第5話 対決
ついにバトルシーンです、文章能力ない僕には難しかったです...
楽しめて頂けたら嬉しいです。
エヌ暦2744年
あれから決闘の事なんかすっかり忘れ、俺は小学6年生になっていた。
フリースは4年から人員整理の為別クラスに移動してしまったのでアレから学力勝負などはしていない。
ま、フリースはそこそこ出来るほうだから今頃クラスで威張り散らしてるだろうな。
因みにアテナとはあれから1度も連絡がつかないでいる、毎日一応かけているが全くでない。
流石に少し心配だ・・・
あ、後あれから毎年バレンタインデーになるとレイがウチに泊まりに来る習慣が付いてしまった。
ホント勘弁してほしい・・・
俺は考えごとをしながら廊下を歩いていたらフリースがいつの間にか俺の目の前に立っていた。
「・・・やぁ、ゾール」
フリースは紙を目の前に突き出し
「お前に今、決闘を申し込む!」
よくみたらその紙は決闘申し込み用紙だった。
「・・・」
俺は無言で通り過ぎようとした、が。
「あーぁ、フリードライトもそんなもんか。勝負もろくに受けれないなんてなぁ・・・やっぱりレイにふさわしくないよ。」
フリースは唐突にレイの事をもちだして突っかかってきた
「・・・レイは関係ないだろ」
「レイも才能無い上に勝負から逃げる男と一緒に居たらさぞ可哀想だろうね・・・おいゾール、レイを僕にくれよ。」
フリースは何を思ったのかそんなとんでもないことを言い出した。
「・・・は?」
「僕ならレイに見合う男のつもりさ!富も名声もあるし実力もあるんだ・・・お前みたいな才能無しをごまかしてる三流と違ってね。」
レイは別にただの友達だ、彼氏とかじゃないし好きにすればいい。
・・・だが、こいつが相手となりゃ話は別だ。
「お前・・・」
「ハハハ、才能無しのゾールくん!レイを渡す気になったか?」
・・・またひねり潰してやるか
「決闘、受けてたってやるよ。お前が勝てばレイはくれてやる・・・俺のじゃねえし。だけど俺が勝てば金輪際レイに関わるな。いいな?」
「あぁ、いいとも!」
俺達はレイ不在のまま話を決めてしまった。
【学校地下闘技場】
建物とか壁などの障害物があるステージに、俺とフリースは立っていた。
「ではこれより、ゾール・フリードライト対フリース・シャンブレーによる決闘を始める」
決闘はココ最近あまり行われておらず、どの学年でも見物可能、そしてさらに魔法研究家の第一人者の息子VS世界的に有名な貴族の長男というビックネームな対決ということもあり会場は満席だった。
「勝負内容は模擬戦闘、魔法の使用可、剣は柔らかい素材のものを使用。フィールド内であればどこでも移動可能だ・・・勝利条件は頭に一発剣で叩くか魔法を3回当てた者とする・・・ゾールは実質頭に剣を立てることだけだな。」
くっ・・・悔しいがそのとおりだ。
かなり厳しいが、相手はフリースだ。
なんとかなるだろう。
「次に勝利者の権限発表だ、もしフリースが勝ったらレイ・コーデュロイは自由にしていいとのこと。」
「なっ!?」
あ、レイだ・・・
「ちょっと私を勝手に賭け事に入れないでよ!ってかなんで決闘してんの!あーもう!!言いたいことありすぎて・・・もぉーーー!!!」
顔合わせれねえ・・・
「おにいちゃんー!がんばれー!」
・・・よくみたらレイの隣にはラシャが座っていた。
負けたら恥ずかしいな・・・。
いまさらながら少し後悔し始めてきたぞ・・・
「コホン!・・・ゾールが勝ったらフリースはレイに近づかない事。それでいいな?」
「もちろん!」
「あぁ」
俺らは頷く。
「それでは・・・はじめ!」
試合開始のホイッスルがなる、決闘が始まったのだ。
「いくぜ才能無しゾール!魔法の連撃、耐えれるかな!?」
フリースが調子乗ってる所わるいんだが俺はもうお前の首を狙ってるんだぜ────!
俺はフリースの後ろに回り込むように思い切り走り、背後を取る。
そしてその頭めがけて剣を振り下ろし────
「フッ・・・・・走れ...稲妻よ!我に力を示したまえ...ッ!〝βροντή(ボルティ!)〟!!」
いきなり振り返ったフリースに
「うおぉッ!」
勢いよく吹っ飛ばされた。
「フリース!魔法一撃入りました!」
何・・・!?俺の動きが読まれた?
