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第四話「その名は、魔王さくらたん」④

「……解った……そう言う事なら最後まで一緒に行こうっ!

 と言うか……連れてかないとダニオがふてくされてやる気なくしそうなのよね。

 それにあんた達も結構頼もしくなってきたし……そん代わり、色々痛いのとか覚悟しないと駄目よ?」

 

「「解りました! ロゼさん!」」

 

 二人が声を揃える。

 

「……ホント言うとさ、私も……二人のことが大好きなのよ……。」


 そう言って、私は二人を纏めて抱きしめる……。

 

「やれやれ……そうなると、この青騎士エストリアさんもお付き合いさせていただきますか。

 と言うか……ロゼっち守るのヘッタクソなんだもん……ほっとけないよ。」

 

「うんうん、仲間同士の絆か……実に良いのう……ワシも思わずもらい泣きしてしもうたぞ。

 まぁ、これからはワシにも仲間として存分に頼るといい……今は弱っちいけど、本来はもっと凄いのじゃ。」

 

「まぁ……レベル3でこのステータスならむしろ、伸びしろ凄いって事だしね。

 でも、仲間になる以上、魔王様とか呼び辛いから、サクラちゃんって呼ぶからね!」

 

「……ふふん、部下がいないのであれば、別にその名で呼ばれるのは構わん……むしろ……嬉しい……のじゃ。

 うん、だからサクラと呼ぶがいいぞ! ならば、今後よろしく頼むぞい。」

 

 そう言って、握手を求める魔王様。

 

「あ……でも、その前にさ……やっぱ落とし前は付けないと……。」


 そう言って、笑顔で指の関節をゴキゴキと鳴らしてみる。


 ……察したらしい魔王様の顔色がさーっと変わる。


「な、なんじゃ……ワシ、仲間にしてくれるんじゃなかったのか?」


「それはそれ……と言うか、ギャプロンって散々色々やらかしてくれてるからさ。

 下の不始末は上が責任取らなきゃ……とりあえず、けじめって奴だから、ここはグーパン一発で勘弁してあげる。」


「待って! 今のわしではお主のグーパンとか多分死ぬから!

 ほら、ワシ……か弱い虫けらみたいなもんなのじゃ……弱い者いじめ良くないのじゃ!

 ……ギャ、ギャプローン! 緊急出動じゃ! 今すぐ来いっ!」


 魔王様がそう叫ぶと、遠くの方からゴゴゴゴゴと言う音と共に、なんかやってくる。

 

 色々壁とかぶち抜きながら、両腕に長い三角形のアーマーを付けた3m程の緑色のメカが重量感たっぷりに着地する。

 

「……魔王様、四天王が一人、蒼穹のギャプロン……参上仕りました!」

 

 ……うっわぁ……ナニコレ?

 ダニオの機動騎士そっくり……魔王四天王のギャプロンってこんなだったのか!

 

「おお、良く来てくれた……ひとまず、貴様に命ずる……ワシの代わりに殴られてくれ!」


「はっ! ま、魔王様? それはどういう事でございますか? 殴られろ……とは?」


「やかましい……貴様が散々好き勝手やらかしたせいで、こやつらに色々迷惑かけたのじゃ。

 わしも謝罪はしたんじゃが……コヤツ……ロゼ殿はワシを一発殴らないと気が済まんと言うておってな……そう、落とし前の儀式と言うやつじゃ。

 けど、ワシは悪くない……全ては貴様のせいじゃ!

 かくなる上に……貴様も罪を償うと思って、甘んじて受けんか!!」

 

「……か、畏まりました……ですが、このような細腕の人間の子供では……私を殴っても、逆に腕が折れてしまうのではないかと……。

 人間は脆弱ですが……この者、それに輪をかけてか弱く見えます……。」


 ピキピキッ……私、舐められてる?

 

「……あのさぁ、魔王様……本気でこいつぶっ飛ばしていい? 死なない程度には手加減するから。」


「フハハハハッ! この元とはいえ魔王を名乗っていたギャプロン相手に手加減とは笑止千万!

 貴様いくらなんでも冗談が過ぎるであろうっ! まぁ、魔王様の命令であるからな……貴様の好きにするがいい。

 私は逃げも隠れもしない……貴様の怒り、悲しみ……全て、雄々しく受け止めてみせようではないか!」


 よく言った……余裕を通り越して、完全に馬鹿にしてやがるし……何かムカつく、コイツ!


