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第三話『七帝族と決断』

「泥棒ーーーーッ!!!」


何故か…俺は泥棒扱いをされてしまった。


「は…?」


思いもよらぬ言葉に思考が追い付かない。


「なんでアンタがそれを持ってるのよ!」


「いや、なんでと言われても…」


「いいから、答えなさいよ!」


雅の剣幕に尋常ならないものを感じ…


「わかったよ。話すからそんなに怒鳴るなよ。キメラに見つからないとも限らないんだぞ?」


一応、現状の確認だけさせてから話すことにした。


「~っ…わかってるわよ!」


本当にわかってるんだろうか?


ともかく、俺は地割れの中に落ちてからの出来事を雅に話した。

確か、白雪家は七帝族の一つ。

その出身と思われる雅なら何か知ってるかもしれない。

だから変に包み隠さず、洗い浚い話してしまった。


「…ってことなんだが…」


落ちてから雅を助けるまでの話をした後…


「……………」


なんか雅の表情がさっきよりも険しくなっていた。

何故に?


「あの…なに、か…問題…で、も?」


沈黙に耐えかねて俺からギクシャクとしながらも尋ねてしまった。


「大問題よ。まさか、選定の儀が勝手に行われてたなんて…しかも偶然手にしたような…」


偶然ってのは俺も同意だが…。

彼女の言う"選定の儀"とはなんぞや?

俺は単に変なみたいな出来事くらいにしか思ってないんだが…。

まぁ、絶氷牙は現にこの手にあるわけだから、現実なんだろうな…。


「はぁ…とにかく、皆に相談しないと…」


なんだか物凄く疲れたような溜息を吐かれてしまったぞ…。


「ボソッ(まぁ…理由はともあれ助けてくれたのは感謝してるけど…)」


「え?」


何か言ったように聞こえたが、少し距離があったので聞き取りにくかったのでもう一度言ってみてくれ的なニュアンスで聞き返した。


「っ! なんでもない!!////」


しかし、雅は顔を赤くしてシーツを被ってしまった。

女友達も何人かいるが、良くわからん事が多いんだよな…。

……って、ちょい待て。


「そんなことしてる場合じゃないだろ。さっさとここから逃げよう。その様子だとだいぶ気分も良くなったんだろ?」


俺は雅にそう提案した。


「そうね。いつまたキメラが来てもおかしくないわけだし…」


雅もそのことはしっかりと認識しているようだった。


「そうだろ? しかし、逃げる当てがな…」


それだけが問題だった。

流石に男女二人が一緒ってのも…まるで駆け落ちみたいじゃねぇか…。

いや、みたいじゃなくてマジで駆け落ちになるのか?


そんなバカみたいことを考えていると…


「当てならあるわよ」


雅がそんなことを言い出した。


「え? あるのか?」


「えぇ、家に行けばいいわ。きっと今頃は何か対抗策でも講じてるかもしれないし…」


それを聞いて嫌な予感しかしなかった。


「お前の家…白雪家か」


「あら? なんであたしのことを……あ~、同じ学園なのね」


俺の制服姿を見て今更気づいたみたいな反応をする。


「まぁな。噂と現実の差ってのを感じてるよ。それともネコでも被ってたか?」


「うっさいわね。お嬢様とか言われるのは色々と面倒なのよ」


否定はしないのか…。

ま、いちいち言い触らすことでもないし、心の中に仕舞っておくか。


「それで、アンタの名前は?」


「え?」


「名前よ。いつまでも"アンタ"じゃ嫌でしょ? それにあたしだけ名前を知られてんのもなんか嫌じゃない」


「それもそうだな。俺は伊達 翼だ。呼ぶなら下の名前でもいいぞ」


雅の言葉に一理あると思った俺はそう答えた。


「翼……あぁ、あのバスケ部の…」


「知ってるのか?」


「アンタだって有名じゃない。普段は大人しそうなのに試合になると性格が変わるって有名なバスケ部の得点王さん」


「俺、そんな風に言われてんのか?」


「えぇ、バスケ部の名物って聞いてるわよ?」


知らなかった…。

俺ってそんな風に見られてたのか…。

しかもパンドラ内での二つ名といい…誰が付けてんだか…。


俺がひとしきり悩んでいると…


「そうね。翼って呼ぶから、あたしのことも雅でいいわよ」


「わかったよ、雅」


互いに名前で呼び合うようになったため、俺はさっき見つけたミネラルウォーターを雅に投げ渡し、俺達はしばしの休憩を取ることにした。




休憩後、俺と雅はホテルから雅の家(白雪家)に向けて移動を開始する、はずだったのだが…。


「何処に向かってんだよ? そっちは学園だろ?」


何故か、七星町の中心地である黒鋼学園へと向かうと言う雅。


「いいのよ。黙ってあたしについてきなさい」


自信満々にそう言っているが、どういうことなのか俺にはサッパリだった。


………

……


俺達の学び舎こと黒鋼学園に着いたものの…。

正直、これが阿鼻叫喚の地獄絵図なのかと思えるくらいの惨状だった。

校舎はどれもほぼ半壊、校庭も大小様々なクレーターが出来ており、さらにそこかしこに血痕が付着してる始末。

クレーターの中には血の溜まった場所や授業をしていただろう生徒達の肉片、もしくは骨が乱雑に捨てられていた。

ハッキリ言って吐きそうだ…。

しかし、不思議なことにキメラの姿はなかった。

何故だ?