と言うかあの魔法の精度、フリースのものとは・・・
それにボルティ...サーペンティン(雷属性)の魔法にしてはあの威力とは...。
・・・いや、まぐれまぐれ。
もう一回────!
「くっ・・・!」
俺は立ち上がりフリースの死角を突き建物の中に入り込み機会を伺う。
「おいおい、どうした?ゾール。もう逃げ腰かよ・・・笑えるね!」
・・・あの慢心した様子だとやはりいつものフリースだよな・・・
フリースは今、俺を探すためフィールドを歩き回っている。
そして今、俺に背後を見せている。
周りには障害物も無し。
よし、今なら────!
俺は隠れてた建物から出てすぐさま切りかかった。
「短調だねぇ!!〝βροντή〟!」
またもやフリースは動きを読んだかの如く振り返り魔法を撃つ
「うわぁぁっ!」
「フリース!魔法2撃目!」
一度ならず二度までもッ・・・!
フリースの魔法も読みもマグレじゃない!
「ゲホッ、ゲホッ・・・」
吹き飛ばされた俺は壁に寄りかかっていた。
フリースはそんな俺の目の前に立った。
「ククク・・・ゾール、君は『フリースがこんなに強いはずがない』って思ってるだろう?」
笑いながらフリースは喋り始める。
「僕はお前に負けてから、必死になって魔法の練習を始めたんだよ・・・!魔法なら勝てる!何故ならお前は魔法が使えないから!そしてその実力を君に見せつけたかったんだよ!」
よくしゃべるやつだぜ・・・クソッ
「レイは僕にふさわしい、お前みたいな才能無しが関わっていい相手じゃないんだ!」
「・・・」
慢心してたのは、俺の方だったのかもしれないな・・・
・・・レイ・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
観客席にて────
「ゾール・・・!勝てるかな・・・?もう!勝手に私を巻き込んで・・・!!」
レイは不安だらけだった、いきなり決闘が始まると校内アナウンスがあったので来てみれば対戦者はゾールとフリースだし、賭けの内容は自分の事についてだったからだ。
フリースは度々レイにアタックをしていたがレイはそれをすべて断っていた、それは何故か。
────ゾールの事が好きだから。
いつしかレイはゾールの事を意識していたのだ、いつからかはわからないが・・・
だからこそゾールが勝手に決闘を始めた事に怒りすら覚えているのだ。
「はーぁ、レイさん・・・呆れちゃうよ。」
「なっ、なによこんな時に・・・!」
「おにいちゃんは、レイさんを助ける為に戦ってるんだよ。」
「・・・えっ?」
「思い出してよ、フリースさんが勝ったらレイさんは自由にされちゃう、けどおにいちゃんが勝ったら?」
「えーと、私に近づかない事・・・あ」
そうか・・・私の事目当てとか別の事が目的なら『レイに近づかない事』なんて言わないもんね。
「ねっ?フリースさんから守るため、おにいちゃんは決闘を始めたんだよ、だからさ・・・応援しないと!」
「・・・ゾール」
私を守るため・・・か。
・・・やっぱりゾールは昔から私にとってのヒーローなんだなぁ。
私、応援しなきゃ・・・!
「・・・ありがとう、ラシャちゃん」
「いくよレイさん!あそこでぐーたれてるおにいちゃんを起こさなきゃ!」
ゾール・・・この思い、届けっ!
「おにいちゃん頑張って!」
ラシャちゃんが叫ぶ。
ゾールはそれに気づいたのかこちらに振り向く。
よし!私も・・・!
「ゾール!!!がんばれー!!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・!
この声は!
ラシャ!
振り返るとラシャは手を振り始めた
そしてその後に
「ゾール!!!がんばれー!!!!」
と、隣に座るレイも応援してくれた。
「レイ・・・!?レイが何故ゾールの応援を・・・くっ!でも僕が勝てば・・・僕が勝てばレイは僕のものだ・・・」
・・・・・・
俺は何をやってるんだ、らしくない。
相手が成長するなんて当たり前じゃないか・・・
それにそもそも鍛錬してたのは向こうだけじゃないだろ。
技が2回躱されたからなんだ、また次の手を講じればいい。
レイの為にも、ここで俺がやられる訳にはいけない、そうだろ!俺!
