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孫子、老子の解説  作者: 楠乃小玉
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第三章相克の木、火

今回は、自分がどのポジションにいるかわかったら、それをどう生かし、どのような人とかかわるべきかを

解説します。長くなりますので、今回は木と火だけを解説します

いよいよ、我を知り、己を知った後のその相関関係の活用術実践です。


先の章ではそれぞれの属性のヒエラルヒーについて説明しました。

つまり、内面性では智は仁にまったく勝てないのか?

対外的には庶民である信は永遠に王である仁に勝てないのか?ということになります。

しかし、それは違います。革命によって王がひっくり返り庶民が王になるように、

すべてはバランスであり循環であるので、何が高級で何が下級というものではありません。

最も優位に見える仁も義に弱く、義は礼に弱く、礼は智に弱く、智は信に弱く、信は仁に弱いのです。

つまり、お互い得意なものと苦手なものが循環しているので、自分の立場がどの位置にあるか

理解したら、自分が得意な者を利用して巨大化し、自分な苦手なものを忌避することで被害を少なくする。

その事で相対的に勢力を拡大するという方法論が取られます。


木、仁は金、義に弱い。

皇室が常に将軍家に圧迫されたように、王が軍によって担がれているように、王は庶民の尊敬を集めていますが、軍事力をもった軍隊の意向は無視できません。

この王という存在は現在に置き換えると宗教の教祖、組織のトップにもたとえられます。

組織のトップは仁政、つまり愛情を持って組織のものをいつくしむが故に配下の者は命がけで

ついてきます。

この木、仁が得意とするものが土であり信です。

現在日本で言うと、仁はカリスマトップスターであり、アイドルであり人気作家であり、人気ファッションデザイナーであり、大衆が憧れを持って賛美する対象です。

その武器はストーリー、物語です。

欧米においてこの地位にあるのがキリスト教教会です。カトリックは教会で毎日曜日信徒に物語を

語って聞かせ、プロテスタントは聖書を読むことを奨励しています。物語によって信徒を自分たちの

思考に従わせるのです。

組織のトップに立つ者は民衆に尊敬され、人気者となり、そして庶民に物語を想像させ、

夢を持たせます。そのことによって庶民を糾合します。

これこそ組織の要であり、このトップが変節したり、夢を壊したりすると、組織は簡単に壊滅します。

そして、この木、仁が生み出すものが火です。

木、木が力を得ることにより、その周囲に火、礼がよってきます。この木の人気を利用し、便乗し、

この木がいかにカリスマであるか、すごいか、喧伝し、木を守り立てます。その事によって木は一層、

勢力を増大し、木と礼は共存関係となります。

木に属する人というのは基本的に同情心の厚い人、困っている人を掘っておけない人。

人に奉仕したい人です。

この木が育てるのが火であるとすると、木を育てるのは何でしょう。

それは水です。

水、智が木を育てます。

木は自分のイマジネーションを人に理解してもらうために、技術、スキルや思想、思考方法、演出方法など技法を学ばなければなりません。スポーツ選手ならその技能を。歌手なら歌の歌い方、作家なら小説の書き方を学ばなければなりません。それを学ぶものが水である智です。

木は水によって育てられ、自分のもっている技術で大衆に夢を見せて、その事によって利益を得ます。

つまり木、仁が利益をえるための方法は知恵を得て、人に夢を見せる技術を習得することです。

その事によってこのセクションに所属する人は利益を得ます。


おさらいをしましょう。

木を害するのは金。

木仁は金義である、社会正義を訴える活動、社会活動などにかかわると不利益をこうむります。

ファンにも色々な考え方の方がいるので、何か特定の思想にこだわると、それと相反する思想の人は

その人の本を買ったり、コンサートに行ったり、スポーツを観戦しなくなります。

正義とかかわっても、木仁は楽しいことはなく、不幸でわびしい生活をおくることになり報われることはありません。そのような発言は木仁のカテゴリーの人を不幸にします。


木仁が利益を得る人々は信です。信者を大切にしましょう。しかし、ここで重要な問題が発生します。

木仁は土信を剋します。剋するということは嫌いということでもあります。

信者の過剰な行動、好きすぎるあまり、信者でない人を攻撃したり、奇行に走ったりする人もいます。

そういう人に対して、木仁がストレートに嫌悪感を出して「キモイ」などと言うと、それは破滅です。

利益が無くなってしまいます。利益が欲しければできるだけ信者を大切にして、握手会でヌメヌメの手で

握手してきても、笑顔で答えましょう。

それが木仁の利益になります。


自分の勢力を拡大するためには、パートナーに火礼を選びましょう。

先にも書きましたが人間は自分に利益になる人や事象に対して、興味を持たなかったり、忌避したりする

性質があります。木火は何の才能もない火礼を嫌悪することが多いです。

たとえば、自分では何も絵も書けないのに、同人作家を出版社に売り込んでリベートを取る同人ゴロなどを同人作家は嫌悪します。しかし、そういう金の匂いをかぎつけてくる人の中に仕事を持ってきてくれる

人がいます。厄介なことに、有能であればあるほど、そうした才能のある人をプロパガンダで有名にできる人の中にサイコパスである可能性が高まります。サイコパスは脳障害によって物事に執着することが