俺が顔を顰めて不思議がっていても雅は平然…とは言い難いが、悲痛な表情をして進んでいくのがチラリと見えた。

そのままお互いに黙って進んでいると…


「ここよ」


「ここって…特別教室のある校舎だろ?」


雅が連れてきたのは北側にある特別教室のみを集めた校舎棟であった。

初等部や中等部、高等部の校舎の例に漏れず、ここもほぼ半壊してる状態だ。


「なんだってこんな半壊してるような場所に…」


「いいからついてきて」


雅が瓦礫を避けながら進もうとするが…


「待て待て」


雅の肩を掴んで待ったをかける。


「なによ?」


雅が顔だけ振り返って睨んでくるが構わない。


「別に今更女がどうとは言わないが、こういう危ないとこは俺が先に行くから後ろから指示を出してくれよ。もしくはせめて瓦礫を何とかさせてくれ」


俺がそう提案したものの…


「時間が無いのよ。このくらいで出来たかすり傷なんて怪我の内に入んないわよ」


一蹴と却下を同時にされてしまった。


「お前って意外とタフなんだな」


半ば呆れてしまったため、そう言ってしまった。


「緊急事態なんだから仕方ないでしょうが…「よっと」…って、何してんのよ!?」


雅の言葉の途中で俺は雅を最初と同じようにお姫様抱っこで抱えることにした。


「耳元で騒ぐな。時間が無いんだろ? なら、こうして運んだ方が俺も変な気を遣わなくて済むし、お前の安全も確実に守れる」


ま、両手使えないから絶氷牙が抜けないが…。


「バカなの?! こんな恥ずかしい格好、誰かに見られたらどうすんのよ!?////」


「別に誰もいないだろ」


バコッ!!


雅の抗議を無視して俺は壊れかけのドアを蹴破って中へと後ろ向きになって入る。


「やっぱ、瓦礫の山だな…それに薬品臭いな…」


鼻につく嫌な臭いに顔を顰めるが、特にこれと言った変化もない。


「で、何処に行けばいいんだよ?」


「…人の話を聞きなさいよ!!////」


顔を赤くしながらまだ抗議を続けてたらしい。


しかし、何をそんなに必死になってんだ?


俺がそんな疑問を頭に浮かべていると…


「誰だ!!」


瓦礫の山の方から誰かの声が聞こえてきた!?


「この声は…!?////」


その声に反応したのは俺よりも雅の方が先だった。

どうも雅に縁のある人物のようだ。

この状況でこんな場所にいるとなると…七帝族か?

あの有名な七姫って可能性もあるか…。


「あん? その声は雅かい?」


ガチャ…ガサッ…


どうも、俺達とは反対側にいたらしいが…今の雅の声を耳聡く聞いたらしく、瓦礫の山を登る音が聞こえてくる。


「遅かったけど、何かあったの…」


瓦礫の山の上から顔を覗かせ、こちらを見てきたのは…


「き、稀羽姉さん…/////」


黒鋼の七姫の一角・姉御姫こと『大神 稀羽』だった。


「「………………」」


「…………/////」


沈黙がその場を支配し、何とも言えぬ緊張感を伴った空気が流れる…。


「っ!」


しかし、目聡く俺の帯刀してた絶氷牙を見つけると、目を細めて殺気染みたものを放ってきた…!?

ここは目を覚ました雅と同じような反応だった。


「テメェ、何者だ? それにその刀…何処で手に入れやがった?」


そう言うや否や、大神先輩(3年生だから)は瓦礫の山から一気に駆け出してきた?!


「ちょ、待っ…」


俺が待ったを掛けようとしたが…


「問答無用!!」


即座に却下された?!


ええええっ!?

聞く耳持たずかよ!!?


俺は反射的に雅を庇うようにして身を屈めてから…


「ちょっ!? ち、近い、近いから!!?////」


「少し黙ってろ!」


雅の抗議を無視して俺は雅の足を抱えていた腕を抜くと、バッグを先輩に向けて投げ付けた!


「しゃらくせぇ!!」


およそ女子が使うとは思えない言葉を発し、大神先輩はバッグを殴り飛ばす!?


