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第十五話「ダニオフォーエバーッ! そして、伝説へッ!」

 ハローハロー! エブリバディッ!


 俺、世界一カッコイイ紳士オブ紳士。

 

 皆、お待ちかね俺氏こと、ダニ・ダニオの出番だお。

 そういや、俺氏の本名ってなんだっけ……?


 山本なんとかって名前だったような気もするんだけど……やべぇ、マジで忘れてる。

 誰かに聞こうにも、皆ダニオとしか呼ばないから、もう諦めるしか無いお。

 

 とにかく、そう……俺氏の出番なんだお? なんだけどな。

 

 何ていうか……こう……俺氏的に、予想外の展開になっていたのだった!

 

「えっと、ロゼたん? 君が来たのはある意味、予想通りなんだけど……。なんで、他の子達も一緒なのかな?」


 そう……俺氏の前にいるのは、そろそろ見飽きてきたロゼ。

 なお、パンツの色は今日もピンク縞々……さっきもナイスパンチラを拝ませてくれたエロ娘だ。

 

 けど……ロゼのみならず、エストたん、リアンたん、ルーシュたん……。

 

 つまり、さくらたん以外のロリっ娘少女隊全員が揃ってたんだなこれが。

 

「それがさ……ダニオのとこへの転移魔法陣ってさ……迷宮守護者しか通れないはずなのよね? でも、今は皆、迷宮守護者扱いになってる訳で、もしかして行けるかなって試してみたら、行けちゃった訳!」


 そう言えば、そうだったお!

 

「ぬはははは……なんだもう……皆と会うのに、こんな手があったんだね! 俺氏と来たら、こんな簡単な方法に気づかなかったなんて、うっかり屋さんだお」


 そう言って、俺は両腕を交差させて、手の甲を見せながら指をわきわきさせる。

 ほら、良く医者が手術前にやってる仕草あるじゃん? あんな感じ。

 

 つまり、俺はばっちくなんか無いよーアッピール! なんである。


「……で、ロゼっち……コ、コレが例のダニオって変態野郎?」


「まぁね……って、やっぱ引くよねぇ……」


「ううっ……なんかもう、同じ空間で同じ空気吸ってるって思っただけで鳥肌が……なんだろう、このナメクジとかヒル見たときみたいな嫌悪感は……ねぇ、触られただけで妊娠とかしないよね?」


 エストたん、初対面でこれである。

 さすがに、触っただけで妊娠はしないと思うお……もしそうなら、少子化問題とか一気に解決だお!

 

 と言うか、エストたん……妊娠したいんだね? よっしゃっ! 任せろ!

 

「エストたん……初めましてだお……巨乳ロリってのもいいよね!」


 俺氏がニヒルな笑顔と共に一歩前に出ると、エストたんは青ざめた顔で胸をガードしながら二歩下がる。

 二歩進むと三歩引かれる……ナニコレ?

 

 リアンたんとルーシュたんの二人は、二人して手を繋いで壁際にへばりついてる。

 

 ルスカたんは……更に後ろで後ろ手に弓とか持ってて、物凄い目付きで睨んでるっ!

 

 いずれにせよ、その目には見覚えがある。

 あの日、俺氏の見守りに気付いて、防犯ブザーに手をかけた少女たちの目付きにそっくりだ。


「さ、触られただけじゃさすがに、妊娠はしないと思うよ……。でも触られたら、触られたとこ良く洗わないと駄目だかんね」


 一応、ロゼがフォローしてくれるんだけど、フォローになってないお……俺氏、泣いていいかな?


「そ、その変な数字を象ったメガネは何なのかなー? あはは……」


 場を和ませようとしたのかエストたんが、乾いた笑いと共に俺氏のお気に入り「2009」グラサンについて聞いてくる。


 むぅ……何よこの白けた反応。

 今日の気分は蛍光イエローの2009だったんだけど、シックに黒の2001の方が良かったのだろうか?


「むふん! さすがエストたん、お目が高いね! 俺氏自慢のグラサンのセンスわっかるー? このシリーズで2001から2009まで全部色違いで揃えちゃったんだお……どう? 俺氏のセンス素敵すぎて、濡れちゃった?」


 ……俺氏の渾身の口説き文句が効いたのか、エストたんはブルッと震えるような仕草と共に自分の両肩を抱いて、更に一歩下がる……やっべぇ、言葉一つでエストたんメロメロにしちった。


「とりあえず、ダニオ……そろそろ黙ってろ……な?」


 ロゼたん……戦場帰りのフル武装モードなもんで、デカいダガーをスラリと抜くと俺氏に突きつける!

