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第八話「特に理由のない暴力がダニオを襲うっ!」③

 よく見ると……なんか、この娘って私に似てるような……そんな気がして、まじまじと見つめてしまう。

 ……私をひと回り小さくしたらこんな感じ?

 

 向こうもジロジロ見るこっちが気になるようで、怯えた眼のままで見つめ返してくる。

 とりあえず、いつまでも怯えさせてるのは可哀想だから、軽く微笑んで見る……。

 

 何故か、赤い顔をして目線を逸らされる……怖がらせるつもりはないんだけどなぁ……。

 

「えっとだね……リリエンヌたんと俺氏の話し合い自体は平和裏にお互い納得行くまで話し合う事が出来たんだお! 安心しれ……俺氏、あくまでロゼたん達の味方だし! これは絶対! でも、このダンジョンもこのままだと、自滅の道まっしぐらだから、ちょっと色々アドバイスとかしたけどな。」

 

「ちょっ! 何考えてるの! 改良とかされちゃったら、ますます面倒くさくなるんじゃないの?!」


「大丈夫……むしろ、ダンジョンの規模は縮小させる方針なんだお。だって、このままじゃ世界ヤバいんでしょ? 話し合いの結果、ダンジョンは40層まで縮小! 10層までのチュートリアルの難易度も低下させるし、11層以降の無理ゲーダンジョンもバランス調整入れる予定だお!

たぶん、守護者の配置も変わると思うし、冒険者サイドにも色々新たなる力って事で、ガチャシステムとか導入して、レアアイテムとかを供給する仕組みを作るお! とにかく、覚醒した俺氏監修だから、大分いい感じになるのは間違いないお!」

 

「それ……今更、意味あるの? ……むしろ、私的にはとっととクリアしたいんですけどー! と言うかクリアさせろ……いい加減、面倒くさくなってきてるんですけどー!

だいたい最初は素通しさせるって話だったんじゃないの? なのになんで真面目にダンジョン攻略する羽目になってるわけ? その上、ダニオのアドバイスも全然当てにならないし! こちとら、めっちゃ苦労してるんですけどー!」

 

 思わず日頃の不満をぶち撒けてしまう……だって、しょうがないじゃない。

 

「し、侵入者を素通しにするとか、それだけは許容出来ません! ダンジョンコアとして、それだけは絶対死守の方針です!」


 てっきり、日和ったと思ってたのに、強い意志を宿した瞳で私を睨み返してきた。

 何こいつ……まだ折れてなかったんだ……上等ッ!


「へぇ……そこまで言うなら、どこまで頑張れるか試してみる? そんなに頭もがれたいの? 悪いけど、この状態でもう一回同じセリフ言ってみてくんない?」


 そう言って、笑顔でリリエンヌの頭をガッツリワシ掴みにして、持ち上げる……あら、軽い。

 なんか、プラーンって感じで持ち上がってしまった……。

 

「ひぃやあああ……や、やめてくださーい! なんか、頭がミシミシ言ってますっ! ちょー痛いですっ! けど、たとえこの身が引き裂かれようと私は屈しません! でも、泣きますよっ!! また漏らしますよっ! いいんですかっ!」


 ……それ、どんな脅迫だよっ! お前に女子としての尊厳はないのか!

 

 でも、ホントにやられたら、後始末とか面倒くさいし……ああ、もう仕方ないか……。


「ロゼたん……そこはどうも、絶対譲れない一線なんだって……存在意義に関わる事なんだとか……俺氏もリリエンヌたんが酷い目に遭うのは見たくないお……。だから、妥協案って事で、せめて正々堂々と迷宮を攻略してやってくれないかな? 正面から真っ当に攻略される分には、こいつも本分を全うしたって事で納得すると思うんだ。」

 

「そ、そうです! ズルはなしで正々堂々と! お願いしますですの! 私も挑戦者をクリアさせないようにするとか、そう言うの止めますから! マスター監修のダンジョンなら、公平ですよね? ここはお互いフェアにいきましょう! マスター様を賭けて、女と女の勝負ですッ!

だから、力づくとか脅迫とかやめてくださーい! と言うか、ホントに頭がもげそうだからもう離して~っ! お願いしますぅっ!」

 

「……はぁ、無駄に真っ直ぐなのって、かえって手に負えないわ……解ったしょうがない……やるからには、こっちも正面から正々堂々と攻略してみせるわ。

あと、別にダニオは要らないからアンタの好きにしていいわ……。」

 

 そう言って、プラーンと持ち上げてたリリエンヌをポイッと投げ捨てる。

 

「マスター……この人、怖いです……助けてっ!」


 リリエンヌ……腰が抜けたらしくハイハイしながらも素早い動きで、すかさずダニオの背中に隠れる。

 あら、お仲のよろしいことで……あと、お尻丸出しになってるからしまった方が良いと思う。

 

「さ、さっすが、ロゼたん! 心広いよ! それでこそ、イイ女! 女子力高いねっ! あ、あと……ついでに、お願いしたいことがあるんだけど……いいかな?」


 ダニオがリリエンヌをかばいながら、恐る恐ると言った調子でそんな事を言ってきた。


「……何よ……つまんない話だったらお断りよ!」


「あ……あの……ロゼさん達に、北方の氷結ダンジョンを攻略に行ってほしいのです! お願いします! 色々検討した結果、それが最善と言う結論になったのですの!」


「はあぁッ? なにそれ?」


 はっきり言って寝耳に水……なんで、攻略中の迷宮をほっといて、他の訳の解かんないダンジョン攻略なんかしなきゃいけないんだか……意味がわからん。


「結論……やだっ! なぜなら、めんどくさいっ!」

 