「ちっ!」


その間に俺は鞘ごと絶氷牙を抜くと…


「オラァ!!」


絶氷牙の鞘で大神先輩の拳を受け止める…!

自然と全身に力が入り、雅を抱く力も増す。


「~~~っ!!?////」


もはや言葉にもならない悲鳴が耳元で聞こえるが…今は大神先輩に話を聞いてもらわないと…!


「ちっ、その刀と雅を放せ! そしたら話を聞いてやらんでもない!!」


「いきなり殴ろうとしてきた相手を早々に信じられるか!」


「男が細かいこと気にしてんじゃねぇ!」


「細かくないだろ! こちとらキメラから逃げてきたんだぞ!」


「その刀があるなら戦え! 男だろ!!」


「どういう理屈だ!?」


大神先輩の速い拳を何とか鞘で受け止めながら会話してるが、全然話が前に進まない気がする…。

いや、実際に進んでないな…。

てか、痛くないのか?


俺がそんな疑問を抱いていると…


「き、稀羽姉さん、違うの! この人は…!!////」


俺の腕の中にいた雅が大神先輩に対して…


「絶氷牙が選んだ人なんです!////」


そう言った。


「はぁ? 刀がこいつを…?」


それを聞き、大神先輩の力が緩むのがわかった。


何故、刀…絶氷牙が俺を選んだって理由だけで攻撃の手を緩めるのか…?

なんだか七帝族って…ただのお偉い一族ってだけじゃない気がしてきた…。


俺がそんなことを考えていると…


「ちっ…今は緊急事態だからな。あとでキッチリ説明してもらうぞ?」


大神先輩は舌打ちすると踵を返して瓦礫の山の方へと歩いていく。


「行くよ、雅。あと、ついでにテメェもついて来い。拒否すんならキメラの餌になっちまいな」


酷い言われようだが、俺に選択肢は無いからな。


「よいしょっと…」


「って、いい加減に降ろしなさいよ!!////」


俺は絶氷牙を再び帯刀すると、雅を抱えて大神先輩を追った。

当然、雅が降ろせ降ろせと煩かったが…気にしないことにした…。


あ、バッグ……まぁいいか。

あとで取りに戻れば…。




結局、雅は俺に運ばれた状態で大神先輩の後について行くと…


「着いたよ」


「理事長室?」


「さっさと入りな」


ガチャ


大神先輩はそう言って理事長室の扉を開けると、俺に入るように促す。


「失礼します」


職員室や学園長室に入るような対応でいいのか迷ったが、似たようなものだと思って理事長室に入る。


流石に理事長室だけあって高級そうな調度品…が並んでいたんだろうが、キメラ襲撃の影響なのか、窓ガラスは割れ、調度品の品々も床に乱雑に落ちてカーペットに傷がついていた。

それでも半壊した校舎の中でも原型を残してるようにも見えることから、それほど壊れていない方だと思った。

まぁ、他の特別教室を見てないから何とも言えないんだが…。


「中央で少し待ってな」


そう言うと大神先輩は厳かなデスクの方に歩いていく。

俺は言われた通り理事長質の中央にある接客用の机に移動すると…


「もういいか。ほら、立てるよな?」


雅をゆっくりとソファに降ろした。


「…………/////」


降ろされた後、雅は無言で俺を涙目で睨んできた。

まぁ、当然かもしれないが…。


「悪かったって…だから無言で睨むのはやめてくれ」


とりあえず、雅を宥めようとしたのだが…


「ふんっ!////」


機嫌悪げにそっぽを向かれてしまい、取りつく島もなかった…。

仕方なく大神先輩の方を見てみると…


「こちら、稀羽。雅が来たよ。オマケ付きで…」


『オマケ? それってどういうことですの?』


「知るかよ。今から連行っすから本人から聞け」


『ちょっ、あなた。そのオマケとやらを連れてきたの? バカなの?』


「うっせぇ! 今から"降りる"から爺共も呼んどけよ」


『ちょっと稀羽さ…!』


ブチッ…


デスク内に隠してあったらしいパネルを操作して誰かと通信をしてるようであった。

しかもなんか言い合いしてて大神先輩から通信したにも関わらず。有無を言わせず切っていた。

しかし、何かどっかで聞き慣れたような声だった気が…。


通信を終えた大神先輩が戻ってくると…


「雅。本当にいいんだな?」


「……えぇ、責任はあたしが取ります。彼は命の恩人でもありますから、知る権利があると主張します」


「あっそ。あたしはどうなっても知らないからね?」


「構いません」


2人して何の会話をしてるのかサッパリだが…少なくとも俺に関係してるのは間違いなさそうだった。


「んじゃ、"降りる"よ」


大神先輩はそう言うと雅とは反対側のソファに座る。

それを見て慌てて俺も雅の隣に座った。

絶氷牙は座るのに邪魔だったから手に持ち直した。


「認証コード。"七つに分れし覇王神の御魂"」


『認証コード確認。大神 稀羽様、白雪 雅様…及びアンノウンを検知。アンノウンと共に絶氷牙の反応を確認しました。アンノウンの入場を許可します』


俺、アンノウン扱い?!