 こうなったら……発動! 紅の鬼神モード!


「……紅の鬼神の力……とくと見よ!

 ギャプロン……貴様の奢りとその罪を打ち砕くっ! 我が拳は断罪の一撃なり! 覚悟っ!」


 メイド服が赤く染まり、手甲、脚甲、ヘッドギアが装着される……三本爪が拳を覆い隠し、鋭い角が額から伸びる!

 

「……お、お主! それっ! 超本気のマジモードではないかーっ!

 ギャ、ギャプロン、貴様も……大人しく殴られて、うわーとか言って倒れておけば丸く収まったのに、何を偉そうに挑発しとるんじゃぁあああっ!

 ……と言うか、ワシは逃げるぞい! 巻き添えも爆発オチもいやぁああああっ!」


 魔王サクラ様……右往左往した挙句に、何故かリアンに抱きつく。

 リアンも自分より小さい魔王様を不憫に思ったらしく、抱き寄せる。

 

 おいこら、そこ……私のリアンに何してくれてる?

 

「……なんだそれは? ふむ、その姿……伝説の鬼神族……なのか?

 なるほど、それが貴様の本気という訳か。

 面白いではないか……ならば、鬼神族の力……どの程度か見極めてく……」

 

 ……ギャプロンの言葉が終わる前に、正面からの突き!


 やっぱり、ブッピガンって言って、腹の部分の装甲を完全に貫通し私のクローがギャプロンに深々と突き刺さる。

 

「グダグダうっさい……まずはこれは……私のぶんだっ! 私の怒り、思い知ったか!」


「……ば、バカな……我が……装甲が……これが鬼神族の力……なの……か?」


「そして、これは……ダンジョンで爆死したリアンの痛みの分っ! 死ねぇえええっ!」


 そう言って、飛び上がって両手を組んで顔面への打ち下ろし!

 

 頭部の装甲がメギョッと潰れて、目の部分がパリーンって言って壊れる。


「確かに凄く痛かったですけど、それロゼさんのせいですからっ! あと殺しちゃ駄目ですっ!」

 

 この一撃で、気絶でもしたらしく、ギャプロンは力なく両膝を付く……!

 

「まだまだぁっ! これは私と一緒に落とし穴に落ちて死んだルーシュの怒りだ! 受け取れぇええっ!」


「それも大体ロゼさんのせいだよっ!」


 辛うじて、左腕を動かして、私の右フックを受け止めるギャプロン……けれど、私の一撃は腕の三角シールドを破壊し、受け止めた腕をも打ち砕く!

 

「えっと……これはあんま関係ないけど、エストの分だっ! そぉおおおいっ!」


 今度は思い切りキーックッ!


「ええっ! 私ーっ?! ホントに関係ないんだけどぉっ!」

 

 ギャプロンの巨体が宙を舞い……壁にめり込んで止まる!

 

「そして、最後に……これは主にダニオのせいで、色々溜め込んだ私の怒りっ! くらえぇえええっ!」


「「二回目行ったぁああああーッ!」」


 リアンとルーシュの声を揃えたツッコミを聞きながら、渾身の正拳突き!

 

 ……ブッピガン!

 

 いつもの断末魔が響き渡ってギャプロンの胸部装甲に風穴が空いた……なんだろう、このスッキリ感!

 

 ちょっとやりすぎたかもしれないけど、私……やり遂げた感いっぱい。

 

 ……バチバチと放電しながら、グラリと傾くとビクビクと痙攣するギャプロン……確かこいつら死ぬと爆発するのよね。

 爆発しなかったから、一応手加減は成功……甘く見て調子に乗った報いだ……反省しろ。


 なんか、原型とどめてないって感じで、スクラップ状態だけど……まぁ、いいか。

 

 変身を解除して、笑顔と共に振り返ると、皆、微妙な苦笑い。

 

 魔王様は……お股の間からじょばーと滝のようになにかが……そして、見る間に水たまりが床に広がっていく。

 

「うっ……うぇぇえええ……ひぐっ……。」

 

 ……魔王様、とばっちりで大惨事。

 

「えっと……ごめんね……サクラちゃん、やりすぎちゃった……テヘペロッ!」


 ……むしゃくしゃしてやった、別に反省はしてない。


 でも、泣かせちゃった……なんかごめん。

テヘペロ……じゃねーし。

魔王様、被害甚大。


次回はダニオの総評回だっ!(笑)

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