第三話「とりあえず、お話しようか、魔王様?」①
第10層……迷宮守護者。
ダニオ情報では、黒いギャンダモーMK-Ⅱとか言うのが出てくると言う話だったのだけど。
出てきたのは、黒っぽいスカートみたいなアーマー付きのがなんと三体!
頭は十字スリットのおむすびみたいな頭なんだけど、目が2つ付いてて、キモい。
ダニオいわく、ドモーとか言う名前で黒い三連荘とか言うパイロットユニット付きなんだって!
なんでも、先頭のがガイナ、二番目がオテガル、三番目がマッショ……とか言うらしい。
ダニオによると、ネームドユニット……とかなんとか。
ホバーっぽいので高速移動しつつ、チョコマカと非常にうっとおしいっ!
先頭のガイナがビームサーベルを抜いて、切りかかってくるのをダガーで受け止める!
けれど、防いだところへ、後ろのオテガルとマッチョがバズーカと拡散ビームの複合攻撃を仕掛けてきた!
「んにゃろっ! やってくれる!」
バズーカ対策で物理保護の方を展開してたせいで、拡散ビームをまともに食らってしまう。
……副次効果の電撃波で、さしもの私もノーダメージじゃ済まない!
なんか服が焦げたり破けたりして、下着とかも見えてるし……ほっとけば勝手に修復されるとは言え……ちょっと恥ずい。
「痛いし、服破けたし……こんにゃろー! よくもやったなっ!」
「ろ、ロゼたん中破だっ! 恥じらうロゼたん、激萌えす……いいぞ、もっとやれ!」
「……ダニオ、どっち応援してんだよ! 死ねっ!」
って言うか、このドモーって、ビームを胸の真ん中から出すのはいいけど、撃つたびに両手を頭の上で合わせて、腰をくねらせて変なポーズ取るとか、仕草がいちいちムカつく!
……もはや、私のフラストレーションは臨界点突破!!
「むがーっ! どいつもこいつも! 絶対、ぶっ殺ーすッ!」
「ロゼっち! 一旦下がるっ! 熱くなったら負けるよっ! ここは私が引き受ける! 来いっ! 私が相手だ!」
エストちゃんが挑発スキルを発動! ……いかんいかん、敵の挑発に乗せられかけてた!
エストちゃんの挑発につられた後ろの二体は、エストちゃんへ狙いを変えて、拡散ビームとバズーカですかさず攻撃してくる!
拡散ビームは私が下がりながら対魔術結界を展開し止める!
エストちゃん、物理防御には強いから、シールドでバズーカの直撃を受けても物ともしない!
「ロゼっち、さんきゅ!」
「魔術攻撃なら私が止めるから任せて!
ねぇ……ここは私の鬼神モードで一気にやっちゃわない? ちょっと、いい加減ムカついてきたっ!」
「ロゼっちのアレって……時間制限あるんだから、使い所は考えないと……。
万が一倒しきれなかったら、ジリ貧だからもうちょっと待って! リアンはロゼっちを回復!
ルーシュはアイスジャベリンのチャージに専念! ここは厳しくとも耐えしのぐべき局面っ!」
……エストちゃん、伊達に聖堂騎士とかやってなかった……状況判断力や指揮統制は私より上。
ぶっちゃけ私、保護者として立場ないんだけど。
6階から10階まで一気に来れたのは、エストちゃんの存在が大きい。
フォーメーションとしては、エストちゃんが先頭にたって、敵の攻撃を一手に引き受けて、攻撃役の私が殲滅。
ルーシュとリアンはバックアップ……背後からの奇襲も私が最後尾を固めることでほとんど受けなくなった。
おかげで、あれほど死にまくってたのに、誰も死んでない。
罠については……ルーシュの勘が結構当てになる事に気づいて、危ない宝箱や扉なんかはスルー。
罠解除とか出来るほど、器用なの居ないし……。
通路のトラップもダニオの飛天の目を偵察に行かせる事で、高確率で回避できるようになった。
なにせダニオ……罠のトリガーとか熟知してる……少しは使えるじゃん、ダニオ。
このドモー軍団もダニオ情報によると、三体並んでゼット字を描きながらの連携攻撃、ゼットストリームアタックってのを仕掛けて来るらしい。
だからこそ、それを仕掛けて来たら、先頭をルーシュが氷漬けにして、玉突き衝突したとこを一気に叩き潰す……。
それが私達の考えた作戦……果たして上手くいくか……?
エストと切り結んでた先頭のガイナが、拡散ビームを放ちつつ後退する! これは来るッ!
案の定、三機並んで、斜め移動! 鋭角的なカーブを描いて、ガイナが平突きの構えで側面からエストへ突撃!
エストがルーシュに合図を送ると、ガイナにアイスジャベリンが集中!
数は6つと多くないけど、一発一発の威力はアイスショットの比じゃないっ! ルーシュだって強くなってる!
たちまち氷漬けになったガイナにオテガルが衝突! 最後尾のマッショは、ジャンプしてエストにバズーカを向ける!
殺った! とでも言うつもり?
直後に、鬼神モード発動! ヘイトスキルに晒されて、マッショが空中で姿勢を変えて、半ば無理やりこちらへ照準を変える!
その隙を逃さず、エストが氷漬けのガイナを踏み台にして、空中のマッショを正面からから刺し貫く!
ピギョオオオオン! と言う断末魔をあげて、マッショがエスト諸共吹っ飛ぶ!
態勢を立て直そうとしていたオテガルに、私の突撃クローアタックをブチかます!
ブッピガン! ビービビーバチバチバチ……
例によっての変な効果音と共にスパーク! 更にダメ押しとばかりに、いったん後ろに下がって鬼神モードのフルパワーでギャンダマハンマーを投擲。
ハンマーの一撃で氷漬けになったガイナが粉々に砕け散り、その後ろにいたオテガルはハンマーの直撃で壁まで吹っ飛んでいって大爆発!
色々フラストレーションが溜まっていただけに、断末魔のブッピガンも何やら心地良い。
「いよっしゃあっ! 完全勝利っ!」
思わずガッツポーズ! ちょっとはしたないんだけど、今はそうしたい気分!
「やりましたぁ! 二人とも見事なコンビネーションですぅ!」
駆け寄ってきたリアンちゃんがピョンピョンと飛び上がって大喜び! なんか、可愛かったのでギュッと抱きしめて、ぐるぐると振り回す。
「うんうん……なんか強敵っぽかったけど、作戦がバッチリハマって、いい感じに倒せたねぇ。」
マッショの方もエストが始末したようで、のんびりした口調でこっちへ戻ってくる。
隅っこの方でコソコソ隠れてたルーシュも駆け寄ってきたから、ルーシュも捕まえて一緒に抱き合う!
エストもそんな私達を見て、なんかウズウズした感じでダイブしてきた!
四人でくんずほぐれつで訳解かんなくなったけど……皆、寝っ転がって勝利を噛みしめる……。
ちなみに、ダニオは「俺を踏み台にしたー」だの……「マッショー!」「オテガルー!」だの色々絶叫してたけど、知るかっ!
こうして、私達は第十層を無事攻略したのであった……大勝利ーっ!
相変わらず、色々酷い。
テンプルナイツ、エストたんの加入でロリ娘PTもすっかりパワーアップ。
4人でのフォーメーション戦術で、黒い三連荘を一蹴!
今回はパワーアップお披露目回って奴ですねー。
次回からは魔王編が本格的にスタートです……しばらくダンジョン戻りません。




