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第五話「大惨事スーパージャングル大戦!」④

 やがて、しばらく走って、少し開けたところに出ると、シールドを構えて、防御態勢を取るエストの姿が見えた。

 その背後を守るようにアドラー。

 

 敵は敢えて近づかず、遠距離攻撃を仕掛けてくるタイプっぽい。

 

 ルーシュは上手く潜伏しながら、時折集中砲火を仕掛けて、一体一体確実に仕留めているらしい。

 ルスカも場所を変えながら、弓矢の狙撃で仕留めている様子。

 

 一斉射撃を受けて、エストの結界が割れて、エストが顔を歪める。

 エストのHPも派手に削られて、1/3位まで減ってる……これは危うい!

 

 けれど、リアンにヒールを促すより早くディードリーさんが弓をつがえて、放つ……すると、エスト達の頭上で矢から青い光が弾ける。


「あれは癒やしの光っ! ヒールを矢に乗せて飛ばすとかそんな事出来るんですか!」


 リアンが驚いたように、叫ぶ。


「ふふん……私達エルフの戦い方……ご覧あれ!」


 癒やしの光……一定範囲内にヒールをバラ撒く、範囲ヒール。

 リアンも似たようなのを使えるけど、自分の周囲限定……おまけにヘイトを結構稼ぐので使い所が難しい。


 案の定、敵の標的がディードリーさんへ向く。

 

 けれども、アドラーさんが雄叫びとともに剣を振るうと赤いオーラが広がっていく!

 あれはヘイト集めの「咆哮ハウリングボイス」!!

 

 標的になったアドラーさんはエストから離れると、例の木々を飛び移る機動で敵の銃撃を回避していく。

 

 それにしても、また例によって変な敵……。

 緑色っぽくって、ゴツゴツしたアーマーを付けた2mくらいの丸い頭にスコープっぽいのいっぱい付いた犬耳付きの変な奴。

 

「……あれ、私達はメガネ犬って呼んでる。

 飛び道具撃ってくるけど、当たっても死にゃしないから、安心と言えば安心かな。

 でも、私達後衛だと当たると痛いし、まず避けられないから、リアンちゃんもヒールのかけすぎに気をつけてね。」

 

「あ、もしかして……ディードリーさん達って、ヘイトとか解ってる感じ?」


「ヘイトって言うの? 私達もここまで来るのに結構苦労したから、敵に狙われやすい行動とかって解ってるよ。

 前衛系の「咆哮」とか「挑発」ってスキル……これなんだろって最初思ってたけど、タネが解れば便利なもん。

 うちは、アドラーが囮役、私が支援と攻撃役を兼ねてる感じ……ルスカは攻撃専門かな。

 あの娘、風の精霊の加護持ちで、弓の腕はエルフ族でもトップクラスなのよ。

 ロゼちゃん達もその調子だと色々解ってる感じだね……なら、余計な説明も要らないかな。」


 おおお……ディードリーさん、有能っ! サクラより解ってる!

 

「なら、後ろは任せた! サクラは……とりあえず、手出しは最小限にしといて……なんか数が多い!

 下手打つと全滅するから、大人しくしてて!」

 

「むむ……解った……さすがにワシ一人が死ぬのならともかく、皆に迷惑をかけたくないからの……。

 ならば、ひとまず、ワシは様子見させてもらうか……この数の敵……どう対応するのか興味深い。

 じゃが、ホントにワシはなんもせんで大丈夫なんか? 狙われたら流石に反撃くらいするぞ?」

 

「どっちかと言うと、先に狙われるのは私やディードリーさんなので、サクラさんは攻撃しなければ、大丈夫ですよ。」


 苦笑しながら、リアンが返す。

 と言うか……サクラ、何気にダークプリーストとかなってるから、実は何をやってもやたらヘイト稼ぐと言う。

 ホント、一撃必殺出来る時以外は大人しくしてるのが無難だったり……。

 

「ロゼさん、思ったより早く来てくれて、びっくりしたよ……道案内なしで来れるか心配してた。

 そっちの人はエルフさん? こりゃまた珍しいね……ボクも初めて見た。

 野営の痕跡を見つけたんで、誰かいるとは思ってたけど、さすがに追いきれなかったんだよね。」


 そんな事を言いながら、ルーシュが茂みをかき分けてやって来て、合流。


「ルーシュも相変わらず、立ち回り上手いね。

 とにかく、無事でよかったわ……後は私達に任せて!」

 

 リアンとうなずき合って、リアンを引き連れて前進!

 エストと目が合うと向こうも嬉しそうに手を振りながら、ジリジリと後退してくる。

 

「ロゼっち! いやぁ……危なかったっ! めっちゃ削られたっ!

