第十二話「ドラゴン怒りの特攻! 臭いものには蓋しちゃおうぜ!」②
……それからって奴なんだなー。
あの後、ネグリジェ姿のロゼたんが俺氏のところにすっ飛んできて、一発ぶん殴られた挙句、お説教の真っ最中。
俺氏とリリエンヌは正座待機中。
ロゼたんのヒステリーはもはや、留まるところを知らず。
時々、ケリとか飛んできます……主に俺氏へ……解せない。
むしろ、見かねたらしくモニターの向こうのさくらタンが助け舟を出してくれる。
「……まぁまぁ、ロゼ殿その辺で許してやっておくれ……そろそろ、話を進めさせてくれんかのう。」
「……ああっ? あ……そうね……うん、とにかく……ダニオッ! 私だけならともかく、魔王様にまでセクハラ覗きとかもう最低過ぎっ! ……とにかく、謝んなさい! 土下座よっ! 土下座っ!」
「お、おう……なんか、ゴメンだお……でも、俺氏の魔王様への忠誠は激MAXなんだお……魔王サクラ様最高っ! ビューティフォー! って言うか、そもそもリリエンヌ! てめーのせいだろう! もっと額を地面に擦り付けろ! こうだ! こう!」
俺氏は額を視点にして、ケツを上げて、膝をぴーんとまっすぐ伸ばして、両手を身体に沿わす、二等辺三角形土下座を決める。
90度のお辞儀をしながら、そのまま額を床に付けるのを想像すればいいんだお。
土下座を超えた土下座の前にもはや魔王様もロゼたんも声も出ないようだった……さすが俺氏!
「こうですか! 解りません!」
リリエンヌも同じポーズを決める……スカートが捲れ上がって、ノーパンのお尻が丸出しで、思わず後ろからぶち込みたくなるポーズだった。
何をぶち込むって? そりゃ、ナニに決まってる……なんてな。
紳士な俺氏は、もちろんやらない……欲望に負けたら、俺氏終了のお知らせなのである。
……そんな事をやってると、俺氏のケツにロゼたんのヤクザキックが炸裂する。
「そんなキモい土下座なんてしらないわよっ! リリエンヌも真似すんなっ! と言うか、なんでノーパンなのよ! あんたっ!」
対象的にリリエンヌは普通に抱き起こされて、パンツ履かされてる……なんだお、この扱いの差は?
ケツを押さえて悶絶する俺を見るロゼたんの目は、まるで掃き溜めでも見るような目だったお……でも、そんなドS全開なロゼたんも俺氏、大好きなんだお?
なにより、ロゼたんのネグリジェ姿も色々スケスケでスンバラシイ……生足での直蹴りでチラチラ覗くイチゴ柄のランジェリーも眩しすぎて、俺氏もう大変っ!
「で……良く解らんのだが、これはワシのとこのダンジョンコアの仕業……なんかの? ワシの魔王城にそんなもんあったかのぅ……?」
「えっと、そちらのダンジョンコアにマスターとの映像通信要請を送ったら、快諾してくれました。魔王城でしたっけ? そっちに制御システムとかないんですか?」
「……まさか、我が魔王城中央制御室の統括頭脳体の事か! なんじゃ、あれってダンジョンコアじゃったのか! しかも、ワシ……いつのまにダンジョンマスターになっておったのか? 全然聞いとらんぞ!」
「そう言われても……No.13「天翔ける黄昏の城」の城主として、我々のダンジョンリストにも正式に登録されてますね。ちなみに、こないだの氷結ダンジョン破壊で得られたマナ利権の半分はそちらに提供されてるはずです」
「……そ、そう言われれば、魔王城の能力が軒並み上がったとか報告があったのう……そ、それよりも何かあったから、連絡よこしたのではないのか? 単なる冷やかしだったら、またの機会にせい……ワシもう寝るとこじゃったんじゃ! 良い子は早寝早起きが基本じゃぞい」
「そうだお! 本題を忘れるとこだったお! 実は俺氏のダンジョン……今、灼熱の塔のヌシ……ポイズンドラゴンのベルダラキオの強襲を受けてるんだお!」
「強襲? ああ、攻め込まれとるのか……そいつは災難じゃのう」
「まぁ、俺氏が散々煽ったせいだと思うけどね……魔王様、灼熱の塔っていつ攻撃するんだお?」
「灼熱の塔……確かにロゼが勧めてくれたから、次の攻撃目標になっとるぞ……結構距離があるんじゃが、遮蔽物のない塔だからのう……上空から一方的に砲撃して終わらせるつもりじゃったよ。まぁ、南の砂漠は結構遠いからのう……三日後には到着するはずじゃが……」
「魔王様ぁ……3日と言わず、出来るだけ早めにぶっ潰して欲しいんだお!」