「ゾール・・・お前を倒して、レイを僕のものにっ・・・!」
「・・・残念ながら、それは叶いそうにないぜ?フリース。」
俺は思い切り地を蹴り跳躍した。
「・・・フハハハ!飛び上がるとか馬鹿か?いい的だ!・・・〝βρο...!」
フリースはボルティを撃つ時に右手を突き出す、その突き出してから放つのに時間差があるのだ、そこを叩く。
俺は思い切り腕目がけて剣を投げた
「いてっ!」
見事命中、隙ができたな。
そのままフリースの真上に着陸。
馬乗りになり投げた剣を回収し──
「お前にレイは扱いきれないぜ。」
頭に一発、御見舞する。
「悪いな、俺は負けられないんだ。」
「~~っ!!!」
「ゾール!剣が入った!勝者ゾール・フリードライト!!!」
ファンファーレがなり、紙吹雪が飛ぶ。たかが小学校の喧嘩ごとで大した仕掛けだぜ。
「ゾール!!」
レイが席から降りてきてこちらにやってきてくるや否やいきなり
「うおぉ!」
抱きついてきた。
「ゾール・・・!ありがとう・・・!私のために・・・!」
抱きつきながら、レイは泣き始めてしまった。
「・・・言ったろ、困った時は俺が助けるってさ」
「・・・うん・・・!」
俺はレイの頭を撫で続けた。
その少し後にラシャも来てくれた。
「おにいちゃんかっこよかったー!」
自分の事のように嬉しそうだった、こちらも少し照れてしまう。
「ラシャの応援のおかげさ・・・ありがとう」
「えへへー!」
ラシャは嬉しさ余ってか抱きついて来た、レイとラシャ2人から抱きつかれると少し苦しい・・・
戦い疲れた後だし・・・。
「ちょっと苦しい・・・かな・・・!」
2人はあわてて離れていった
「ご、ごめんゾール・・・でも私嬉しくて・・・それでつい・・・」
俺はまたレイの頭を撫でた
「っ!」
「俺はいつでもお前を助けるぜ。」
「えー!おにいちゃん私もー!」
ラシャは俺の服を引っ張って主張する。
「はは・・・わかってるって。」
「わーい!」
ラシャはまた抱きついてくる。
苦しい・・・。
その時だった。
「...〝βροντή〟!!!!」
フリースは俺に向かってボルティをまた放ってきた。
「あぶない!」
俺は咄嗟に抱きついていたラシャを突き放す。
「きゃっ!」
ラシャはコケてしまったが怪我はないようだ。
それに気を取られ俺は・・・
「ぐぁっ!」
マトモに魔法を食らってしまった。
「お前なんか・・・お前なんかに僕はっ・・・!!!殺してやる!!!〝βροντή〟!!!!!」
くっ...このままじゃほんとに殺される...!
「...集え、集え、光たちよ...壁となりて我を守りたまえ!〝
Φτιάξτε έναν τοίχο του φωτός(ビルド ア ウォール オブ ライト)〟!」
レイが魔法を唱えると、目の前に光の壁が出来た、そしてフリースが放ったボルティをはじき返した。
「・・・レイ!お前っ!」
フリースは驚きと怒りが混じったような声を上げていた。
「レイ・・・なんでお前はそんな才能無しの三流なんかに・・・!!」
「フリース、ゾールは確かに無神経だし魔法も使えないわ。だけどゾールはそれを補うために勉強も運動も頑張ってるの!それにね、ゾールはなにより頼りになるのよ!優しくて、強くて、カッコよくて・・・」
最後の方聞き取れなかった・・・
たまにレイは声が小さくなるんだよね。
ラシャは隣で「む~・・・」と唸ってるが。
「と、ともかく!私はあなたの物になる気はゼロよ!」
「く、くそ・・・!!」
フリースはまたボルティを放つところだったが寸前で先生が数人がかりで押さえつけて何処かへ連れていかれた。
多分指導室だろう。
こうして、俺の最初で最後の決闘は最後こそゴタゴタがあったものの無事に終わったのである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
決闘が終わった後、俺は1人教室で何をするわけでもなく席に座っていた。
すると扉がガラガラっと空き
「あ、ゾール」
レイが入ってきた。
「あぁ・・・ようレイ」
「うん・・・怪我は大丈夫なの?」
マトモにサンダーを食らったのであのあと一応保健室行ったのだが特に問題は無かったらしい。
「まぁな、大丈夫だ」
「そう・・・ごめんねゾール」
レイは何故かいきなり謝ってきた。
