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第五話「大惨事スーパージャングル大戦!」①

そんな訳で、魔王サクラちゃんを加えた新パーティで、私達は11層へ踏み込んだのだった!

 

「……じゃ、ジャングル?」


 目の前に広がるのは、鬱蒼とした緑。

 樹木と草で覆い尽くされていて、視界もほとんどない。

 

 よく見ると、樹木の密度が薄いところが続いていて、どうもそれが道のようだった。

 

「おーい……ダニオ、11層ってこんなんだっけ? お前から貰ったマップだと、もっと普通っぽかったよね?」


「いや……フィールド系階層はもっと上の20層くらいからのはずなんだお。」


 ……またこのパターン。

 ダニオ、本格的に使えない……とりあえず、慎重にゆっくり攻略するしかないかなー。


「……うむ、このステージなら見覚えがあるのじゃ! 皆の衆、我に続くのじゃ!」


 そう言って、サクラが先頭きって突っ走る……あっんの馬鹿っ!

 

 次の瞬間、バコーンと言う音と共にサクラの姿が消える。

 

「あぁああああああぁぁぁぁぁ……」


 なんとも悲しそうな声が遠ざかっていった。

 

 見上げると、なんか上空高くへ打ち上げられたようだった。

 

 サクラが踏んだとこに、指向性地雷の上に鉄板を敷いた仕掛けがあったらしい。

 カモフラージュされた鉄板の上に乗ったやつだけが上空高くフッ飛ばされるって仕組み。

 

 打ち上げられたまま、そのままどっかに墜落したらしく、サクラのHPがギューンとゼロになった。

 魔王様……通算37回目の死亡。


「また、サクラたんだけを殺す機械かよっ!」


 ダニオの謎ツッコミ……ごめん、言い返せない。

 

 ちなみに、サクラのかつての迷宮踏破記録はとっくにリセットされたらしく、1層からのやり直し。

 しかも、弱くてニューゲーム状態な癖に何かと不用意でちっとも言う事聞かなくて、そりゃあもうちょっとした事で死ぬ。

 

 いい加減、学習して欲しいのだけど……。

 

「とりあえず……いよいよ11層攻略って思ってたけど……サクラ1乙なんで、一旦引き上げかなー。」


「ちょっと! まだ一歩しか進んでないじゃない……。」


 さすがに、エストが不満そう。

 

「まぁ……ほっとくとまた一人で特攻とかしそうだし……あんなんでも、味方としては有能だし。

 あの火力だって超強力だからねぇ……何とかとハサミは使い用って言うじゃない?」

 

 実際、サクラの火力は超強力だった……5層のギャンダモーも突入前にダークブラストとか言う魔術を何重にも重ねがけしたものすっごいので一撃だったし、ドモーとの再戦も思ったより楽だった。

 

 もっとも、三体いっぺんに吹き飛ばそうとして、範囲魔法を使った結果、モノの見事に生き残った三体がかりの集中攻撃で一瞬で即死したんだけど。


 ……結局、3度目の正直でクリア。

 むしろ、私達だけの方が楽勝だったような……。

 

「まぁ、そーなんだけどねぇ。

 魔王様が死ぬたんびに戻って、しばらく待って、リトライとか……36回もやらされてみ?

 さすがに、うんざりだよぉ……。」


 エストが嫌そうな顔をして、そんな風に答える。

 

 ちなみに、一度踏破したところへ戻るのは割と簡単で、このダンジョン攻略開始時にもれなく貰える転移石と言うアイテムを使えば、街と踏破した階層の入り口まで一瞬で行き来できるようになっている。

 

 この辺の妙に親切な設計は、ダニオが考えたらしい……たまには役に立つ。

 

 もっとも、転移石の貸し借りは出来ないし、踏破した記録も個人別なので、本人が同伴の上で階層攻略しないといけない。

 

 その上、一度使うと30分ほどチャージ時間があるので、そこまで気軽に行き来できるものでもない。

 