「話は最後まで聞いて欲しいんだお……! 実は、このダンジョン……今、他のダンジョンマスターに挑戦されてるんだお。断ったり、負けたりするとダンジョンの支配権を持っていかれる場合だってあるんだお。他の迷宮守護者に行かせてもいいんだけど、ここはロゼたん達の経験値稼ぎも兼ねて、他のダンジョン攻略ってどう? 氷結ダンジョンなら、20層くらいのショボダンジョンだから、きっと余裕クリア!」

 

「断ったら? むしろ、断りまーす! ぶっちゃけ私らにメリット何一つ無いんですけどー。」


「断られたら……うちのダンジョンの最高戦力……究極ドラゴンとか、突っ込ませるんじゃないかな? あれ……たぶん、その気になれば、世界を滅ぼせるくらいの最強な化物だから、出せば氷結ダンジョン程度なら、ダンジョンごと吹き飛ばせるお。

でも、あいつアクティブ状態にするとマナ消費シャレにならないから、そんな事したら世界の滅亡が早まるお? だもんで、一番フリーダムで守護者って事になってるロゼたんに行ってもらうのがここはベストの選択肢! ロゼたん、なんかコストもかからないみたいし……お宝もゲット出来るよ? 引き換えに俺氏にアイテム製造の権限返してもらえるって事になってるから、強力アイテムで支援とかも出来るようになるし……悪い話じゃないよね?」

 

「ふーん……そう言う流れなのね……私ら行かないと、その何とかドラゴンが出撃しちゃって、大惨事になると? けど、私は私で、手加減なんて出来ないから、そのダンジョンの主とか、うっかりぶっ殺しちゃうかもしんないよ?」

 

 手強い相手に手加減とか普通に無理……殺るか殺られるか……戦いってのは本来そう言うものなのだ。

 

「それはそれで問題ないお……マスター殺っちゃって攻略ってのでも、その場合、氷結ダンジョンのマナ配分権は全部こっちのもんになるんだお! そうなったら、時間が稼げるし、皆オトクなんだお!」

 

「まぁ……皆と相談しないとなんとも言えないけど。そう言う事なら、引き受けざるを得ないか……これ以上、おかしな事されてややっこしい事になるくらいなら、その方がまだマシ……。」

 

「はぅわぁ……ロゼさん、ありがとうございます! あ、私……リリエンヌって言いますの……本来は主従関係なんですけど、特別にイーブンなお友達って事で! これからもよろしく……ですの!」

 

 主従関係ってとこにやたら力を入れながら、超いい笑顔で握手を求めてくるお漏らしダンジョンコア、改めリリエンヌ。

 

 なんか毒気を抜かれると言うか……調子狂うなぁ……。

 まぁ、一応差し出された手を握り返してやる。

 

「解った……でも、ダニオには気をつけなさい……こいつ、性犯罪者だから。隙さえあれば、セクハラ三昧のさいてーなヤツだから、下着見せろとか言われても断固拒否すること! 身体とかだって、むやみに触らせたら駄目よ……触られただけで妊娠するかもしれないよ? うわっ、怖いわー。」

 

「わ、解りました……気をつけますです。ダニオって、マスター様のお名前ですか? そうですか……私もマスターの本名よく知らないんですけど……。私もそう呼ばせてもらいますね……! ところで、マスターは触れるだけで女性を妊娠させられるのですか? であれば、存分に触ってください! 子供が出来れば名実ともに私に嫁の座がっ!」

 

「できねぇよっ! ロゼたん、人を何だと思ってるんだおっ! それと……この際だから言わせてもらうけど、ダニオってロゼたんが勝手に呼んでるアダ名であって、俺氏にはちゃんとした名前がある訳でしてね? いい機会だからちゃんと名乗るお! 聞くが良いっ! 我が名は……っ!」


「うっさいわねぇ……アンタはもうダニオなの! 未来永劫ダニ! フルネームもダニ・ダニオ! 異論は許さない! 名は体を表す……我ながらぴったりだと思うわ……ねぇ? ダニオ・サン。」

 

 そう言って、ダニオの頭に手を置くとグワッシとワシ掴み! 

 やらかした後に確実な制裁を与えなきゃ躾にならないって、こないだ魔王様が貸してくれた本に書いてあったよ?

 

「あい、解りましたっ! 俺氏、ダニ・ダニオ! 誠心誠意、ダニオとして塵芥の如く生きていきますっ! うっはぁっ! なんか髪の毛がブチブチ言ってるし、頭皮がメリメリ言ってるんですが! これヤバし! モゲるからっ! アディオス・アッミーゴォッ!」



 そんな訳で……。

 私達は戦いの舞台を北方氷結ダンジョンへと移す事になった。

 


 世界の危機に立ち向かう、私達の新たなる戦いが始まるっ!

 

そんな訳で、第三章は終わりです。

ダニオがぎゃくたいされるオチはお約束です。



次章からは、ロゼたん達と世界のダンジョンとの仁義なき抗争が始まります。(笑)

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