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35 America

 というわけで、日曜日。

 朝から何故か叔母さんはそわそわしており、秋菜は昨夜から俺の部屋に泊まり込みだ。


 何をそんなに張り切っているのかと言えば、俺が進藤君と買い物に行くだけのことなのだが、家族は何だかデートをするような気でいるようだ。


 それで秋菜は昨夜から俺のスキンケアからメイク、ヘアセット、コーディネイトと、もの凄い世話の焼き様なのだ。


 叔母さんはまた軽率なことをしないようにと再三に渡ってくどくど繰り返した挙句、もしも万が一のときにはと避妊用のゴムを持たせる始末だ。


 まったくもって見当違いも甚だしいのだが、それだけ俺のことを大事に思ってくれているということなのだろう。だけど、一部始終を見ていた叔父さんのことを少しは考えてやっておくれよ。

 もうあたふたしちゃってかわいそうに。


 叔父さんは俺に交際相手ができてしまったのかと心配で心配でならないらしい。そうじゃないと何度も言うのだが、娘を他所の男に奪われるかのような心配のしようだ。


 祐太も朝から落ち着かない。こいつは叔父さんの雰囲気に飲まれてるだけだろうが。


「ちょっと、このスカートじゃ短いよ」


「絶対こっちがかわいいって。夏葉ちゃんに任せてたら平気でパンツルックでデートに出かけるでしょうが」


「デートじゃないもん」


「またそういうこと言って。買い物だなんてどう考えても進藤君がデートに誘う口実じゃん。妹のプレゼント選びに付き合ってなんて超ベタだよ」


「えぇ? そうかなぁ……」


「そうだよぉ。もぉ、夏葉ちゃんはそっち方面鈍いからなぁ〜。進藤君も大変だ」


 まぁ兎も角も、俺を送り出すのに大騒ぎの家族だったが、どうにか振り切って待ち合わせ場所へと向かった。


 待ち合わせは駅前のコーヒー店。

 進藤君は通りに面した窓際の席でコーヒーを飲んでいた。

 コーヒーを飲む姿が妙に様になっていて目立つので、すぐに見つけることができた。


 お店に入って進藤君に声を掛けると、これまた爽やかスマイルで返された。

 ひとまずコーヒーで落ち着いてから、目的の買い物に繰り出したのだった。


 とは言え、俺だって女子が喜ぶような贈り物なんて多分普通の女子ほどには分からない。

 そんな俺が進藤君の妹さんへのプレゼントの手伝いなんて(おこ)がましいくらいなんだが、女子としての数少ない経験と、何より男子と女子の両方を経験しているという強みが俺にはある。

 だから何とかなるんじゃないかと安易に思っていたんだけど、よくよく考えてみたら、進藤君の妹さんとは面識もなければどんな子なのかまったく知らないのであった。て言うか、進藤君のことすら何にも知らないじゃないか。それでよくもまぁ買い物を手伝えると思ったもんだな。

 天下の無責任男……じゃなかった、無責任女とは俺のことよ。トホホ。


「進藤君の妹さんって、進藤君に似てる?」


「え、う〜ん、そうだなぁ〜。似てはいないかもね」


「ふ〜ん、そうなんだ。妹さんって何歳?」


「中二だから十三かな。だから今度十四歳になるのか」


「あ〜、そうなんだ。じゃあ祐太と同級か。あ、祐太っていうのは秋菜の弟なんだけどね」


 歩きながら、俺は進藤君の妹さんについての情報をあれこれと訊いてみる。

 中学二年生か……。

 俺は何となく中二の頃の秋菜のことを思い出してみようとしたが、その頃はまだ学校も違っていたし、今みたいに毎日一緒に時間を過ごすというわけでもなかったので、結局はあまり思い出せなかった。

 うむ、あまり参考にならないな。


 進藤君と差し障りない会話をしながら付いて行くと、やがて小さな雑貨店に辿り着いた。


 『NAV KATZE(ナーヴ・カッツェ)』というこの雑貨店は、文房具から服からアクセサリーから、まぁ雑貨店というだけあって色んな物を扱っているのだが、そのすべてが何らかの形で猫に(まつ)わるもののようだ。


 店内はウッド調で統一されていて、照明は電球色の柔らかい光が使われており、落ち着いた空間を醸し出している。


 割と広い空間にいくつも照明器具が備えられているので、暗いという印象はなく、ちゃんと色を確認したいような商品にはスポットで昼白色の光が当たっており、配慮が行き届いている。

 それだけでいい店だなということが伺える。


「妹は猫好きなんだ。それで何か猫に関連したプレゼントがいいんじゃないかって思っていたんだけど、偶々この店を見つけてね。一度見てみたかったんだけどほら、こういう店に男一人で入るのって、ちょっと勇気がいるっていうか、正直入りにくくてさ。それで華名咲さんにお願いして付き合ってもらったのさ」