 とにかく、それなりの苦労の挙句、10層を攻略して……私達にとっても未知の階層11階層に入るなりこれだ……。

 エストでなくとも、文句の一つも言いたくなる。

 

 もっとも、リアンとルーシュは……最初の頃は二人も似たようなものだったので、サクラへは同情的だった。

 まぁ、同じ後衛組だしねー。

 

 とりあえず、まずは街に戻って、サクラにお説教かな。

 

 

 そんな訳で、街に帰還。

 早々に噴水の前で所在なげにしてるサクラ発見。


「……はぁ……サクラ、37回目の死亡……そろそろ、慣れてきた?」


「おおぅ……ロゼ殿か……すまんすまん! いきなり、やらかしてもうた。

 じゃが……好きで死んどる訳じゃないし、こんなもん……慣れる訳がないじゃろ。

 今だって、ワシ……脳天かち割れて、首の骨がメギョッて言ったのだぞ?」

 

 サクラは身体のサイズが変わったとかで、ご自慢の装備の大半が使えないらしく、街売りのすみれ色のローブとか着てる。

 

 と思ったら……なんか、腰のあたりが濡れてる!

 

「サクラ……もしかして、それ……。」


「うぉっ! またやってしもうた……なんか、スースーするとは思ってたのじゃ。

 ロゼ、一旦宿屋行って、お着替えするのじゃ! 手伝えっ!」


 また……である。

 

 文字通り死ぬような思いしてるから、うっかり漏れちゃうってのも解らなくないんだけど。

  

 そこは気合で耐えしのぶのが女子としてのあり方だと思うの。

 

 お漏らしガールなんて、呼ばれたくないしっ!

 

 おまけにその度、体拭いてあげたり、着替え手伝ったり……。

 ……なんか私、魔王様のお母さんみたいな気がしてきたよ? なんかちがくね?

 

「サクラちゃん……私が手伝ってあげますから。

 ロゼさん達は……ここでゆっくり待っててください。」

 

「おお、さすがリアンじゃ……助かるのじゃ。」


 ちっこいの二人が手を繋いで、トテトテと走っていく……なんとも微笑ましい光景。

 ……リアンって、やっぱいい娘なんだよねぇ……。

 

 と言うか、あからさまにエストがブーたれてるから、空気読んだっぽい。

 リアン、空気の読めるいい娘。

 

「ねぇ、エストちゃん! もうすぐ日も暮れそうだし、11層もなんか色々想定外な感じだし……。

 今日はもうお開きにして、晩御飯のことでも考えましょ。」

 

「まぁ、しょうがないね……それにしても、いきなりジャングルとか迷宮ってメチャクチャね。」


「まぁ、その辺も含めてってところかな……ここは、ゆっくり対策考えましょ。

 あと、サクラもちょっと正座、お説教タイムかなー。」


「ありゃ……ロゼっち、怒ってる?」


「と言うか……ちょっと気の毒になってきちゃって……こっちもさすがに延々こんな調子だと困るからね。」


「まぁ……アイツ、ロゼっちの言うことなら聞くのよねぇ……でも、もう誰も魔王様とか呼ばなくなったのはなんで?」


「うーん? 昔の姿とか知らないし、なんか憎めないのよね……ある意味親しみやすいって言うか何と言うか。

 ああ言うのってカリスマって言うのかしら。」


「かもね……私も怒る気失せたわ……ルーシュもいこっか。」


 エストが苦笑しながら、ルーシュと連れ立って宿屋へと向かう。

 私は私なりに今後の方策について、考えつつ後を追った。

 

そんな訳で、本編再開でっす!

いきなりタイトルがひどい。


ちなみに魔王様はカリスマ(笑)です。


このすばのめぐみんよかマシですが、火力過剰な一発屋なので基本的に使えません。

伊達に37回も死んじゃいないのだぜ? お前はスペランカーか。


なお、この作品何気に打ち切り検討してましたが、再開したのは、作者がこのすば見たせい。


あれくらい酷くても良いのかっ! とある意味開眼したので、この作品……ドンドン酷くなっていきます。(笑)

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