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第八話「特に理由のない暴力がダニオを襲うっ!」①

 目が覚めたら、私……なんか裸だった!


 しかも、つい今しがたまで抱きしめてたリアンも裸……!

 

「……って、おいぃいいいいっ! 何があったのぉおおっ!」

 

「ロゼお姉様ぁ……夜中なんだから、静かにしなきゃ駄目ですよぉ……。」


 私が叫びながら、飛び起きたせいでリアンも起こしてしまったらしい。

 眠そうに目をこすりながら起き上がると、微笑みを浮かべパタリと倒れ込む……。

 

 時間はまだまだ夜明け前……外は真っ暗……隣のベッドではエストが大の字になって爆睡中。

 ナイトキャップとか被ってて、妙に可愛らしいけど、お腹出てますよ?

 

 と言うか……エストいたのね。

 なら、何もなかったのかな……いくらなんでもエストがいる前でリアンもお触りとかしないよね?

 

 私、考えてみれば着替えもせずに寝ちゃったし……リアンも元々裸で寝る派とか言ってたっけ。

 リアンになすがままにさせたら、必然的にこうなるって事か……やられた。

 

 でも、なんか身体のあちこちに赤い痣みたいなのがあるのはなんで? ナニコレ? こんなんあったっけ?

 ああ……そう言えばジャングルであっちこっち虫に刺されたんだっけ……。


 ジャングル……許すまじ、やっぱ全部燃やしていこう。

 

 とりあえず……このまま寝直すのもなんだし、裸じゃ落ち着かないし、服着るついでにお風呂でも……と思ったら、リアンも起きて一緒に着いてきてしまった。

 

 なんか……いつもより、ベタベタ感がパワーアップしてるような。

 めっちゃ腕とか絡められてるし、リアンも機嫌がいいなんてもんじゃない……。

 全部脱がした件を問いただそうと思ってたけど……おかげで、なんか言いそびれた。

 

「ちょっと汗かいてたから、身体洗うだけだし……先に寝てればよかったのに……。」


「私もお風呂まだだったんです! この時間だと、お風呂場も真っ暗なんで一人じゃ怖いじゃないですか……。」


「まぁ、いいけどね……と言うか、なんか今日はいつもより、くっつくね……リアン、どうしちゃったの?」


「えっと……その……うふふ、何でも無いですよ! ロゼさんって、やっぱり最高です……もうずっとずーっと一緒に居ましょう! ロゼさんはわたしのモノ……リアンもロゼさんのモノで良いです! ロゼお姉さま、大好きですっ!」

 

 リアン……やたらテンション高い上にいつも以上に好き好きオーラ全開!

 ……良く解らない娘……まぁ、可愛いから許す。


 余談ながら、何故か胸とか内股のとことか微妙なとこまで虫に刺されてた。

 こんなとこなんで? とか思ったけど、リアンも部屋に蚊がいたんじゃないですかねーと言ってたんで納得。


 やっぱ、裸で寝るの良くない……いくら女の子同士だからって、直に素肌の触れ合う感触は色々ヤバイ!


 それにうっかり、寝ぼけてシーツとか剥いだりなんかしたら、とても人様に見せられない状態になるし……!


 でも、あのメイド服……間違っても寝てる時に着てていいもんじゃないのよね……。

 要所要所に装甲とか入ってるから、あんなの着て寝たら朝起きた時、あちこち痛い……割と重たいから、リアンも大変だっただろうに……。


 でも、脱がしっぱなしにして、そのままお互い裸で寝るとか、さすがに勘弁して欲しい。

 一応、気を使ってくれたんだから感謝はするべきなんだけど……。

 

 あ、そうなるとまたダニオに着替えとか見られたかも……。

 こりゃ、あっちはむしろ制裁しないと……。

 

 そんな訳で、リアンと深夜のお風呂でイチャイチャ洗っことかしてから、軽く身支度を整えて私はダニオの元へ転移する事にした。

 

 

 

 ……転移した早々、ちっこめのピンクポニーテールの変なのがお出迎え。


「な、なに……アンタ。」


「我こそは……大迷宮の中枢! ダンジョンコアのリリエンヌ! 迷宮守護者紅鬼のロゼ! 我は貴女の上位存在ですっ! まずはその場に跪くのです! そして、我に改めて忠誠を誓い、謝罪するのです!」


 超偉そうに腰に手を当てて、指とかドンッと突きつけられてる……。

 

 なお、背丈は私より一回り小さい……リアンとかと大差なさそう。


 と言うか、何言ってんの? ……コイツ。

 とりあえず、無駄に態度がでかいのが気に食わない。

 

 なに、初対面の人を指差して偉そうに命令とかしてんの? 馬鹿なの? こいつ。

 

 ……という訳で、返事なんかせず、こっちも腕組んでふんぞり返って、命令とやらはガン無視。


「ちょっと! なんで言う事聞かないのですの? 私のコマンドは迷宮守護者には絶対のはずなのに! 突っ立ってないで、跪けーっ! ちょっ! 無視するな……ひ、跪けーっ!」

 

 なんか超ムキになってるんですけどー。

 跪けとか言われても、そんな事する理由もないし……舐めてんの?