 なんか、エルフの人達がいきなり助太刀してくれたから、助かったよ!」


 タフさ自慢のエストが肩で息をしてる……彼女飛び道具無いから、この手の相手だと撃たれっぱなしになるんだよね。

 物理保護の結界張ってれば、ダメージは殆ど無いんだけど、こうも数が多いとキツいだろう。


「エスト、お疲れ……受け手交代しよっか?」


「うん、お願い……いやぁ、私一人でもなんとかなると思ったけど、こいつらなんなのぉ?

 めっちゃ湧いてくる上に、飛び道具系とかイヤ過ぎるよぉ……。」

 

「メガネ犬とかなんとか……ダニオはむせるとかなんとか浸ってて、なんか話になんない!」


 ハンマー持ったやつが滑るように近づいてきたので、エストをかばうように前に出て、交差させたダガーでハンマーを受け止める!

 

 返す刀で思い切りハイキックで顔を蹴り上げると、頭がへしゃげてボヨーンともげる。

 硬そうに見えたけど、装甲自体はヤワヤワで、意外と脆いみたい……これなら、なんとかなるかな?

 

 けれども、思い切りスカートがめくれ上がってて、ちょうど正面に居たアドラーさんと目が合う。

 

 努めて冷静に……ゆっくり足をおろしてスカートを押さえる。

 ……なんか、また見られたっぽい。

 

 ほとんど八つ当たりで、手近に居た銃を構えたメガネ犬に飛びかかって切り伏せる!

 

 「鬼士の構え」発動っ!

 

 鬼のオーラをまとって、攻撃力上昇! ヘイトが上昇したらしく、敵の狙いがこちらへ集中する!

 

 ハンマー持った接近戦タイプが滑るように、まとめて4体ほど突っ込んでくる!

 4体相手ともなると、手数も多い……これはさすがに、回避に専念しないと厳しい!

 

 ちらりと、ルーシュに視線を送ると、「倍加速ダブルアクセル」の魔法が飛んでくる。

 簡単に言うと、一定時間、自分だけ倍の速度で動ける……慣れないと、普段と違う身体の動きに対応できなくなるけど、その辺は何度も体験してるので問題ない。

 

 重ねがけすることで3倍とか4倍も出来るらしいんだけど、持続時間が短くなる上に魔力消費やヘイトも増えるし、そこまで加速すると訳がわからなくなるので、倍速が一番やりやすい。

 

 倍速の世界だと、周囲はむしろスローモーションみたいになる……けど、実際は早くなってる分、打撃力も増えるし、普通に走ってもとんでもない速さで走れたりする。

  

 なお、欠点は……普段の倍疲れるから、私みたいにタフでないとすぐ力尽きるって事と、効果がなくなった時に揺り返しで身体にすごく負担がかかる。

 

 ……私は小さいとは言え、鬼の眷属だから人間よりも頑丈。

 だから、その辺あんまり問題にならない。

 

 リアンはエストにヒールをかけて回復中……エストは防御力もあって、耐久力もあるんだけど。

 重装備なのが災いして、長時間動き回っていると、疲労で動きがどうしても悪くなる。

 

 エストも時々引っ込めて休憩させて、立て直しまで、私が時間を稼ぐ……それが私達の基本戦術となりつつある。

 

 ハンマー持ちは、倍速のかかった私の動きに対応できてないから、脅威じゃないのだけど……。

 後ろの銃持ちの銃撃は狙いはいい加減ながら、それなりに脅威……。

 

 先に潰してもらえないかなって思ってると、ルーシュのアイスジャベリンが木の陰から出てきたメガネ犬に突き刺さる。

 

 ディードリーさんとルスカも攻撃対象を銃持ちへと変える。

 バラバラではなく、一体に集中……どうやらルーシュが指示を出している様子……さっすが!

 

 アドラーさんも盾役をこちらに一任するつもりのようで、森の中にいる銃持ちを一体一体背後からの奇襲で落としていく。

 

 おお、なんかいい感じで敵が減っていく!

 サクラも今回は手出しせずに、敵と仲間の動きを観察しているようだった。


 サクラも基本的には、頭いいんだから、冷静によく見てもらえれば、何も言わずとも悟ってくれる……そんな気がする。

今度の敵は……むせる最低野郎共だっ!(笑)

たまには火薬の臭いを嗅ぐのも悪くない……「明後日……そんな先のことは分からない」!


ちなみに、各員のスキルとかそんなん持ってたっけ? ってのがさらっと出てますが。

案の定、いい加減になってます。(汗)

キャラの方向性とかようやっと定まってきたんで、次のダニオ総評回にでもまとめますかねー。


スキルとか魔術体系は……転ロリのを流用するつもりなので、細々と修正するかもしれません。


「倍加速」なんかは、しろがねが使ってた奴です。

でも、ルーシュが使ってるのはそれの劣化バージョン。


揺り返しが酷いので、体力馬鹿のロゼ以外にはとっても不評だったりします。(笑)

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