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第十三話「別に魁たりしないけど、勝ち抜けタイマンってお約束だよね?」③

「……すまぬが、そろそろお主には退場してもらう……次は我が相手ぞ! ……我が名は疾風しっぷう疾風はやてである!」


 緑色のちょっとスマートな感じの鎧武者が一歩前に出る。

 

 風属性っぽいけど、まさにそんな感じ……どうでもいいけど、しっぷうのはやてって?

 確か同じ字じゃなかったっけ? 何というか、風アピールが凄いっ! 

 

 でもまぁ、予想通り勝ちに来たね……相性的に土属性に強いのは風属性、水属性も風には強くない。

 ……うーん、こりゃエスト終了のお知らせかな。

 

 またもや風景が変わり、今度は竹林に変わる。

 さっきまでのクソ寒い氷の世界と打って変わって、サワサワと風の音がなるどこまでも続く竹林の世界。

 

 うん、寒くないのはイイね! てか、寒いのが退場したから、もはや私に恐れるものはないッ!

 

 天然カイロとして抱きしめてたリアンを開放してあげると、何故か名残惜しそうな顔をされた。

  

「ゆくぞ! 風水戯画……風林の陣! 我、疾きこと疾風の如し……四方八方から襲い来る我が疾風剣に切り刻まれて、死んでいくがいい!」


 そう言って、緑の侍は縦横無尽に凄まじい速度で竹林の中を飛び回る。

 でも、そろそろ疾風アピールはやめた方が良いと思う……。

  

 けど、さすが疾風オブ疾風!

 こんな竹林の中で、何をするのかと思ったら、竹を足場に竹のしなりを利用してビュンビュン飛び回る!

 

 もはや緑の残像しか見えないくらいの超高速機動ッ!

  

 エストはその素早い動きについていけていない……その上、大剣を振り回そうにも竹林の中では、思ったように振り回すことも出来ないようだった。

 

「くっ! このっ! このっ!」

 

 もちろん、エストの防御力も相当なものだから、多少切られた程度では全く堪えないのだけど。

 塵も積もれば山となる……一方的にやられるだけの展開が続く。

 

「エスト! なにやってるのよっ! 全然追いつけてないじゃない!」


「そうは言っても、コイツの動き……速すぎて! おまけに竹が邪魔っ! ちくしょーっ! 舐めんなっ!」


 エスト……ブチ切れたらしく周囲の竹を片っ端からなぎ倒し、大剣を振るスペースを確保しようとするのだけど。

 

 そんな事をやっているうちに、がら空きの背中へ疾風侍の飛び蹴りがクリーンヒット。

 

「馬鹿めっ! 隙だらけではないか! 疾風蓮華しっぷうれんげッ! ハィイイイッ!」

 

 飛び蹴りで体勢を崩したところへ、疾風侍がエストの頭を掴んで首投げを決める!

 兜がすっぽぬけたらしく、エストの身体だけが宙を舞って、地面へ叩きつけられる!

 

 エストは私達の中でも背丈ある方だけど、やっぱ体格的には劣るからこの手の近接戦は厳しい……。

 

「あうっ! よくもっ!」


 背中を打ち付けたせいで、呼吸困難になったようで、荒く息を整えながら、立ち上がるエスト。

 ……ダメージはほぼ無かったようだけど、呼吸が乱されて、良いようにやられてることへの焦りが彼女の剣から冴えというものを失わせていた。

 

 ……更に竹も切った矢先から、筍になって次々再生していってエストが作った隙間を埋めていく……エストもストーンウォールで死角を減らそうとするのだけど、ストーンウォールは風属性の攻撃には弱い。

 

 一陣の突風が吹くと、それだけでストーンウォールがボロボロと崩れ去っていく


「……外法ニノ風! 風化の法! そんな土壁、我には通じんぞ!」


 ……あ、こりゃ駄目だ。

 

 ストーンウォールが駄目となると……近接戦オンリーのエストに、空から自在に襲ってくる三次元機動の相手は分が悪いなんてもんじゃない。


 勝負ありだねぇ……普通に考えて。

 

「あのさっ! この勝負……もうこっちの負けでいいから、この辺で勘弁してあげてくれない?」


 とりあえず、負けを認めた上で降伏を認めるようお願いしてみる。


 エストのことだから、この調子だと死ぬまで負けを認めないと思うけど……。

 一応一勝してるし、ボロボロになるまでなぶり殺しにされるのを見てるだけとか嫌だしねぇ。

 

 それに……なんとなくだけど、これ……時間稼ぎのようにも見える。

 

 何度か確実に急所を突けるタイミングがあったのに、そうしようとしてない。

 さっきの投技なんて、頭から落とすのを食らってたら即死だったろうに……背中から落とす優しい技。

 要はただのお遊び……。

 

 じっくりと時間をかけて嬲り殺しにするつもりなのかもしれないが、どのみち勝負は見えていた。

 

「ちょっ! ロゼ! 私はまだ戦える! 勝手に人を負けにしないでよっ!」


「相性が悪いんだから無理だっての……どうせ時間かけても負け確なんだから、さっさとあきらめなさい……」


 とりあえず、エストに降伏を促す。

 

 防戦一方だったエストも諦めたように大剣を投げ捨てる。

 

「……しょうがないわね……降伏するわ……皆、ごめん……後は任せる」


「ふむ! よかろう! 貴様の降伏を認めよう……この勝負、我らが同志疾風の疾風の勝利である! 見事だった!」


「ふん……あっさりと降伏とは……軟弱な……まぁいい……次は誰だ? そこの赤いのが来るか?」


 まぁ……わたしが出れば、こいつには勝てそう……竹林とか燃やしちゃえば済む話だし。

 それに正直、あの程度の動きなら私なら対応できる。

 体格差も鬼神化すれば、パワー差で余裕で覆せる。

 

 けど、ここは、さっきから私のスカートにまとわりついて、自分にやらせろアピールに余念がないルスカにでも頑張ってもらおう。

 

「……ルスカ、頼むわ……同じ風使い同士、実力勝負ってとこね」


 無表情で口数の少ないルスカが珍しくキラッキラな顔で、大きく頷くと上機嫌そうに前へ出ていく。

 

 入れ替わりにブーたれた表情のエストが私達のところまで戻ってくると、どっかりと腰を下ろす。

 リアンもちゃんと解ってるみたいで、ヒールで回復を施す。

 

 さすがリアン……この戦いは前座だって事に勘付いてるようだった。

 

 この分だとこいつらが時間を稼いでいる間に、例のドラゴンと灼熱の塔の他の兵力を纏めて、大挙して強行突破を図る……どうせ、そんなところだろう。

 

 ダニオはケダモノとか馬鹿にしてたけど、曲がりなりにもダンジョンマスター……こないだのワンコマンだって、まともにやったらかなり面倒くさかったと思う。

  

 まぁ、こっちはこっちで魔王様の魔王城が灼熱の塔の上空まで辿り着けば、灼熱の塔の陥落は時間の問題。

 どっちかと言うとこっちが有利だと思う……だから、この茶番にも付き合ってやろうじゃないか。

 

 なお、ダニオがなんか言ってるけど、スルーです!

 

 さて……ルスカ。

 この娘、一人で戦うのって始めて見るんだけど、その実力は如何に?

 

エストの噛ませっぷりが酷い。(笑)

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