 なるほど、そういうことか。

 だったら俺の主なお役目は、この店に入るということで概ね果たされてたと言っていいのかもな。そんな風に思ったら随分と気が楽になる。


 何となく肩の荷が降りた気がして、割りと気ままに店内を見て回りながら、これかわいいとかあれがかわいいとか(はしゃ)いでいたのだが、進藤君はにこにこしながら様子を伺うだけで、一向にプレゼントを選ぶ様子がない。


 どうしたもんかと思っているところに、ふとあるネックレスが目に留まった。

 それは輪郭だけを縁取って中空の猫がペンダントトップにあしらわれたネックレスで、とてもかわいらしくて目を惹くものだった。


「うわぁ、これかわいいなぁ〜。……ねぇ、進藤君。妹さんにこのネックレスは、どうかな?」


「これ? う〜ん、かわいいけど。妹にって言うより、華名咲さん気に入ったんじゃない?」


「え、まぁそうだけど、お勧めするなら自分の気に入ったものがいいかなって思うから」


「そうか。一生懸命考えてくれてありがとうね」


 そう言って優しい笑顔を向けられる。爽やかイケメンスマイルだ。

 なるほど、このスマイルに女子が(こぞ)ってやられるわけか。

 秋菜がタイプじゃないって言ってたけど、俺もあんまりタイプじゃないからそんなにグッと来ないかな。


 ……あら……? また間違ったーーーっ。


 どうしてこうなんだよ、俺は最近……。

 進藤君がタイプだとかタイプじゃないとか、俺に関係ないはずなのに、もう俺って、秋菜が言う通り中身も女の子になっちゃってるのかなぁ……。


 こんな調子じゃやっぱ、自分のことを俺って呼んでる方が何だか違和感ある気さえしてくるよぉ。

 ダメだ。落ち着け、ちょっとここは一旦仕切りなおしが必要だな。


「進藤君、ごめん。ちょっとお手洗い」


 そう断って俺は一先ずトイレに逃げ込んだ。

 トイレで深呼吸すると臭い。だがごちゃごちゃした頭の中を整理するために敢えて俺は深呼吸する。

 うん、臭いな。

 この『うん』は別にうん◯のうんじゃないことも付け加えさせていただこうか。念の為だ。


 鏡の前で髪とメイクを直して気持ちを落ち着かせる。

 俺は男だ。……いや女か? ……うぅ、どう見てもやはり女か。

 しかし中身は……うぅ……客観的に考えて、今微妙なラインだなぁ……。


 もうそろそろ認識を改めて、俺の意識を変えなければならないのか?

 俺としては意識の大幅下方修正だな。認めたくないけど認めざるをえない。


 て言うか、俺っていうのもホント何だか流石に似合わない気がしてきた。だからって今更わたしって急に心の中まで切り替えられるか?