しかも刀があるから一緒に入れます的なニュアンスじゃね!?


『なお、アンノウンには後程、検査及び尋問を受けてもらいますが、よろしいでしょうか?』


「いいからさっさと降ろせ!」


『了解しました』


………なんか、今更だけど色々とヤバいことに首を突っ込んでしまった気が…。


ガコンッ!


するとエレベーターに乗った時に感じる一瞬の浮遊感と共に、ソファが下降し始めた!?


ど、どうなってんだ!?


………

……


しばらく周囲の光景がトンネルみたいな鉄の壁が続き…


ガコンッ…!


そして、再び重たい音がするとこれまた鋼鉄製っぽい扉のある空間に着いた。


なんだ、この昔の特撮を彷彿とさせるギミックは…?


俺がそんなことを考えていると…


「行くぞ」


大神先輩が立つと扉の横にあるパネルに手を当てる。


『指紋認証、大神 稀羽様を確認。扉、開きます』


ガシャン…ウィーン…


そんな音声と共に扉が開いた。


ホントに特撮みたいになってきたな…。


「さ、行くわよ」


呆然としてる俺の手を雅が引っ張り、扉の中へと進む。


そして、そこで待っていたのは…


「あら、ほんとにオマケ付きですのね」


「雅、なんで部外者を引き連れてんの?」


「あれは絶氷牙!? まさか、本当だったとは…」


「……………」


「あわわ…」


そこには5人の少女の姿があった。


おいおい…マジかよ…?

黒鋼の七姫が勢揃いじゃねぇか!?


俺が驚いてる間に彼女達は会話を続ける。


「こんなことでいちいち嘘の報告なんてしねぇっての」


黒鋼学園高等部3年生、大神 稀羽。

喧嘩や遅刻は平然とする問題児だが、その理由はイジメを許さない正義感からであるらしい。

通称『姉御姫』。


「けど、あなたのことだからてっきりオマケさんを潰して刀を回収すると思いましたのに…」


同じく高等部3年生、竜胆(りんどう) 詩音(しおん)

学園の生徒会長を務めているが、その性格は女王様そのものらしい。

通称『女帝姫』。


「絶氷牙が…7本ある刀の内の1本が…我々の手から、離れたのですか?」


高等部1年生、紅蓮(くれはす) (ほむら)

剣道部所属の風紀委員で努力家な後輩であり、その実力は全国レベルらしい。

通称『騎士姫』。


「………………」


同じく高等部1年生、祖ヶ原(そがはら) 紅音(あかね)

コンピュータ研究部の幽霊部員だが、電子機器の操作に関しては高い能力があるらしい。

通称『電脳姫』。


「え、えっと…」


中等部3年生、帝崎(みかどざき) 深弥美(みやみ)

おどおどした感じとは裏腹に機械を前にすると饒舌でハキハキした感じになるらしい。

通称『技巧姫』。


「それで、雅の言い分は? 絶氷牙の管理は白雪家の担当でしょ? それが見ず知らずの男の手元にあるとか…私達に対する裏切り行為じゃないの?」


高等部2年生、鬼島(きじま) 星羅(せいら)

次期生徒会長候補筆頭だが、その口の悪さは会う人にかなりのダメージを与えるらしい。

通称『智将姫』。


「裏切りじゃないわよ! 絶氷牙が彼を選んだのよ! 牙の意志なんだから仕方ないじゃない!」


そして、高等部2年生、白雪 雅。

誰もが認める優等生で清楚な…ネコを被ったお転婆娘な気がする…。

通称『白雪姫』。


この7人を纏めて『黒鋼の七姫』と呼称する。

その理由はそれぞれに特筆した能力があることと、七帝族に連なる娘でもあるからだそうだ。

まぁ、何人かは普通に優等生なんだが…。

つか、なんか凄くレアな光景を見てる気分だ。

あと、絶氷牙の意志?


「もしかして、あの白雪ってのが意志だったのか?」


俺が思わずそう口にすると…


「対話まで果たしてる…もう間違いない」


今まで黙っていた祖ヶ原がそう呟いた。


「見所はありそうだしなぁ」


さらに背後から年輩らしい声まで聞こえてきた!?


「っ!?」


驚いて振り返ると、そこには俺よりも頭一つ分くらい背が高く、ガタイもかなり良い顎下から長い髭を生やした老人が腕を組んで立っていた!?