「ええ?なんで謝る?」
「だってゾールは私を守る為にあんな事をして・・・」
またその話か、レイは妙にそういう所引きずる所あるからな~。
「あれは俺も悪かったよ、レイの判断なしで決闘受けちゃったしさ。」
「で、でもっ・・・ゾールボロボロになって・・・!」
俺は立ち上がりレイの口を手で抑えた。
「っ!」
レイは当然驚いている。
「もうやめよう・・・多分このまま話してても平行線になる。今回は結果的にレイを助けられたしオーケーって事で!」
俺はレイの口から手を離して頭をポン、と撫でた。
「・・・わかった、ありがとうゾール」
レイは納得したのか少し笑顔になってそう返してくれた。
それからちょっとしてからレイは何かを決心したような顔をした後、少し恥ずかしげに
「ぞ、ゾール・・・実はさ・・・私・・・」
と話を始めた。
「ん?」
「じ、実は私・・・ゾールの事が・・・」
とレイが話している途中で
「おにいちゃーーーーん!!!」
ガラガラっと扉が勢いよく開きラシャが飛び込んできた。
「うお!ラシャ!?」
「ラシャちゃん!?」
俺ら2人は驚いて声を上げる。
「探したよ~おにいちゃん!さ、もう遅いし一緒に帰ろっ!」
ラシャはいきなり俺の腕をつかみグイグイと引っ張って行った。
「うおぉ・・・わかったって!レイも帰ろうぜ!」
俺は後ろでやるせなさそうにしているレイに声をかけた。
「おにいちゃんは簡単には渡さないよ・・・」
「ん?ラシャなんか言ったか?」
ラシャはレイの方を向いて何かをつぶやいた、俺は聞こえなかったので聞いてみたが
「えへへ、なんでもないよーっ!」
とはぐらかされてしまった。
レイはそのつぶやきを聞き取れたのか「む~!」と唸っている。
「お、お前ら?大丈夫か??」
俺は2人に声をかけたが
「なんでもない!」
「なにもないよ!」
と言われてしまった。
帰り道、ラシャとレイはなにやら殺気立っていた。
・・・その間に挟まれていた俺はなんとも不運だぜ・・・。
「えへへ~おにいちゃん!」
ラシャはさっきから俺の腕に抱きついている。
「・・・ちょっとラシャちゃん?ゾールにひっつきすぎじゃない?」
レイはラシャにそう言う。
「え~?でもいつもおにいちゃんはさせてくれるもん!」
ラシャは得意げにレイに言葉を投げかける。
「ゾールは無理してるんじゃないの~?」
レイは敵対心丸出しだ・・・
「そんなことないもん!いつもこうすると頭撫でてくれるもん!ねっ?」
ラシャは急に俺に話を振ってきた。
(俺に振るのか・・・)「・・・まぁね。」
渋々答えた。
「・・・!」
レイは悔しいのか怒ってるのかわからない表情で
「えっへへ~おにいちゃん大好き!」
ラシャはニコニコ笑っている
コイツらホント何があったの・・・。
「むぅ~!!」
レイはいきなり声を荒らげた後、空いてる方の腕に飛びついてきた。
「・・・レイ?」
俺はレイに声をかける、レイは
「・・・少しくらい、こうさせてよ。」
と言ってそれきり離してくれなかった。
ラシャは「ぐぬぬ・・・」とつぶやいた後により強く抱きしめてきた。
「勘弁してくれ・・・」
俺はもうヘトヘトだった。
家に着くと外には姉ちゃんがいた。
両腕にレイとラシャが抱きついているのを見て
「・・・最後には1人選べよ?」
と意味深な事を言って家に入っていってしまった。
「ね、姉ちゃん?姉ちゃーん!?」
俺は意味がわからずそう叫ぶ。
レイとラシャは分かっているのかより殺気が強くなるのを感じた・・・。
「・・・やれやれだぜ。」
俺は身長195cmのス〇ンド使いの高校生みたいなセリフを吐いた。
その夜、俺がフリースと決闘して勝ったという事を家族に話してしまったものだから家は祭り状態になってしまった。
「ゾールはやっぱり最高だな!」
お父さんは髪をなでてきた。
「やめてよお父さん・・・へへっ」
思えば俺は人の頭を撫でてばっかだったから撫でられると少し嬉しい。
「今日はパーティーね!」
お母さんはパーティー大好きなものだからその日は豪華な夕食や家族でゲームをやったりと・・・
・・・とっても最高の一日になった。
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西暦2745年 3月17日
体育館にて─