 今一度じっくり自分と向き合う必要を感じるな。

 でも少なくとも進藤君と惚れた腫れたみたいな話は無しだろう。

 流石にそれはあり得ん。


 考えを整理して店に戻ると、進藤君はレジで会計を済ませているところだった。

 何だ、もうプレゼント決めちゃったのかな。何にしたんだろうか、見たかったのに。あの猫のペンダントにしたのかなぁ。


「ごめんね、お待たせ〜」


「ううん。大丈夫」


「プレゼント決まったの?」


「うん。華名咲さんが勧めてくれたペンダントにしたよ」


「あ、そうだったんだね。よかった」


 と言ってはみたが、俺がトイレ行ってる間にさっさと会計済ませちゃって、何だかちょっと寂しいな。


「ありがとう。きっと妹も喜んでくれるよ」


「そうだったらわたしも嬉しいよ」


 妹さんに喜んでもらえたらいいなぁ。気に入ってくれるかなぁ。


「あぁ。華名咲さん、まだ時間ある?」


「うん、大丈夫だよ」


「よかった。じゃあお昼ごはんご馳走させてよ」


「わぁ〜、ありがとう。何をご馳走してくれるのかな」


 おぉ、飯だ。飯でテンション上げよう。


「何か食べたいものある?」


 そうだな~、そう訊かれると返答に困る。

 俺って好き嫌いないから何でも食べられるし。

 だけどさ、こういう時って、相手の予算も気になるし、遠慮し過ぎて安いものでも相手に失礼な場合があるし、高過ぎてもやっぱり相手に悪い。

 だから何かリクエストしにくいんだよね。


「う〜ん、何でも? わたし好き嫌いないし」


「そう。だったらさ、凄くお腹空いてるんだけど、ハンバーグでもいい?」


 ちょっと恥ずかしそうにはにかんで進藤君が言う。

 おぉ、ハンバーグか。外れもそう無いしいいんじゃないかな。


「うん、勿論。ハンバーグ好き」


「よかった。一駅向こうなんだけど、家族でよく利用するハンバーグ店があるんだ。そこでいいかな」


「オッケー。じゃ、そこ行こう。楽しみだな〜、ハンバーグ」


「あはは、ハンバーグぐらいでそんなに喜んでもらえてよかった」


「え〜、ハンバーグご馳走じゃん? ハンバーグ嫌いな子なんて聞いたこと無いよ、わたし」


「そっか。よし、じゃあ行こうか」


 最近家でもハンバーグ食べてなかったからな。ちょっとテンション上がる。


 進藤君が連れて来てくれたお店の入口の上には、大きな木の看板に『亜米利加』と漢字で書いて掲げられている。


 入口から受ける印象では、何だかカウボーイでも出てきそうなくらいアメリカかぶれな雰囲気が伝わってくる店構えだが、いざ店内に入ってみると、なかなか上品な雰囲気で、清潔感のある白い壁で明るい店内には、観葉植物も飾ってあって思ったより爽やかだ。


 店員さんに席へと案内されて、メニューを渡される。

 レディースサラダセットというのがあって、それは小さめのサイズのハンバーグに、サラダバーとドリンクバーが付いたセットだった。


 俺はそれを注文して、進藤君は亜米利加セットという何かでかいハンバーグにサラダバーとドリンクバーが付いたセットを注文したようだ。


 ハンバーグはとてもジューシーでふわふわで、なるほど進藤君がお勧めするだけのことはある。


 お互いのクラスのことなんかを話しながら食事を進めているが、正直進藤君のクラスのことは秋菜からいつも話を聞いているので大体の様子は知っているつもりだ。実際、進藤君の話もほとんど秋菜から聞いている話ばかりだった。


 それより進藤君は俺のことを物凄く見つめてくるので、ちょっと気まずい感じがして、俺は終始目を逸らしている。


 進藤君は秋菜が言ってたようにデートのつもりなんだろうか。

 そもそも男と付き合うなんて俺には全然考えられないんだけどさ。

 かと言って、今じゃ女の子の裸見てもちっとも男だった時みたいには興奮しないんだもんなぁ。

 俺、結局はどっちなんだろうな。このままじゃ俺、恋愛なんていつまで経ったってできやしないよ。


 話が途絶えてはサラダバーかドリンクバーへというのを何度か繰り返すが、そろそろお腹がいっぱいだ。

 俺はコーヒーを飲みながら、何となく手持ち無沙汰だし、進藤君の視線にちょっと耐え難いものを感じ始めて、店にいるのが些か苦痛となっていた。

 そろそろ勘弁していただきたい。


「実はうちの両親は再婚でね。本当の母は、僕が小学生の頃に病気で亡くなっているんだ。中学の時に父が再婚して、妹は再婚相手の……つまり義理の母の連れ子なんだよ。仲が悪いことはないんだけど、妹も難しい年頃だし、ちょっと微妙なところもあってね。プレゼントもご機嫌取りなのさ」


 そうだったんだ。色々大変なんだね、進藤君も。

 だけどもまた随分唐突に打ち明け話が始まったもんだね。


「プレゼント、気に入ってくれたらいいね」


 心から思って俺はそう言った。


「華名咲さんは、付き合ってる人とかいるの?」


 はぁ? このタイミングでそれかよ。(ことごと)く何かタイミングが合わない気がするんだけど。


 ご両親の再婚のこととか妹さんとのこととか聞いた後で、まさかそう来るとは思ってないタイミングで一瞬警戒が緩んでいたから不意を突かれたな。


「いないよ」


 俺はなるべく平坦に、そういうことには興味が無いという雰囲気が伝わるように抑揚なく答えた。


「そうなんだ。じゃぁ立候補しちゃおうかなぁ〜、なんてね」


 いとも軽い調子でそう言って進藤君はくすりと笑う。

 何だと。やっぱりそういうことだったの? 妹出しに使ったのかよ?