「外の化物共をあらかた屠ってきたというに…今度はなんだ?」


「ほほぉ、それは絶氷牙。この若造、刀の意志に認められたのか」


さらに2人の老人(どっちも俺より背が高くて筋肉が盛り上がっている豪傑みたいな人達)が現れた!?


この爺さん達、どっから湧いてきた!?


「ふむ…儂らが何者かわかっていないようじゃの?」


「あ~? 俺らにビビッて動けないだけじゃねぇのか?」


「どちらにせよ、まだまだ未熟者のひよっこだな」


なんで人の考えが読めるんだよ!?

つか、何がなんだかわからないのに人の心配まで出来るか!!


俺はもう混乱で頭が痛くなってきた…。


「おい、爺。こいつがこんがらがってんだろ。最初から話してやれ」


「お爺様もですよ。こんな頭の弱そうな殿方には最初からでないとわかりませんわよ? ここに来てしまった以上はもう簡単に帰す訳にもいきませんし…」


「師匠。外はもうよろしいのですか?」


大神先輩、祖ヶ原生徒会長、紅蓮さんの順に爺さん達に声を掛けていた。


「ちょっと! 翼はあたしの恩人なんだからあまり変なこと言わないでよ!」


そんな中、雅だけはそう言ってくれた…。


「翼? なかなか良い名前じゃの」


そして、プラチナっぽい色の髪と金色の瞳を持った筋肉隆々な爺さんが目の前までやってきて俺の顔を覗き込む。


爺に見詰められる趣味なんぞ誰にだって無いと思う。


「ふむ…若造よ。何かスポーツはしておるかの?」


「え? まぁ、一応はバスケ部だけど…それがなんだよ?」


「ふむふむ…基礎体力はありそうじゃの」


それを聞いて何かに納得するように何度も頷く。


「あ~あ、ありゃ完全に目を付けられたな」


「絶氷牙を手にした若者だ。時満(ときみつ)も思うところがあるのだろう」


残りの爺さん達が何か話しているが…なんだってんだ?


「若造、お前の名は?」


「伊達…翼」


「ふむ…では、翼よ。絶氷牙がお主を認めたのなら我々…七帝族について知ってもらう必要があるの」


俺の名前を聞いた途端、そんなことを言い出してきた!?


「ちょっと待てよ! まだキメラが地上にうようよいるかもしんねぇんのに、そんな悠長な!」


今もかなり悠長だとは思うが…!!


「安心せい。そのキメラとやらなら儂らが屠ってきたわい」


「はぁ?! 何言ってんだよ!? あんな化物をアンタらみたいな老人に……(ゾクッ)…!!?」


俺が最後まで言い終わる前に言葉が続かなかった…。

何故なら…


「あんな異界の使者なんぞおそるるに足らんわい」


「なかなか頑丈だったが、心臓潰せば終わったぜ?」


「我が剣技に曇りなし。あのような化物、たたっ斬ってくれたわ」


一瞬で爺さん達の目の色が変わり、俺は凄まじい悪寒から脂汗を掻いて身動きが取れなくなった…。


「俺達の殺気喰らって気絶しないとか…蒼夜以来だな」


「ふむ…肝は据わっているようだな。身動きは出来なさそうだが…」


「ほっほっほ、良きかな良きかな。そうでなくてはのぉ」


俺の様子を見て元の雰囲気に戻っていった…。


な、なんなんだよ…。


「さて、話はここよりも別室で話すとするかの。白雪の、お前も一緒で構わんぞ」


「は、はい! 失礼させていただきます」


そう言って爺さんの一人が俺に背を向けて歩き出すと…


「ほら、行くわよ」


雅が俺の元にやってきて手を引っ張ってくれた。


七帝族…。

なんかマジでヤバいもんに首を突っ込んじまった気分だ…。


………

……


そうして地下の一室に案内されると雅が三人分のお茶を用意してくれた。


「すまんの」


「あ、ありがと」


俺は受け取ったお茶を口にすると、少しだけ気分が落ち着いた気になる。


「少しは落ち着いたかの?」


俺がお茶を飲む姿を見て爺さんは尋ねてきた。


「まぁ…少しは」


俺はそう答える。


「そうか」


爺さんもお茶を一口飲むと…


「儂の名は竜胆(りんどう) 時満(ときみつ)。竜胆家当主にして七帝族の長のようなもんをしてる。よろしくの」


そう言ってきた!?