 そして、その刃がピッと俺氏の頬を掠める。


 顔は笑ってるんだけど、オデコに青筋ビキビキ立ててるし、頬を撫でると手に血がっ!

 ロゼたん、マジです……それも激ギレ気味!


 ファッ? てか……なんで、そんなマネができちゃうの? おかしくね?

 前はロゼたん……中途半端な立ち位置だったから俺氏へやりたい放題だったんだけど……。


 正式に守護者登録した時点でマスターへの攻撃行動は一切出来ないはずなのよ?


「リッリッエーンヌ! おいこらっ! これは一体どういうこと?」


「マ、マスター……えっと、皆さんは臨時とは言え迷宮守護者である以上、当ウラガン大迷宮内の行動制限もありません。それにマスターは現在権限凍結によりマスターではなく、迷宮の侵入者の一人とみなされてます……なので、攻撃制限とかもないので……あの……この状況……対応次第ではマスターの命も危ういんじゃないかと。リ、リリエンヌは悪くないのですー!」


 なるほど、俺氏……全て理解した。

 

 つまり、俺氏……絶体絶命のピンチにある。

 つい、はしゃぎすぎたせいで彼女達の警戒心と敵意はマキシマムである。

 

 と言うか……皆が迷宮攻略完了となる条件。

 ……それはすなわち、ダンジョンの最終ボスキャラを攻略する事。

 

 最終ボスキャラとは、他ならぬこの俺ッ!

 

 となると、俺氏のこの場で果たすべき役割……それは、最終決戦を演出しド派手に散るのだ!

 

 実に……実に名残惜しいのだが、予てから待ち望んでいたフィナーレの舞台が整ってしまったという事なのだ。

 

 こうなったら……こうなったら、やるしかないっ!


 漢の中の漢……紳士オブ紳士たる俺氏の一世一代の頂上決戦!


 ちょっと、派手に輝いちゃおうっかなー!

 

「フ、フハハハハっ! フワーハハハハハッ!」


「ど、どうしたのよ! ダニオ……いよいよ、頭おかしくなった?」


「ウワハハハッ! ハッハッハ! これが笑わずにいられるものかよ! ロゼたん! エストたん! ルーシュたんにリアンたん……そしてルスカたん! 皆、よくぞ俺氏の前にやってきた! 俺氏こそは、このウラガン大迷宮の真なる支配者ダニ・ダニオであーる! この場……今、この瞬間こそが諸君らの最終決戦の場である! 俺氏を倒せば迷宮クリア……コングラチュレーション! けど、もし倒せなかったら、全員裸んぼにして余すとこなくペロペロするんだお!」


 俺氏の妄想パワーを駆使して、全員俺氏の想像の中で全裸にしてペロペロする場面を想像する。

 あーこりゃあかん……その光景を克明に描写したら、完全アウト。

 

 ……やっべぇ……ギンギンッに、みなぎってきたぜっ!

 

「そんな訳で! 俺氏! 本気で参っちゃったりするんだお! さぁ! 見るが良い! これが俺氏の本気だおっ!」


 いつも着ている白衣をバサッと脱ぎ捨てると、俺氏はビキニパンツとタンクトップ姿になる!

 ああ、貧相な身体の軟弱野郎の見本と言われてもぐうの音も出ないこの俺氏。


 ……ヒョロガリだし、戦い方とかまるで知らない一般人だ!

 

 だがしかしっ! 切手サイズの注射器から秘密のドラッグを首筋にうちこんで、全身に力を込める!

 それに答えるように、ビキビキと筋肉が蠢きながら増大していく!


 そして、パッツンパッツンになったタンクトップが俺の筋肉に負けて、ビリビリとはじけ飛ぶ!


 そう……こんな事もあろうかと思って、かねがねより準備していた俺氏の戦闘モードがいよいよ御開帳ッ!

 

「見るが良い! その名もダニオ240%だっ!」


 カッコよくサイドチェストのポージングを決めるッ! 美ロリ少女隊の皆の目線は俺氏に釘付け!

