとは思ってないが無意味とは思ってない」
「どうしてですか?」
「恐らく本人が来たらわかるぞ」
俺がそう言うと奥の扉が開き、中から天条と監視員の2人が入ってきた。
「いつぞやの刑事さんたちじゃないですか」
「……天条」
天条はわかっていたかのような含んだ笑みを浮かべており、どこか不気味さを覚えた。