「ぶふっ?!」


それを聞いて俺はあまりの驚きに(むせ)てしまった。


「ちょっ、大丈夫!?」


そんな俺に雅が付き添って背中を撫でてくれた。


「そんなに驚くことかの?」


そんな俺の様子を見て爺さん…時満の爺さんは不思議そうに首を傾げた。


「げほっ…ごっほ! あ、当たり前だ…いきなり七帝族の長とか…どんだけ偉いんだよ…」


咽ながらも俺は当然の言葉を発した。


「まぁ、外から見たらそうかものぉ」


顎に手をやり、感慨深げにそう告げた。


「さて、翼。突然じゃが、お主は七帝族についてどれだけ知っておる?」


ホントに突然だな…!


「え~っと、確か…ここらでは結構古い家柄で…華族って噂もあったな。それで黒鋼学園の関係者もその縁者が多いとか……そんくらいだな」


俺は口元を制服の袖で拭きながらそう答えた。


おえ…。

そういや、着替えてないの忘れてたから血生臭ぇ…。


俺が顔を顰めてると…


「ふむ…古いのは確かじゃよ。華族というのは言い過ぎじゃがな。学園に出資しておるのはこういう地下施設を作り、さらにもしもの時に備えて力を蓄えておく必要があったからじゃ」


時満の爺さんはそう告げてきた。


「もしもの時?」


それがキメラだとしたら………。

いや、キメラが表れたのは一年前…。

たった一年でこれだけの施設を作り上げるのは無理か。

なら、もっと昔から…?


「ふふっ、頭はそれなりに回るようじゃの」


俺の様子を見て時満の爺さんは笑いながらそう言ってきた。


「そう。キメラなんぞは想定外じゃ。ここは我ら一族の秘宝…牙を守るための設備じゃ」


「牙?」


あまり聞かない単語に俺は質問した。


「お主が持っておる絶氷牙を含めて7本の力と意志を持つ刀のことじゃよ」


「なっ?!」


その答えに驚いて俺は絶氷牙を見る。


「これが…秘宝?」


「うむ。我ら七帝族とは元々、一つの一族であった。崇める存在があったからの。今では名前すら忘れ去られてしまった我らの神…覇王神じゃ」


「覇王、神…?」


そういえば、大神先輩がここへ降りてくる時に使ってたキーワードに覇王神ってのがあった気が…。


「覇王神とは文字通り、覇王の魂を持つ神のことじゃ。神に魂という概念というのもおかしな話ではあるがの。その覇王神は七つの姿を持つ、もしくは七種の眷属がいたと謂われておる。まぁ、この辺りは曖昧での。儂らは前者だと考えておる」


「…………」


俺は黙ってその話を聞くことにした。


「これだけならば七つの家に分かれることもないんじゃが…ある時、分かれる寸前の頃の当主に七人の子宝に恵まれたんじゃ。その七人の子供達はどういう訳か、当時一緒に保管されていた牙に興味を抱いた。それも一人一本ずつにじゃ。そして、七人全員に同じような神託が下ったのじゃ」


「……その神託ってのは?」


「『いずれ来る戦のため、我が牙を守れ』。たったそれだけじゃったそうだ」


「なんて非科学的で曖昧な…」


「ふふっ、確かにの。じゃが、当時はそういうものを信じた時代だったかの。子供達が大人になると、一族はそれぞれの子供達が新たな当主となって七つの家に分かれた。それが今の大神、白雪、祖ヶ原、竜胆、帝崎、鬼島、紅蓮じゃ」


そういうもんなのかね…。


「そして、牙もまた七つの家へと分かれ、それぞれが作った地下の祭壇へと祀られていたんじゃよ」


「じゃあ、俺が落ちたのは…」


「おそらくは…白雪の祭壇だったんじゃろう。この施設とてそれぞれの祭壇へと繋がる通路を確保しておるが、入り口までじゃ…如何せん、祭壇は古いからの。下手に刺激を加えたら崩れる可能性もあるしの。しかもそれぞれの牙には意志があるから試練を用意しているじゃろうし…」


七星町の地下ってそんなことになってたのか…。


「じゃが、そうも言ってられんのが現状じゃ。これが神託の言っていた戦かはわからんが…現にキメラという存在が戦を仕掛けてきておる」


それを聞き…


「じゃあ、牙を返さないとか…」


俺は絶氷牙の返却を申し出た。


ちょっと残念だけどな…。


しかし…


「何を言っとる。それが認めたのはお主じゃぞ? お主が牙と共に戦うんじゃよ」


「なぬ?」


思いもよらぬ言葉に俺は面食らってしまう。


「いやいやいやいや…俺はただ成り行きでこいつを手にしただけで…そんな世界を守るとかは…」


「何も世界を救えなどとは言わん。お主がやりたいようにすればいいじゃ。そして、牙を揃えることもな」


「牙を揃える!?」


なんかまた面倒なことが…。


「うむ。偶然とは言え、お主は牙の一角に認められたのじゃ。そして、牙は7本揃ってこそその真価を発揮する。我等が覇王神の如くな」


「は、覇王神て…」


俺は神になんぞ興味が無いし、完全に部外者なんだが?!


