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第十三話「別に魁たりしないけど、勝ち抜けタイマンってお約束だよね?」②

「では参るぞ! 我が力……とくと見よっ!」


 そう言って、青い武者が太刀を抜いて、構えると迷宮の床が白く変化していく。

 それは壁や天井すらも侵食して、あたりの風景が変わっていく。

 

「これぞ、我らが奥義風水戯画! 氷結の陣!」


 あたりの風景が一変し、上下と壁に氷柱がひしめく刺々しい空間に変わる。

 おまけに……めちゃくちゃ寒いっ!

 

「……凄いね……これ……自分の固有空間に相手を引き込む……そんな感じの結界術だよ……つまり、相手の庭みたいなもんだよ……」


 そんな事どうでもいいから、寒いっ! まさか氷結ダンジョンに続いて、こんなとは……とりあえずリアンをひっ捕まえて、即席カイロにする……。

 

「あ、ロゼお姉さま……いきなり大胆っ! そ、そこは……」


 ……歯の根が合わないくらいだったんだけど、リアンとルスカが寄り添ってくれたから、ちょっとマシになった。

 

 エストは……割と平然としてる。

 なるほど……こいつら、4属性に応じて環境を最適化させた上で戦うボスキャラって感じなのね。

 むしろ、こんなんだとチーム戦闘とかの方が不利……こりゃ、良いように乗せられた気もしないでもない。

 

「……ふふん、氷のステージとか……悪いけど、こないだこんな感じのとこでやりあったばかりなのよね……! うちで寒さに弱いのはロゼっちくらいよっ! 私は全然平気だ! うりゃーっ!」


 そう言って、エストは青いのに突撃開始……途中の氷柱とかは片っ端から粉砕……やっぱ、突撃バカなんじゃないの。

 向こうの青いのも全くひるまず突っ込んでくるエストに戸惑いながら、応戦する。

 

 周囲から氷柱がバンバン飛んできて、エストに向かうんだけど……ストーンウォールを上手く使って、背後や死角を埋めて、片っ端から叩き落とし、やがて肉薄しての一撃が炸裂する!

 

 受太刀をしながら、ズザザーッて下がる青武者!

 

「……お、おのれっ! 我が凍気を全く寄せ付けないだとっ! どうなっているのだ貴様っ!」


「私ってば、水と土の加護持ちなのよ……この程度で私を止められると思ってるの? ふはははっ! 死ぬがよいっ!」


 ……エスト大興奮……。

 もはや滅多打ち状態……ああ、こりゃ勝負あったかな?


「バ、バカな……ならば、これでも喰らえっ!  永久氷嵐エターナルブリザード!」


 見るからに寒そうなキラキラした結晶の突風みたいなのがエストに浴びせられる……さすがに、範囲攻撃を避けられるはずもなくエストの姿が真っ白な風の中に消える!

 

「ちょっと! エスト……まともに食らってるんじゃっ!」


 思わず、身を乗り出そうとした所をルーシュが左手で制止する。

 

「……ロゼさん、大丈夫……エストさんがそんなヤワな訳ないじゃないですか」


 そう言って、ルーシュはニヤリと笑う。


「……すまんな……初戦からつい本気を出してしまった……この風は絶対零度の風……故にあらゆる物体が凍り付く……敵ながら見事な気迫であった……許せ」


 白い霧が晴れると、大剣を振りかぶったままのポーズで固まってるエストと思わしき氷像のようなもの……。


「あ……さすがに、これは無理……だよね?」


 思わずつぶやきが漏れる。

 

 自信満々っぽかったルーシュもたらっと頬に汗を流す。

 

「あれは……伝説のエターナル・フォース・ブリザード……一瞬で相手の周囲の大気ごと氷結させる 極大魔法の一つ……その効果はシンプル……相手は死ぬ!」


 今日は、魔王様がお休みなので、ルーシュ……見事に解説役を演じきってくれた。

 エスト……見事なまでの噛ませっぷりだった。

 

「エスト……相手を舐めてたね……けど、相手の切り札は見切った……今度こそ、私の出番! 仇は取るわっ!」

 

 私が勝ったら……あとで指差してバカにしてやろう。

  

 青い武者も、エストの死亡を確信したようで、祈るようにエストに向かって両手を合わせると、太刀を収めて振り返る。

 

 けれども次の瞬間、青い武者の足元と頭上から同時に石の壁が生えてきて、一瞬で武者は挟み込まれる!

 

「ぐ……ぐはぁ……な、何が起きたのだ……?」


 辛うじて頭が潰されるのは回避したものの胸を挟み込まれた状態で、もはや身動きも出来そうもなかった。

 

 エストの氷像に、ピシピシとヒビが入るとパァンと音を立てて、砕け散った!


 その後には、割りと元気そうなエストの姿が!


「ふぉおお……今のはちょっとヤバかった! と言うか……ロゼっ! あんた、人を勝手に殺すなっ!」


「うん、ごめん……普通に死んでたじゃん……今の」


「一回、氷漬けにされてみてよ……まず動けない、息できない……こちとら結構必死だったの! おまけに勝ちセリフまで言われるし……ふぬーっ! どいつもこいつもっ!」


「くっ! 馬鹿な……我が永久氷嵐が通じんとは……む、無念也っ!」


「まぁ、あんな大技決めて、普通は勝てるんでしょうけどね。

 ……背中まで向けちゃったのは、やっぱいただけないなぁ……ねぇ、さすがにもう無理っぽいから介錯でもしようか?」


 そう言って、エストは青い武者の前に行って、跪く。


「……敵を侮ったのは我の方だったようだな……すまんが、頼む」


 身体をストーンウォールに潰された青武者がそう言うとエストも無言で武者の首を撥ねる……。

 

 まずは一勝……だった。

 

「ルーシュが思わせぶりな事言うから、エスト死んだかと思っちゃったじゃない」


「あはは……ロゼさん、考えてみたら、アイツ……エターナルブリザードとか言ってましたね。ただの氷雪系魔法のちょっと強いやつ……だったのかなー」


 ルーシュが笑って誤魔化す。

 

 それにしても、勝ち抜き戦だからこうなるとエスト連戦。

 エストが水と土の防御属性持ちだってバレたから、ここは相手も勝ちに出て対抗出来るのを出してくるだろう。

 

 続いての第二戦が始まろうとしていた。

およそ、二ヶ月ぶりの更新だっ!

とりあえず、こっちも意外と好評だし、続けられそうなので、続行とします。


新作の合間にちまちま書いてるので、スローペースでしょうけど、引き続きよろしく。(笑)

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