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第五話「大惨事スーパージャングル大戦!」③

「えっと、さっきはうちの馬鹿がごめんなさいね。

 ひとまず、お互い自己紹介……いいかしら?」

 

 全体的に細身なのに、割とご立派な双丘をお持ちなエルフお姉さんが、引きつったように笑いながらそんな風に提案してきた。


 髪型とかは、三つ編みでオデコ丸出しと地味っぽいんだけど、緑味がかった銀髪なんて変わった色合いなので、嫌が応にでも印象的だった。

 

 それにしても、ワンアクションごとにポヨヨンって揺れるって……なにそれ?

 思わず、貧弱な自分のものと見比べてしまう……。

 

 ……エルフのお兄さんはボロボロになって、地面に倒れ伏せてる。

 シバかれて、何故かこっちにフッ飛ばされてきたエルフ兄さんに渾身のカカト落としで、地面にめり込ませたのは私だ。


 なお、反省はしてない。

 

 私もちょっと湿っぽかったけど、いつものメイド服を着てる……まぁ、我慢できなくもない感じ。

 

 考えてみれば、ダニオ以外の男の人に下着姿見られるとか初めてなんだけど……ううっ、恥ずい。

 しかも割りとイケメンだけに、痛い……痛すぎる。

  

「あ、はい……わたし、リアンです! このメイドの人はロゼさん!

 それと一番ちっこい人はサクラ様です。」

 

 私がまともに受け答えできそうも無いのを察して、リアンが代わりに応対してくれる。

 やっぱ、リアン可愛いし気が利く……可愛いなリアン。

 

「ありがとー! 私はディードリー、精霊術士よ!

 エルフには神様を信仰する習慣って無いんだけど、回復とかが得意だから、プリーストとかと似たようなもん。

 それと、こっちのチビっこいのはルスカ、そこで死んでるのがアドラー、一応我が愚弟……。

 それにしても、君達みたいな小さな女の子しか居ないパーティーが第11層にいるなんて驚き!」

 

 ルスカとか呼ばれた顔を布でぐるぐる巻きにして弓を持ったやっぱり耳長のがコクコクと頷く。

 背丈は確かに高くない……むしろ私と大差ない……でも、なんか陰気臭くて怪しい。

 エルフってこんなんだっけ?

 

 まぁ……誰もこないだろうと思い込んだ私の落ち度だし、悪いとは思ってるようだしいっか。

 私、そろそろふっかーつ!

 

「あはは……ディードリーさんね。

 よろしく……私、ロゼ……エルフ族とか知り合い居ないから、戸惑っちゃった。

 一応、言っとくけど……露出狂とかじゃないし!」

 

「ジャングルで一人だけずぶ濡れになるって時点で良く解かんないけど……なんか大変だったみたいね。

 確かに、ここらじゃエルフなんて、レアだと思うよ。

 でもまぁ……一応、この街で正式に冒険者として登録させてもらったし、モグリじゃないからね!」

 

「そっか……私らは一応、訳ありでね……この迷宮を探索して、最上階の60層を目指してる。

 そっちはなんで? エルフ族って森のなかに引きこもって、めったに出てこないって聞いてるけど?」

 

「そうじゃな……エルフ族なぞ、ワシでも見た事無かったぞ……。

 まぁ、基本的に森に引きこもってる連中なんで、森を荒らしたりしなければ、実害もないからのう。」

 

 サクラですら会ったこと無いとなると、そのレアリティは相当なもんなんだろうな……。

 

 精霊魔術と弓矢の扱いに長けた種族で、かなーり排他的らしいんだけど。

 このディードリーさんは、なんか人と話すのも慣れてる感じ。

 

「うん、私ら姉弟はワタリって言われる外界を渡り歩いて定期的に里に報告するってお役目を担ってるの。

 元々冒険者稼業をやりながら、各地を渡り歩いてたから……人間の相手は慣れてる。

 大体のエルフは、人間に会うとこのルスカみたくおどおどしっぱなしで、文字通り話にならない。

 でも、これでも打ち解けてる方なのよ……皆、ちっちゃいコだから、怖くないんですって!」

 

 そう言われて、ルスカを覗き込むと、コクコクと頷かれる。

 あれ……このコって……。

 

「ルスカってもしかして、女の子?」


「あら、良く解ったわね……元々、この娘、里からメッセンジャーとして私達のところに来たんだけど。

 色々私達の冒険譚聞かせてたから、すっかり興味持っちゃって……一緒について来ちゃった。

 ちなみに、クラスはアーチャーだっけかな。」

 

 弓矢を掲げて、ウンウンと頷くルスカ。

 よく見ると目が笑ってる……陰気臭いとか思ってたけど、根はいい子なんじゃないかな。

 

「んで……そっちはどのへんまで進んでるの? あと、何が目的なの?」


「私達は……なんか里の方でマナが薄くなってるって問題になっててね……。

 精霊のお告げだと、このダンジョンが原因らしいって話なんで、私達に様子見てこいって指示があったの。」


 言われて思わず、目線をそらす……なんか変な汗が出てきた。

 

 はい、すみません……その元凶は私の知ってるやつです。

 

 魔王様に加え、人畜無害の引き篭もり種族のエルフにまで迷惑かけてる世界規模の大迷惑野郎!