「牙に認められた時点でもはや部外者ではないぞ?」


だから、心を読むなよ!?


「翼よ。これも何かの縁じゃ。一晩考える時間を与えるから、今一度己の中の声を聞き、決断するのじゃ。ここに留まるか?」


そう言って時満の爺さんは俺に尋ねてくる。


「い、いや…家の様子が気になるんだが…」


「わかった。ならば、地上へ戻ってよく考えるのじゃ…絶氷牙と共に、な」


それだけ言うと、時満の爺さんは席を立って部屋から出ようとする。


「白雪の。翼を送ってからまた戻ってこい。男は一人になることでしか決められんこともあるよて」


「は、はい…」


ずっと黙っていた雅は消え入りそうな声で答えていた。


「では…お主の決断を期待しておるぞ?」


それを最後に時満の爺さんは部屋を出た…。


「あっと、そうそう最後に一つ」


と思ったら、すぐに戻ってきた。


「我々、力を持つ者は多かれ少なかれ責任を持つことになる。力があるのにそれを振るわないのは弱くて逃げることを選択した者じゃ。しかし、その逆が強者になるかと言えば、何とも言えぬ。力は持つ者の心次第で変わるからの。さて、お主はどうかの?」


一言どころか結構な言葉を残して、今度こそ時満の爺さんはその姿を消した…。


………

……


結局…俺は地上に戻ってきた。

雅はそのまま地下へと戻り、俺は理事長室に取り残された形になってしまった。

もちろん、片手には絶氷牙を握り締めている。


「どうしろってんだよ…」


俺は壁に背を預け、しばらくそのままの状態で天井を仰いだ。


そのまま理事長室にいるのもなんだか落ち着かなかったから俺は一度外に出ることにした。

その途中、大神先輩とのやり取りで投げていたバッグを拾って校舎の外に出た。

外を見れば、もう夕夕暮れだった。


「……ジャンと一哉は…?」


少し気になったので、俺は自分の教室へと足を向けていた…。




教室に着くと、そこは既に血塗れだった。

机や椅子も破壊され、周囲には肉塊と化したクラスメイトの姿もあった。

そして、その中には…俺の良く知る2人の無残な姿も転がっていた…。


「------っ」


その光景を見て吐き気を覚えたが、グッと堪えた…。


もしかして、と予想はしていたが…現実に見てしまうと…たまったもんじゃないな!


「くそっ!!」


ガンッ!


俺は近くの壁に拳を叩きつけてしまう。


「俺は無力なんだ…」


今…この瞬間だけ、俺は泣き言をいうことにした。


「ただ、雅を助けたかっただけで力を欲した…そんな俺で本当にいいのかよ…?」


絶氷牙を握り締めながら俺は刀に語りかけ始めた。


「本当に俺でいいのかよ…こんな友達も満足に救えなかったのに…」


俺は絶氷牙の力で氷の花束を作ると、それを教室の中へと投げた…。


「こんなことしか出来ない…俺に、どうして…」


パリンッ…


という音と共に氷の花束が粒子と化した。


「なぁ…答えてくれよ、絶氷牙…」


答えが返ってこないとわかっていたもそう言わずにはいられなかった…。

そして、俺は静かに涙を流すのであった…。


しばらくその場にいたが、長居するとまたキメラに襲われかねないので、俺は家に戻ることにした。


………

……


家に着く頃にはもう夜になってしまった。

結果から言えば…俺の家もまた廃墟と化していた。

仕方なく靴を履いたまま、家に上がるが人の気配を感じない。

それどころか異臭がする…。


それ以上は考えたくなかったが、俺には異臭のする方へと歩いて行った。


「っ…」


そこにあったのは俺の両親…その惨殺された遺体だった…。

まるで内蔵を食い荒らされたような…そんな感じだった…。


「父さん…母さん…」


俺は2階の部屋からシーツを持ってきて、2人に覆い被せてあげた。

その後、俺は自室に戻るとホテルから見つけた非常食とミネラルウォーターで空腹を満たした。


「………キツイな…」


朝には想像もしてなかった事態に俺は自室の割れた窓から月夜を眺めていた。

俺は午後から始まったこの異常事態を思い出しながら考える。


俺だって、本当なら一哉やジャンみたいになっていたかもしれない…。

たまたま地割れに落ちて、そこが白雪の祭壇で…絶氷牙を手に出来たから…キメラを斬る事が出来た。

いや、そもそも斬れたのだってこの刀があったからで俺の力ではない…。

俺は無力なんだ…力に振り回されてるだけ…。

時満の爺さんは俺が認められたというが…俺はそうは思わない。

俺に力があったからって…助けられる命なんて……。


そこまで考えてふと思い出す…。


それでも…助けたいと思った…。

彼女…雅を…。

理由は自分でもよくわからない…。

けど、助けたかった…。

そして、そのために絶氷牙に俺の意志を伝えた…。

目の前で助けられる命を救いたい、って…。

なんでか、そんな言葉が俺の中から自然と出た…。

それに応えてくれたから…絶氷牙は、俺の手にあるのか…?


