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玄関のバッタもどき

作者: 塩宮克己

日常のちょっとしたことを書いてみました。

いかがでしょうか?

ある朝、出勤しようとすると玄関の格子の隙間に何かいる事に気が付いた。

虫だった。体長は数センチ色は草の色、バッタかなにかだろうか。

特に気にすることも無く、そのまま出勤した。


その翌日、朝ふと玄関の格子の隙間に目をやると昨日の虫がまだそこにいた。

おそらく昨日の虫だろう。まだいるとは物好きな事だ。

特に気にすることも無く、そのまま出勤した。


また翌日、出勤時に玄関の格子に目をやると例の虫がいた。

いい加減、ただ「虫」と呼ぶのはやめようか。

「バッタもどき」と名付けて出勤した。


また翌日、出勤時に玄関に目をやるといつもの位置にバッタもどきはいなかった。

どういう訳か引き戸ではなく格子の隙間に移動していた。

移動の理由を多少気にしつつ、そのまま出勤した。


翌日は休日だった。朝玄関の欄間に目をやるとやはりバッタもどきがいた。

よく見ればこの場所は陽もあたるし外敵も近寄ってこない。

なかなか頭の良い奴だなと感心しながら休日を過ごした。


翌日も休日だった。朝玄関の欄間には例によってバッタもどきがいる。

毎日多少日向ぼっこの位置が変わるため、餌を取りに行ったりはしているようだ。

無事な様子に多少の安堵感を覚えつつ休日を過ごした。


その翌日、朝出勤時に玄関にバッタもどきの姿はなかった。

空が曇っているから日に当たるのは遠慮したのか?

多少気にはなりつつも出勤した。


その翌日、またしても朝玄関にバッタもどきはいなかった。

まさか寒さにやられたりはしていないだろうな?

心配する心はあったがそのまま出勤した。


また翌日、朝玄関の引き戸にも欄間にもバッタもどきはいなかった。

よもや食べられたりしてはいないだろうか?

回答は得られないまま出勤した。


その翌日、朝玄関の欄間にバッタもどきがいた。

まったく今までどこにいたのか、心配させて。

安堵の息を吐きつつ出勤した。


また翌日、朝玄関の欄間にバッタもどきは戻って来たままだった。

「戻って来る」という言葉を自然に使っていた。

そのことに軽く驚きつつ出勤した。


そして翌日の休日朝玄関の欄間にバッタもどきは顔を見せている。

どこかに行くときは挨拶してくれると良いのだが。

そんな事を考えつつ、今日もバッタもどきはここにいる。

ご意見、ご感想をお待ちしております。

誤字脱字等ご指摘いただければ幸いです。

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