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孫子、老子の解説  作者: 楠乃小玉
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二章:敵を知り己を知れば百戦危うからず

二章:敵を知り己を知れば百戦危うからず。敵と己を知るためには、その曖昧模糊な存在を、まず、カテゴライズして分類することから始めなければならない。孫子、老子においてはそれを陰陽五行に分類した。

よって、孫子、老子を学ぶにあたっては、この陰陽五行を学ばずしてこれらを実用することができない。

もっとも重要な事項である。

敵を知り己を知れば百戦危うからず


孫子の兵法において主軸となる思想は「敵を知り己を知れば百戦危うからず」である。

しかし、日本における孫子解説本では、この「敵を知り己を知れば百戦危うからず」の

具体的探索方法が記述されていない。

これは、孫子における陰陽五行によって解説されており、外国ではこの陰陽と五行分析法を活用し、

アメリカの心理学者ジョイ・ギルフォード氏の人間の人格を5種類に分析する分析法などに応用されている。

日本の心理学者、矢田部達郎氏がこれを応用しYG性格検査なるものを製作しているが、日本では

驚くほど普及していない。このYG性格検査は人間の性格を外向的⇔内向的、抽象的⇔具体的、

の縦軸と横軸の図表で表し、外向×抽象的、外向×具体的、内向×抽象的、内向×具体的に分類し、

大多数はこの4分類に該当するが、いずれにも該当しないレアケースが存在する。それをあわせて

5種類の性格に分類している。

前述の4つの性格に該当しない性格者の大多数はバランスが取れた性格の人間が大多数であるが、

その中にある種の条件を満たした者が極少数存在する。それは先天的脳障害によって物事に執着することがなく善悪の概念にも執着することがない性格であり、これを精神病質サイコパスと呼ぶ。

これはあくまでも先天性の障害であり、数は少ない。


このように欧米では陰陽五行の五行的性格類型を活用した分析が発達しており、この正確分析を用いて

心理的に敵を翻弄したり、味方を統率したり、大衆を扇動してりしている。

この五行分類という孫子の基礎を学んでいない日本人が彼等と闇雲に戦っても勝つことはできない。

またこの五行を知らなければ孫子を学んだとしても、人を見極めるすべをしらず、観念論にすぎないことから、まったく孫子を活用することができなくなる。

 このように、日本における孫子は戦後、この陰陽五行を排除したものとなっている。

 戦前は前章に記述したとおり、陰陽五行を教えており、戦前生まれの人でその事を記憶している

老齢の士族からその内容を聞くことができる。私の父は大正生まれであり九十歳をゆうに越えており、すでにそれら父の世代から聞いた兵法に関しても多くが失念していたり、内容があいまいであったりするが、

それでも、ある程度内容を把握することはできる。


それでは、具体的にその分類を記述していくこととする。


孫子、老子においては人間を五つのカテゴリーに分類している。

それは木火土金水である。これは仁義礼智信という言い方もされている。その序列に関しては後述する。


木=仁

情愛、優しさである。


火=礼

礼節、礼儀作法、扇動、統率である。


土=信

信用、信頼、信じる。思想、宗教である。


金=義

正義、秩序、治安維持、秩序維持、正義感、防衛などである。


水=智

知恵、思考、思想、発想、学者、教師、軍師などである。


これらの累計に、先ほど記述した陰陽が付加される。

木火土金水

この並びが陰であり人間の内面の秩序や社会秩序である。

仁義礼智信

この並びが陽であり、実際の社会的秩序である。


木火土金水について解説する。

人間社会においてこの最下の秩序は上位の秩序を凌駕することができない。無理に下位秩序を優先しようとすると、社会秩序が乱れてその社会や集団が崩壊することにつながる。


最下位の水つまり智は、知恵によって、社会の抜け道を見つけたり、人を出し抜いたりして、他人より優越して

利益を得る行為。

これは、上位の義である法律の範囲内でしか行使することができず、法を逸脱すれば逮捕されててしまうため、上位秩序の法を優越することはできない。


金つまり義は法の支配である。しかし、たとえ合法であっても、社会的信用を失墜すれば社会的立場を

失うことになる。

機械の扱いが分からないお年寄りのパソコンサポートの契約書に、解約すれば20万円支払いと小さな字で記述してあり、それをお年寄りが見ずにサインすればお年よりから強引に20万円請求しても合法である。その他、お互いの信頼関係を裏切る行為をしても、合法であれば法で罰せられることはない。しかし、そのような信用を失墜する行為、口約束の反故などを行えば、社会的信用を失い、社会で生きていくことができない。法治は信用を優越することができない。


土つまり信は社会的扇動や礼節を優越することはできない。

同じ行為をするのでも、横柄な人は敬遠される。横柄な態度をとっている店は、たとえ商品を適正価格で

販売していても、約束を破らなくても、客が寄り付かなくなる。また、社会的に正しいことをしていても、たとえば豊洲市場移転問題においては、豊洲の地下構造は地下ピット工法といって、もし、地下から

有害物質が湧き出してきた場合、地下水を排除するために必ず必要な空間である。あの空間を盛り土で

埋めてしまったら耐震杭を毛細管現象でつたって上がってきた地下水を排除することができず、

地下水が直接1階の地表から染み出してくる結果になる。よって、豊洲の地下空間建設は正しい。しかし、大衆扇動によって、正論は封殺され、正しい事をしていた者の口が封じられて謝罪させられる。

これが火の力であり大衆扇動である。よって、正しいことをしていたから、必ず勝つことができる

わけではなく、大衆扇動は信用を優越する。


火は礼であり、大衆扇動である。

火は土である仁を優越できない。

たとえば、アナウンサーが人工透析の患者は金の無駄だから見殺しにするべきだと訴えた問題。

マスメディアをつかって有名タレントが擁護し、最初はメディアに出演して同席したタレントたちも

笑って済ませていた。しかし、そのようか行為は、社会的弱者を虐げる行為が可愛そうであるという

仁、大衆の同情をかい、怒りに燃えた大衆の猛抗議によってそのアナウンサーは番組を降板した。

このように、いくらマスメディアという圧倒的扇動機関を保有していても、同情が怒りに変わった

大衆の怒涛の流れをとめることはできず、これは、法も、理屈もかなうことができない。


このように人間の内なる感情の秩序は木火土金水という序列になっており、その事を理解した上で

大衆を扇動動員しなければ、事を誤る。そうした大衆扇動の指標としてもこれらの分類は役に立つ。


対して陽。

仁義礼智信

これは実社会のヒエラルヒーを現している。

具体的には

王族、貴族

軍隊、警察、

宦官

軍師、学者、

大衆

これらも下位が上位に逆らうことはできない。

ならば最初から王族、軍と書けばいいものだと思われがちだが、老子思想においては物事はつねに

変転するものであるとの考え方があり、これらの社会的枠組みも時代の変化によって変わってくることを

前提として、あえて、抽象的な記述に置き換えているのである。



まずは、これらの特質を記述した。次項においてはその関係性について解説する。

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