 

「跪けーっ! ぜぇぜぇ……なんでぇ? なんで、無視するのですっ! そ、そんな怖い顔で睨めなんて言ってないですっ! いいから、言う事聞きなさーいですのっ!」


 挙句に逆ギレとか……とりあえず、コイツ……態度悪い。

 ツカツカと歩み寄ると無言でデコを平手で思い切り引っ叩く!


 バチコーンとか、なんかいい音が聞こえる……グーで行かないのは、一応お情け。


「いったぁい! 何するんですのっ! と言うか……なんで、私の命令に逆らえるんですの? しかも、平然と私に暴力振るうとか理論上ありえません! 早く跪きなさーいですのーっ!」

 

 それなりにダメージはあったようで、涙目状態……けど、まだ言ってるあたり割と根性ある。

 

「あのさぁ……なんで、この私があんたなんかの命令聞かないといけないわけ? 良く解かんないけど……あんた、私の後輩ってとこなんでしょ? あ、解った! ダニオの奴……今度はきっとエロい事用に新人召喚したのね! あの女の敵……許すまじっ! やっぱグーで殴ろう! それも思い切りっ!」


「あ、あの……私、そんなのじゃなくてダンジョンコア……。」

 

「うっさい! ……あんたはもう黙ってなさい! ダニオッ! 今すぐ出てこいっ! 出てこないと殴るっ! 出てきても殴るけど、すぐに出てこない方がより酷いことになるよっ!」

 

 私が怒鳴りつけると、すかさずダニオが揉み手とかしながら、奥から走り込んでくる。

 

「あ、ハイハーイ……お呼びですね! ロゼたん、今日はどうしたんだお! まだ夜中のはずだよね……俺氏も寝てたからお出迎え遅くなったお!

しかも、いきなりご機嫌ナナメ! 俺氏、紳士だから覗きとかしてないし! リアンたんとお楽しみのようでしたけど、何も見てない! あ、問答無用グーパンは駄目だお! 暴力反対っ! 核兵器はいぜーつ!」

 

「……誰が核兵器よっ! って言うか、この女の子は何? あんたの事だからどうせ、いかがわしい目的の為に新しい守護者でも召喚したんでしょ! そもそも、いつのまにそんな権限手に入れたのよっ!」

 

「え? えっと……リリエンヌたんの事だよね? それは、その娘が勝手に湧いてきたと言うか、何と言うかッ! 俺氏、別にエッチな事とかまだしてないし! 俺氏、紳士の名にかけて、エロエロな事なんてしないもん! あ、でも……スカートたくし上げてパンツ見せろとかは命令したけど……それだって、その娘が自主的にだね?」

 

「……とりあえず、面倒くさいから……殴るッ! 喰らえっ!」


 ボディに一発決めながら、流れるように膝で溜めを作ってアッパーッ!

 

 ダニオ……激しく回転しながら吹っ飛んで、顔からズゴシャアッ! とか言って床に落ちる。

 

「ウボァーッ!!」

 

 あ、なんか吐血してエビ反りしながら、ビクビク痙攣してる……うん、決まった!

 

 今の技は……相手の中心軸からやや横に正拳突きを打ち込むことで回転を与え、その上でアッパーで吹っ飛ばす!

 相手は、錐揉み回転しながらすっ飛ばされ、受け身すら取れずに、頭から落ちるッ!

 

「名付けて、ロゼちゃんデス・アッパーッ!」

 

 新技が決まった事でなんかすっかり気分も高揚! ブイサインを決めながら、飛び上がって笑顔! 

 やっぱ、ダニオを殴る日課はやめられないわね。


「クッ……俺氏とした事が、華麗なる車田飛びからの車田落ちのコンボを決められてしまった……不覚ッ! だが、ロゼたんよ……覚えておくが良い! 俺氏倒れるとも、その魂は不滅だお……第二、第三の俺氏が……ぐふぅっ……。」

 

 ビクビクと痙攣しつつ、なんかカッコイイんだか悪いんだか良く解かんないセリフを決めるダニオ。

 ちなみに、ダニオ……HPだけはやたら高いので、この程度じゃ死なない。


「マ、マスター様ッ! お気を確かにっ!」


 そう言って、セーラー服少女がダニオに駆け寄ると抱き起こす……その眼には涙が……ってあれ?

 

「ん? マスター? ……様?」

ロゼたんとリアンちゃんは、今日もラブラブです。


ラピュカ皇国は、GLもBLも愛があるなら良いんじゃない? ってお国柄なので、リアンたんは百合とか普通! って思ってます。

ロゼたん、寝てる間にナニされたかとかは秘密です。


アッパー系でぶっ飛ばされたら、相手は頭から落ちる……のはお約束です。

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