「な、なんじゃ、急いで欲しいのか? しかし、殴り込みと言っても、お主のとこなら侵入者の返り討ちも容易いのではないのか? その辺はワシが保証してやるわい」
「いやぁ……俺氏のダンジョン、現在ちょっと縮小してるんだお……それに守護者連中もハイコストな奴をお蔵入りさせてるから、今残ってるのはコストパフォーマンス重視の奴らばっかりなんだお……! それにあいつ、めっちゃ執念深いみたいで、殺しても舞い戻ってくるんだな……さっきも、落とし穴にハマって勝手にくたばったんだけど、すぐに戻ってきたんだお……おまけにダンジョン壊しくまくるわ腐食ガス撒き散らすわで、最悪なんだお!」
「ああ、ダンジョンの加護のせいか……確かに氷結ダンジョンの時のように、まずはダンジョンの加護を潰さんとイタチごっこになるのう……それ故の強気のエンドレス強襲……と言うことなんじゃな……確かにドラゴンのタフさならいつまでも戦い続けることが可能じゃからなぁ……低能かと思ったら、少しは考えておるのじゃな。
しかし、ワシにどないせいと言うんじゃ……そりゃ、その気になれば明日の朝には到着できると思うが……最大戦速なんぞ出したら、燃費が最悪じゃ……マナの無駄使い良くないなのじゃっ!」
「そ、その辺は灼熱の塔ぶっ潰せば、黒字になると思うお? 要するに急いでも明日の朝って事なんだお?」
「そうじゃのう……じゃが、部下共も休ませたいし、攻略作戦立案にもそれなりの時間がかかると思うぞ? 我が魔王軍も軍隊じゃからな……軍隊というのは動かすのに相応の準備が必要なのじゃ……兵は拙速を尊ぶだの、矢のような進撃、電撃戦などと言うが……あれはしっかりとした準備の上での話なんじゃ。無計画に行き当たりばったりで兵を動かす将帥なんぞ、単なるド素人と言うやつじゃ! まぁ、せめて丸一日は時間が欲しいところじゃな……それくらいなら、なんとでもなるであろう?」
「解った……どうやら、長い一日になりそうだお……!」
俺氏、ちょっと格好いいかも……言ってみたかったセリフなんだお。
「ん……ダニオ、なんか話読めないんだけど、要するにこのダンジョンって攻撃されてるわけ?」
「そう言う事なんだお……アイツ、単独でも結構強いから、どこまでやられるか解ったもんじゃないんだお」
「うーん、このダンジョンの攻略側に回っといてこんな事言うのアレなんだけど……私も守護者の一人だし、少しくらいなら手伝うよ? べ、別にダニオの為に戦うとか、そんなんじゃないんだからねっ!」
「ロ、ロゼたんツンデレテンプレまじキタコレッ!」
「誰がツンデレだっての……ったく、ホント世話のやけるマスターですこと、ここは素直に感謝しときなさい」
そう言って、微笑むロゼたん。
刹那、俺氏のハートがズギューンっつった。
何ていうか……ロゼたんはこれが魅力だと思うお。
なんだかんだで母性系……戦う時は我が子を守る母獅子の如く修羅となる、けれども、その根底にあるのは紛れもなく愛っ!
最初の頃に比べると仕草とか口調も柔らかくなったし……まな板だった胸とかも、何気に成長したのか……胸を張るとちゃんと形が解るくらいになってきた。
……ロゼたんの成長を実感して、俺氏なんだか感激。
それどころか、よく見るとその膨らみの頂点が手を伸ばせば届く距離にあることに気付く俺氏。
思わず、それをガン見する……無乳ではなく微乳……いや、貧しくとも形にはなってる。
……おお、コレはなかなかどうしてふつくしい。
視線を感じて、見上げるとロゼたんと目が合う。
ロゼたん、俺と自分の胸を交互に見るとバッと腕を組んで胸ガードの体勢になる。
まぁ……ここは、創造主としてアドバイスの一つでもするとしよう。
「ロゼたん、まな板卒業したらブラくらい付けようよ……直だと擦れちゃって痛くなったりするお?」
プルプルしながら見る間に真っ赤になるロゼたん。
「……調子のんなっ! 死ねっ! 死ねっ!」
ロゼたんのヤクザキックが再び炸裂……一度ならず、倒れ込んだ俺氏に、二度三度と念入りに。
……けれど、俺氏いっぺんの悔い無し。
死して屍拾う者なし!!
俺氏、フォーエバーッツ!
……新作のスライムスレイヤー書きながら、半ば息抜きでこっち書いてますが、温度差が凄い。(笑)
そして、安定のダニオ。
ロゼたん、ちょっとだけデレたのに、この調子……やはり、最低だった。
9/10
アウト部分を修正。(笑)