 その名はダニオ! やっぱ、アイツ殺すしか無いんじゃないかなー。


「あはは……エルフさんとこも大変なのねー!」


 思わず乾いた笑いと共に適当な返事を返す……だって……ねぇ。


「確かにマナが薄れて来てるのは解るんだけどね……この辺はむしろ濃いくらい……何がどうなってるのやら。

 ちなみに、私達は第15層のボスまではたどり着いてるわ。

 でも、恥ずかしながらコテンパンに負けたのよね……なんか5層に居た奴をスマートにした感じのが居たんだけど。

 そいつ、めっちゃ増援呼ぶヤツでさ……5層の奴の安っぽい感じのやつがまとめて20体くらい出てきて、アドラーが早々にリタイア……まぁ、結局全滅しちゃったのよね。

 だもんで、どっか別のパーティと共同討伐出来ないかなーって、便乗相手を探して11層でうろうろしてたって訳。」

 

 ギャンダモーをスマートにって、どんなだよ? まぁ、あとでダニオにでも聞いてみようか。

 

「……でもって、なんか入り口のあたりで大騒ぎしてる連中がいるからって、俺達も様子見に来たってとこさ!

 さっきは、何と言うか……失礼しちまったな……可愛らしいお嬢ちゃん、すまんな!」

 

 復活したアドラーさんが唐突に話に割り込んできた。

 やたら爽やかな笑顔で謝られると、怒る気も失せる……ま、イケメンだし許す。


 可愛らしいお嬢ちゃんとか、やだもーっ!

 

 そんな風に色々情報交換やら雑談をしていると、不意に上空に氷弾が打ち上げられて、パンパンパンと破裂する。

 

 事前に決めておいた合図……接敵、交戦中の合図だった。

 どうやら、エスト達が敵に見つかったらしかった。

 

 リアンとサクラに目配せすると、ふたりとも立ち上がる。

 

「あら……どうしたの三人共?」


 ディードリーさんは不思議そうに尋ねてくる。

 

「どうも私達の仲間が敵と出くわしちゃったみたいで……早く助けにいかないと!」


「……んじゃ、せっかくだから、こっちも手伝うわ。

 ここの敵って、やり過ごすのは簡単なんだけど、一度見つかるとどんどん増援呼んで連戦になるのよね。」

 

 うーん、大丈夫かな?

 ダニオの話だと他の冒険者たちって私達みたいに、タンク、ヒーラー、アタッカーの概念解ってないらしく、皆各個ゴリ押しらしいし。

 

 まぁ……最悪、私とエストで壁作って、三人にはアタッカーでもやってもらえば良いのかな。


 そして……走り出そうとして、茂みを前に思わず途方に暮れる。

 ルーシュは茂みの中に道があって、そこが安全な道とか言ってたけど、私解かんないよっ!

 

「アドラー、ルスカは先行……私が三人を連れてくから、まずは先に行って、この娘達のお仲間を助ける!」


 ディードリーさんがそう言うと、弾かれたように二人が駆け出す!


「任せなっ! 行くぜ! ルスカ!」


 二人は無造作に木の枝の上に飛び上がると、枝から枝へ軽々と飛び移っていく。

 

「なんじゃ、あれは……エルフ族と言うやつは凄いのじゃな……。」


 サクラが呆れたように呟く。

 

「三人は私の後をついて来て……まぁ、森の中ならエルフにお任せってとこね!」


 そう言いながら、屈みながら藪の中の隙間に潜り込んでいく……確かに屈むと木々の足元にトンネル状の空間があった……こんなの解かんないよ……。

今回登場のディードリーさんは、拙作「転生したらちびロリ娘」の翡翠がモデルだったり。

名前は某ロードス島のあの人の名前モジッてます。(笑)


なお、アドラーとルスカは一応、この話オリジナルですね。

アドラーは、むっつりスケベの残念イケメン。

ルスカは、無言キャラですけど、顔の包帯取ると超美少女!

しかも、ロリです! つるぺたです!(笑)

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