 いやそれは、と俺が否定しようとしたら

「そろそろ出ようか」

と立ち上がる進藤君。やはり何かタイミング外されるな。


「……ご馳走様でした」


「いいんだ。こっちこそ、買い物に付き合ってもらって助かったよ」


 その後俺たちは駅まで暫く無言で歩いた。


「あ、そうだった」


 と、何か思い出して不意に立ち止まる進藤君。

 どうしたいきなり。びっくりするじゃん。


「……これ、今日のお礼」


 そう言って進藤君が紙包みを出してみせる。

  Nav Katze(ナーヴ・カッツェ)の紙袋だ。

 紙袋の中身を取り出して俺に見せたそれはネックレスだった。


 と言っても俺が選んだものとは別の猫のペンダントトップのものだ。

 進藤君がチェーンの両端を持って広げたので、俺に付けてくれようとしているのだろうが、咄嗟に手を差し出してネックレスを受け取った。


「あ、かわいい〜。いいのこれ? いただいて」


「あ、うん、どうぞ。よかったら」


 やっぱり今、俺の首に掛けようとしてたよな。何かこういうグイグイ距離を詰めてくる感じ、ちょっと苦手だなぁ。

 進藤君は少し気不味そうに目を泳がせている。


「華名咲さん……あの……よかったらまた、こんな風に会ってくれるかな」


 近い近い。距離近いって。

 何だか追い詰められて、ビルの壁に背中が付きそうだよ。

 このシチュエーション……。やるなよ……やるなよ……絶対やるなよ。


 ドン。


 やったー。マジでやりやがった。俺は全然前フリとかしてないからな。

 だから近いって。いきなり距離詰めて来すぎ。怖いから。まじ怖いから。


「どうかな?」


「む、む、無理無理。ごめん、無理」


 って、思わず心の声がそのまんまオブラートに包まれることもなく口をついて出てしまった。この距離感が無理って意味だったんだけど、まあいいや。

 どの道進藤君とはやっぱり何だか合わない気がする。


 まさかこんなリアクションを取られると予想していなかったのか、進藤君は茫然自失だ。イケメンはあんまりこんなこと言われたことないだろうしな。

 ちょっとはっきり言い過ぎたかな。ごめん。でも本音。


 やっと少し距離を置いてくれて、こっちも落ち着くことができる。心臓に悪い。でもこの動悸は恐怖と緊張感から来る動悸だ。


「家まで送らせてもらっても良いかな?」


 少し躊躇(ためら)いがちに進藤君が申し出てきたが、さっきあんな言い方して断っちゃった手前、これ以上一緒にいるのも気不味い。

 この前はダンボール運んでもらったし、親切には感謝しているけど、それはそれ。


「うん、ありがとう。でもわたしこの後ちょっと用事あるんだ。だから送ってもらわなくて大丈夫」


「そう。……うん、じゃあ。今日はありがとうね。また学校で」


「うん、学校で。バイバイ」


 腰の横辺りで小さく手を振りながら、ちょっとぎこちなくお別れの挨拶をした。何となく後味のほろ苦い挨拶だったが、進藤君大丈夫だろうか。

 まぁクラスが違うし、フォローは秋菜に任せてしまえ。


 はぁ〜〜〜。

 どっと疲れが出て、脱力して大きく息を吐く俺。

 何かちょっと怖かったな。あんな風にグイグイ距離詰められて。

 人にはパーソナルスペースってもんがある。あんな風に距離感の近い人って苦手かも。


 ふと顔を上げれば、視界の端に見覚えのあるバイクが目に入る。

 しっかり視界に収めてみれば、ヘルメットを脱いでバイクの横に立っている十一夜君じゃないか。こちらに右手を軽く上げて、「よぉっ」とでも言った感じか。


 何でこんなところにいるんだ?

 取り敢えず十一夜君に近づくと、やっぱり「よぉっ」と言われた。


「何でこんなところに?」


 考えてみたら、十一夜君だって別に街に出ることぐらいあるだろうに、何か失礼なこと言ってるなと思いつつ、疑問が口をついて出てしまったのだ。


「偶々通りかかってね」


 そう言って十一夜君は自分のスマホの画面を俺に見せてきてニヤリと笑う。


「あ……」


 そうか、俺緊張感から無意識にキーホルダー握ってしまっていたかもしれない。


「ごめん、十一夜君。事件に巻き込まれたんじゃないんだ。うっかり握っちゃってたみたい。ごめんなさい」


「おぉ、知ってる」


 そうだ。この人キーホルダーに内蔵されたマイクで音を聞くことができるんだった。ということは進藤君と一緒にいたこと、十一夜君にはバレちゃったのか。ちょっと気不味いな。

 あれ、でも状況分かっててわざわざ来てくれたの?


「送るよ。乗って」


 ヘルメットを渡され、この前みたいにバイクに乗るよう促される。


「あと、凄く喉渇いたからお茶に付き合ってもらっていい? 話しておきたいこともあるんだよ」


 ふふふ。喉渇いたって、この前と同じこと言ってる。

 話しておきたいことって何だろう。新しい情報が入ったのかな。


「勿論、いいよ」


 この前と同じく、バイクのタンデムシートに跨がり、ヘルメットを被った。

 ヘルメットのサンバイザーを上げると十一夜君の匂いがする。ちょっと赤ちゃんみたいないい匂いだ。


 進藤君と違って、この距離感の近さが安心する。

 そうして漸くもう大丈夫だという気持ちになれた。


 ここにいれば安心できる。そう思うと何だか嬉しくて、十一夜君にギュッとしがみつくと、静かにバイクは走りだした。

Subtitle from Simon & Garfunkel - America (1968)

Written by Paul Simon

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