ありませんので、何かにこだわりすぎて失敗することはなく、とにかく利益が上がる方向へ冷静に

導こうとします。また、ファンが作品の悪口を言っても何も感じないし、嫌がらせをされた人でも

利益になれば平気で付き合うので、表面上はすごい善良な人格者であると勘違いされることが多く、

社会的にも高い地位に着く人が多いです。映画「it」のモデルとなったジョン・ゲイシーは

シリアルキラーですが、彼も非常に高い地位にありました。ただし、彼の場合は先天性サイコパスではなく後天性ソシオパスの可能性が強いと考えられています。

このように、木仁は売れる仮定において、自分のファンや理解者ではなく冷静で客観性がある

プロパガンダ要員と手を組んだほうが勢力を拡大できます。

しかし、本来、木仁はそのような方法論を嫌います。


木仁が自分を成長させ、自分に実力をつけるためには、水智を大切にする。

これは師匠であり先生であり、教授であり、学習書です。そのような人たちを尊重し、大切にし、

敬い、学ぶことが自分を成長させます。先生に対して「オレはすごいんだぞ」「オレの考えはこうだ!」

などと自己顕示欲をむき出しにしては不利益を産みます。尊敬し、盛りたて、いう事を必死に聞いて

吸収すれば、水智の性格の人は自然と喜んでくれます。この方法論が木仁にとって、もっともやりやすい方法論でもあります。


天皇陛下がお名前に仁の字をつけられるのも、

国家の象徴である存在の持つべき心は仁であるというお教えを古典より継承されているものと思われます。





火礼です。

火礼の人を攻撃してくるのは水智の人です。

火礼の人は世間から物凄い頭がいい、知識豊富と思われていますが、それは、色々な人が創出した

知恵を寄せ集めたパッチワークであり、何かと特定の知恵を追及する姿勢はありません。

人からすごいと思われたり、人を動かし自分の利益になるための知識ですから、広いですが

底は浅いです。よって、その分野の専門家に指摘されれば、もろくもくずれさり、大恥をかく

ことになります。このように火礼の人は水智の人に攻撃されても、あまり反撃せず、逃げておくほうが無難です。相手をあなどって、へたに攻撃すると、相手は徹底的にこちらの理論矛盾を指摘して

あなたは大恥をかいて、世間の信望をうしない、いままで集めてきたものを喪失する可能性があります。


火礼が攻撃するものは金義です。

それは、社会運動である場合もありますが、公職、官僚、警察、軍隊もこの金義に属します。

あなたは、自分が生み出す大衆、信を大量に集め、ある種の社会運動を攻撃し、また軍隊を攻撃し、

警察を攻撃し、官僚を攻撃し、また政党を攻撃して、それら市民運動、政治組織などによって

資金を集め、私服を肥やすことで利益を得ます。それは、大掛かりな市民運動や宗教団体、政治組織で

なくても、ネットで自分のチャンネルをもって「この政党おかしいよねー!攻撃するからみんな寄付してねー」と煽ったり、本を出したり、クラスの中で誰か悪者にしてそれを叩く先頭に立って、衆人の

リーダーになったり、会社組織で問題が起こったとき、誰かをスケープゴートにしてそいつに

全ての罪をかぶせて、問題を解決したり。つまり、誰か仮想敵を作り上げて、それを攻撃することによって信者を増やし利益を得ることによって勢力を拡大することができます。しかし、現実社会では、

これを応用して商品を宣伝したり、どこかのチームを応援したり、コマーシャルを考えたりと、

もっと温厚な方向で才能を生かすことになるでしょう。本質的に礼儀正しく、物事にこだわらず、

何を言われてもにこやかに対応できるあなたは、広告、拡散、プロパガンダに向いており、

組織の潤滑油的存在として重宝されるでしょう。

自分が何かコアになるものと持っていないことに悩んで、自分探しなどしていると、人生を無駄にし、

不利益をこうむるので、自分が何ももってない、創造性がないことを開き直って認め、それを受け入れることが大事です。


火が生み出すものは土信です。

火礼の最大の特徴はこだわりのないこと、自分の中に何もないこと。

よって、どのような思想をもった人にも礼を尽くすことができる。

よって、自分の確固とした思想をもって、それを動かすことができない世間から見たら厄介と思われる

信の人たちにとっては心のよりどころであり、大量の信者がよってきます。

信者が求めることは、自分の信じるものが広がること。

よって火はそのつど、信者が求めるものを得られるということで大量の信者を得ることができます。

しかし、最終的にそれが単なる空手形であり、嘘であることに気づくと信者は激怒しますので、

中に何もない火礼が組織の旗頭になることは危険です。なにもよってたつ思想がないからです。そうではなく、既存に存在するアイドルや人気者、人気作家など、信仰をあつめている者にくっついて

コバンザメとして、宣伝隊長として人気者の宣伝や広報活動に徹するほうが、火礼が求める利益が

得られます。火礼が求めるものは基本的に利益であり、現金なので、地位や名誉などもとめないほうが

火礼は幸せになれます。


火礼を養ってくれるものは木仁です。

火礼は自己利益が第一であったり、何もこだわりがないので、軽薄な人と見られることもあり、

そうした標的となれば周囲から一斉攻撃を受けることもあります。そんなとき、

「まあまあ、かわいそうだから」とかばってくれるのが優しい木仁です。

火礼は木仁のとくに、有名人やアイドルなどによりそい、その宣伝活動を熱心に行い、

木仁のカリスマに目をかけられることによって、大事な役職をまかせられ、おこぼれを

頂戴できます。あくまでも木仁の宣伝役に徹して、純粋に利益を得たほうが火礼にとっては

幸せです。企業のトップになるのであれば、中小企業の責任ある社長ではなく、株式会社のトップで

株主の利益のために働く立場のほうがその能力を生かすことができるでしょう。大きな組織であればあるほど、その調整役としての能力は生かせます。





次回は土、金、水について解説します。

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