 

 さらに、フロントダブルバイセプス……からのスマイルポージング!

 

「どうだね? 美ロリ少女たち……この完璧過ぎるダニオ240%の筋肉美……こんな事もあろうとかと思って、瞬間マッスル化ドーピング剤を開発していたのだよ! ……君たちには少し刺激が強すぎたかな? まぁいい……降参するなら、全員パンツを脱いでそれを白旗代わりに振るんだお……けど、なるべく恥ずかしそうにゆっくりと脱ぐんだよ? うひひ……」

 

 そう言って、全身の筋肉をビクンビクンと動かすと、もう一回スマイルと共に腰の前で両腕を組んで、上半身の筋肉を強調する渾身のモストマスキュラーを決める! まさに! まさに! クリティカルヒット!

 

「ふんぬらばっ! これでトドメだっ!」


 頭の上に両手を持っていき腹筋を強調するアブドミナル&サイが完璧に決まった!!

  

 こりゃもう、全員足腰立たんだろう……今夜は全員眠らせないぜ……子猫ちゃん達。

 思わず、イケナイ事を想像しているうちにアレがギンギンになってる事に気付いた。

 

 俺としたことが、なんて紳士的でない行いを……静まれ! マイサンッ!


 ……でも、皆の視線はナニに釘付け。

 エストたんなんか、顔を真っ赤にして手で覆いながらも……指の隙間からチラ見してるし……。


 ふふふ……名付けてマッスル・ド・キング・チャーム作戦……もはや、完璧過ぎる。

 

「ッキャアアアアアッ! この変態っ! 変態っ! 変態っ! 死ぃねぇえええっ!」


 ーー絶叫とともに、それまでフリーズしてたロゼたんが飛び上がりながら、回転蹴りを仕掛けてくる。

  

 それを鮮やかに見きって避けると、パシッとロゼたんのアンヨを掴む。


「う、うそっ! ダニオのくせにっ!」

 

 くくくっ……ドーピング効果により、俺の身体能力は倍増しているのだ。

 動体視力、反射神経、筋力……そう全てにおいてだ! 身長すらも五割増しまで増強されたダニオ240%のパワーはもはやさいつよだ。


 ロゼたん、無残にもおパンツ全開でプラーンと逆さ吊りに……。


「は、はなせっ! こんちくしょーっ!」


「はぁはぁ……ロゼたん、おパンツ可愛いお……ちょっとだけ触っていい? ね? さきっちょだけだから!」


「くぁwせdrftgyふじこlp!」


 ロゼたん、顔を真赤にして、意味不明の絶叫と共に釣り上げた魚みたいにビチビチと暴れる!


 なんだろう……この征服感……たまらない。

 いやいや、紳士たるもの紳士であれ……筋肉紳士ジェントルマッスルイケナイ事は駄目マッスル!

 

 一瞬の逡巡を付くかのように、次の瞬間……俺氏の視界は縞々パンツに塞がれた。

 

 何ということだろう……逆さ吊りの状態から抜け出すべくロゼたんは俺氏の顔を足で挟み込んで来たのだ!


 ロゼたんのおパンツが……太ももが……俺氏の顔を包み込む。

 思わず、息を吸い込むとロゼたんの香りでむせ返りそうになる!


(たまらんっ! 何という至福! これぞまさにヘブン状態ィイイイッ!)

  

 けど……ヘブン状態のあまり……俺としたことが、思わずロゼたんの足を離してしまった。


 自由になったロゼたんは、上体を逸らすと、俺氏の首を両足の太ももで完全にロックしながら、エビ反りになりながら俺の足首を掴む!


 次の瞬間……一回転したような浮遊感の後、世界が逆さまになって、脳天に衝撃と共に致命的な何かがカチ割れたような感触が……。

 

 薄れ行く意識の中……俺氏はなんとなく悟った!

 

 俺氏! フォーエバーッ! そして、伝説へッ!

えーと……決め技はフランケンシュタイナー。


史上最低のラストバトル……警告とかくらいませんように……。


次回、最終回!!

でも、後二回で完結予定なので、最終回じゃありません……なんのこっちゃ。


第十六話「この道わが旅、旅路の果ては未だ遠く」


お楽しみにっ!

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