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第十四話「決戦! ド・ヴォルザーグ!!」②

「くっくっく……今のは良かったぞ! だが、まだまだっ!」

 

 ダガーが突き立った状態で、平然と吠えるミックス侍。

 

「ごめんなさいねぇ……いくらなんでも、中から燃やされたら持たないよね?」

 

 言いながら、ダガーにぶら下がったまま、バーニングフレアソードの発動準備に入ろうとするのだけど……。

 

「させるかっ! チェンジモード! ブルー・コキュートス!」


 バーニングフレアソードの発動直前にミックス鎧の全身が青く染まり、突き刺さったダガーが凍り付く。

 

 氷が手にも回りそうになって、慌ててダガーから手を離し、バク転を繰り返しながら一気に距離を取る。

 

「ズルいっ! こっちは寒いの苦手なのに!」


「知った事か! 敵に応じて属性を切り替えることこそ、我が真骨頂! 炎相手ならば冷気でもって相手する! 当然である!」


 くっそーっ! もう一手だったのに……チートだ! チートッ!


「なら、次の相手は私よっ!」


 今度はエストが突撃! 冷気をものともせず、体格差に構わず吶喊!

 

 助走をつけての、ジャンプ斬り!

 

「ふん、貴様のような小物! 話しにならんわ! 出直してくるが良い!」


 けれども、そのエスト渾身の一撃もあっさりと受け流される。

 

「そう? なら対大物用の切り札いくわよっ! ヘビーブレイド・オーバーブレイズ!」


 エストの大剣が巨大化し、刺々しい5m程のものへと姿を変える。

 その大きさはエストの3倍以上あるんだけど、それを平然と抱えていた。

 

 いつのまに、こんなのを習得してたんだろう?

 雰囲気的に土属性っぽいんだけど……要するに重量まかせの力押し……?

 

「ほぅ……なかなかの獲物だが……そのようなもの……こうするまでよっ! いでよ! ハリケーン・サイクロン! 削り尽くしてくれるわっ!」


 鎧の色が緑に変わり、さっきの疾風オブ疾風の使った竜巻が発生する。

 ミックス侍……安定の横文字技名。

 

 でも……いーのかな? そんなのつかっちゃって……。

 

「「複合魔術! アイスブラスト・トーネードッ!」


 ルーシュとルスカの複合魔術!

 大きな氷の礫まじりの突風がミックス侍の竜巻に叩きつけられる!

 

 回転する渦を打ち消す逆位相回転の質量弾混じりの強風。

 あっさりと竜巻が打ち消される!

 

「おのれ! 複合魔術だと?! コレに対するには火は駄目か……土も風に弱い……水もいかん! だが、あの質量……風では防げん!」

 

 あ、なんか迷ってる……。

 と言うか、迷ってる場合じゃないんだけどなー。

 

「おそぉいっ! ぶっ潰れろぉおおおっ!」


 エストが雄叫びを上げながら、もはや巨大な石棍棒みたいになった剣を振り下ろす!

 

「お、おのれぇえええええっ!」


 必死で受太刀をしようとするも、そんなもん間に合うわけもなく哀れ……ミックス侍は石棍棒の下敷きになった!

 ズゥウウウウンとものすごい音と共に石棍棒も砕け散り、もうもうたる煙に包まれる。

 

 けれども、煙の中でミックス侍はまだ立っているように見える。

 

「ったく、しぶといのね……」


 言いながら近づくと、随分と小さくなっていることに気づく。

 いや、地面に腰くらいまでめり込んでる……両腕も変な形になっってて、半ば千切れかかってる。

 

「み、見事だ……トドメを刺せ……全属性による連携複合技で我が能力を完封するとはな……恐れ入った」


「まぁ、私ら相手に頑張ったほうだと思うわ……お疲れさん、バイバイ!」


 そう言って、肩に突き刺さったままになっていたダガーの柄を握ると、バーニングフレアソードを発動!

 ボンッと言う軽い爆発音と共に鎧の隙間から火を噴くと、ミックス侍は動かなくなる。

 

「……うん、侵入者なんとかド・ヴォルザーク討ち取ったり!」

 

 右手を掲げると、エストが走り込んできてハイタッチ!

 

「うぇーい! ロゼっちナイストドメッ!」

 

 そのままの勢いて、二人して手をたたき合って、喜びを分かち合ってると、ルスカやリアンが抱きついてくる。

 

 まぁ……なんだかんだで、全員力を合わせての危なげのない勝利って奴だった。

 さて、侍軍団は返り討ちにしたし……お次は本命のドラゴンさんかな?

 

 ちょっと相手してやって、話し合いの末お引き取りいただくってのが楽でいいんだけど。

 

 なんてことを思っていると、下の方から鈍い爆音と唸るような地響き。

 

「いやぁー! ロゼたん達お疲れ様だお! 侍軍団との対決、観戦してて実に楽しかったお。ちなみに、今の爆発音はベルダラキオのバカが吹っ飛んだ音だお! あのバカ、迷宮の入り口の第一歩目に仕掛けてたアトミックボム踏みやがった! 二度も同じ手にひっかかるとか、お馬鹿だプー! ウヒャホヘヒャー!」


 なんか、勝利の余韻とか色々台無し……しかも、またしても汚い……ダニオきたない。

 

「ダニオ……一度そっちに戻るから、ケツミドルキック50発の刑ね……つまり半殺し決定!」

 

「アイエエエエ! ロゼたん?! ロゼたんナンデ!?」


「なんか、そろそろムカついて来たから……以上! ケツを洗って待ってろ!」


 そう言って、私は転移の魔法陣を描き始める。

 

「ロゼさん、どこに行くのです?」


 リアンが慌てたように尋ねてくる。

 

「ちょっと、バカに制裁を……ついでに、ご飯でももらってくるから、皆はここで待ってて!」


「敵はどうすんのよ? まだ来るんじゃないの?」


「なんか、ダニオが横槍入れてきた上に、また汚い手でふっ飛ばしちゃったらしいのよね……なんかムカついてきたから、軽く懲らしめに行ってくるわ」


「あー、まぁ……死なない程度に手加減しなさいね……」


 エストが軽く頭を抱えながらも、色々諦めたような感じ。

 

 そして、転移用の魔法陣に足を踏み入れようとした瞬間。

 

 私は……ある事に気付いた。

 

ド・ヴォルザーグ戦……終了ッ!(笑)

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