「これより、第128回目。紅玉小学校卒業式を執り行います。一同、礼。」
卒業、かぁ・・・
年をとると時間が経つのが早く感じるとは言うが本当それだな。
・・・ここの校長の話は本当に長い・・・。
「それでは卒業生代表、ゾール・フリードライト!」
はーぁ、なんで俺なんだろう。
「はい」
俺はフリースに変わり卒業生代表者として選ばれてしまっていた。
フリースはあの時俺に魔法で殺そうとした・・・それでアイツは処分を受けた。またその事が世間にもバレてしまい新聞の一面に乗ってしまう程に話の大きさは発展してしまった。
それ以来フリースは学校へ来ていない。
あの規律が厳しいと言われるシャンブレー家の事だ、今頃縁を切られててもおかしくはないだろう。
・・・まぁ、こういう事情もあり、流れで成績がトップクラスの俺に回ってきたのだろう。
「・・・えー、本日は私達、卒業生の為に、このような式典を挙げて頂き、まことに有難うございます。
またご多忙の中をご出席下さいました御来賓の皆様、校長先生はじめ諸先生方、並びに関係者の皆様に、卒業生一同心から御礼申し上げます・・・」
喋ってる時に色々と思い出を思い出してきた。
レイは小学校の低学年の時と変わって少し落ち着いた奴になったな・・・
ラシャは凄い素直で元気な奴になった。
エルムは時々冗談も混ぜながらも周りに気を配れる姉ちゃんになった。
皆成長したんだよなぁ
俺も成長出来ただろうか・・・。
「・・・これで終わります。」
喋り終わった途端、拍手が沸き起こった。
卒業証書を貰い、歌を歌う。
その後教室に行き、先生と最後の時間を過ごす・・・。
「今までありがとう!先生はとっても嬉しいです!中学校に行っても、頑張ってね!」
先生は泣きじゃくりながらそう言った。
隣で座ってるレイも少し泣きそうだ。
卒業式も終わり、俺らは校庭で話をしていた。
「ゾール、ついに私達卒業ね」
レイは感慨深げにそう言う。
「あぁ、あっという間だった」
俺も思ったことを口にする。
「フフ、低学年の時からずーっとゾールは凄かったよね・・・」
レイはクスリと笑いながら俺の方を向いてそう言ってくる。
「俺はレイの性格の変わりように少し驚いてるけどね、落ち着いたよな。」
「私も成長するの!」
・・・たまーに、昔のレイみたいな感じになるのも面白い。
「・・・レイ、俺達は中学校でも、高校でも、大人になってもずーっと友達だぜ!」
俺はレイの肩をポンと叩きそう言った。
「・・・友達、ね・・・」
レイは何故か少し暗い表情になってしまった。
「・・・レイ?」
「あっ、いや・・・そうね、ずっと友達!」
レイは慌てて直ぐに笑顔になってそう返した。
「・・・?」
何故一瞬暗い表情になったんだろう?
「レイ、大丈・・・」
大丈夫か?と言おうとした時に
「おにいちゃーん!」
ラシャが走ってきて飛びついてきた。
「うわぁっ!お、お前はいい加減飛びつくのをやめろ!」
俺はいつもそれでずっこけそうになるのだ。
「・・・レイさんと2人で何話してたの?」
ラシャは少し真剣な表情になって訪ねてきた。
「まさか・・・お付き合いとか!?」
「んな馬鹿な、ずっと友達でいようぜって話だよ。」
俺はホントのことを話した。すると
「・・・なーんだ!『友達』か!ならいいや!」
と、ラシャはまた笑顔に戻った。
「・・・!い、いつかは!いつか友達以上になるわ!」
レイは対抗してそうラシャに言ってきた。
「ふふーん、おにいちゃんにその気はないもん!ねー?」
ラシャはまた俺に話を振ってきた、けどそもそも俺には・・・
「ごめん、ちょっと言ってる意味がわかんない」
「「・・・」」
2人とも黙り込んでしまった。
「え?え?」
俺は困惑してうろたえる。
「おにいちゃん、どんかーん。」
ラシャはあきれかえっている。
「ゾール・・・ここまで鈍いなんて・・・」
レイも呆れたような仕草をしている。
「お、お前らなぁ・・・!」
「いこ?レイさん」
「そうね」
レイとラシャはなぜかそう言って何処かへ行ってしまった。
「おい!待てよ!お前らぁ!お前らホントは仲いいだろ!?おーーい!!!」
俺はその背中を必死に追いかけた。
────こうして、俺の異世界での小学校生活は終わったのである。
続
そういえば、最近卵かけご飯にハマりました。