………

……


「んぁ? あれ?」


気が付くと知らぬ間に日の出の時間らしく、空が薄らと明るくなり始めていた。


いつの間にか眠ってしまったらしい…。

たった半日くらいとは言え、色々とあり過ぎたせいかもしれない…。


俺は立ち上がると、割れた窓から外の様子を見た。

あちこちから煙が上がり、建物の大半は廃墟と化していた。


「やっぱ…夢じゃないんだよな…」


そう呟いて手に力を込めると硬い鞘の感触が返ってくる。


「こんな気持ち…南半球でまだ生きている人達は何度も味わってるんだろうな…」


そう考えると、俺なんてまだ幸せなのかもしれない…。

遺体があり、身元だって何とかわかるんだ…。

それに比べたら戦場になって遺体もわからなくなった人達の悲しみは俺の何倍も大きいだろう…。


「力があるなら、その責を果たせ…か」


昨日の時満の爺さんの言葉を要約すれば…きっとこんな感じなのだろう…。

力を持った者の責任…。

それがどんなものなのか俺にはまだわからない…。

けど、俺は一つの決心をした。


「こんな俺がどれだけ役に立てるかわからないが…牙は磨かないと鈍っちまうよな…」


そう呟くと俺は黒鋼学園へと走った。


………

……


「きゃあああ!!」


学園に行く途中、俺は女性の悲鳴を聞き、そちらに向かった。


『ガアアアア!!』


そこでは女性2人と男性2人が青白い皮膚のライオンの背に黒い翼と二つの砲台が引っ付いたキメラに追い詰められていた…!


「…………」


「もう少しで学園なのに…」


「蒼夜さん…」


「瞬弐君…」


男性は俺よりも年上でそれぞれ女性を庇ってるようにも見える。


まだ助けられる!

なら…俺がやるべきことは一つ!


「絶氷斬!」


抜刀術もどきで彩から刀を抜くと同時に斬撃の軌跡が氷で実体化したものを羽根つきライオンへと飛ばす!


『ギャウ!?』


氷の飛礫を生身の部分に受けて羽根つきライオンは少し怯んだようだ!

昨日の戦闘で生身の部分なら攻撃は通りやすいってのはわかったからな!


「「「「っ!!?」」」」


追い詰められていた4人組が驚いたようにこっちを見ていたが…


「早く逃げろ!」


俺は羽根つきライオンに絶氷弾を飛ばしながらそう叫んだ!


「わ、わかった! さぁ、今のうちに…」


「くっ…!」


男性2人が女性2人を連れて学園へと走り出すのを確認してから俺は羽根つきライオンへと接近する!


「俺は…!」


『ガアアアア!!!』


俺に向かってくる羽根つきライオンは砲台にエネルギーがチャージされていき…


『ガアアアア!!』


ゴオオオオッ!!!


咆哮と共に砲台から二本のエネルギー砲撃が俺に向かってくる!?


だが…俺だってこんなところで死ねるか!!


「絶氷陣・水鏡!」


鞘を道路に突き刺すと共に氷の壁を出現させる!


カッ!!


そして、砲撃が氷の壁とぶつかると、そのまま拮抗するようになる!


「そのまま跳ね返せぇっ!!」


俺の言葉に応えるように、氷の壁の硬度が増し、鏡のようになると…


ゴオオオオオッ!!


氷の壁に当たっていた砲撃を羽根つきライオンへと跳ね返した!!


ドゴンッ!!


跳ね返した砲撃は砲台へと直撃して破壊する!


『ギャウッ!!?』


背で起きた爆発で怯んだ羽根つきライオンに再び接近すると…


「永久に眠れ! 絶氷突破!」


ギンッ!!


冷気を纏わせた絶氷牙を羽根つきライオンの眉間に深々と突き刺し、すぐさま飛び退いた!


『ガギャアアアアアアアア!?!?!?』


絶叫を上げて悶絶する羽根つきライオンはしばらくすると力尽きたように倒れた…。


「はぁ…はぁ…はぁ…」


昨日、何体か倒したせいか…殺したという感覚が鈍ってるかもしれない…。

でも、今度は成り行きじゃなく…俺の意志で殺したんだ…。

敵だとしても…俺はこの手で殺した…命を奪ったんだ…。

だが、後悔はしない…。

目の前で助けられる命を助けられたんだから…。


「俺は…戦う。俺の意志で…」


そう決意したのだから…。

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