ララシェトを旅立つ前に
「ご主人様!大変ですモー!」
ん?なんだ?あ!その前に、現在は山岳地帯で拾った壊れかけの馬車を直して使っている。そして、レベッカを早馬に乗せて辺りを警戒為せてあるので、俺は基本的に寝ていた。叩いて欲しさ余りに、時々、俺の睡眠をレベッカは邪魔してくる。なんて奴だ…
「何が、大変なんだ?」
「ララシェトが!オークによって包囲為れている様なんですモー!」
「んな!」
しまった!オークキングを俺が殺さなかったから、オークの奴らが追いかけてキングを取り返しに来たんだ!ってか、おっさんはオークキングを殺さなかったのか!?殺して居なかったとしても、俺が連れて来た。俺が巻いた種だ!それで誰かに死なれたら、後味が悪過ぎる!
「レベッカ!お前は、馬と此処で一緒にいろ!危険だ!」
「危険の方が、痛い思いが出来ますモー!着いてゆきますモー!」
確かに、こいつは強くなった。馬に引かれてる内に、恐らく得意ではなかった肉体強化をマスターした。それに、中々の強さだった山岳地帯の魔物を一人で倒している。ノーマルオークと、どっこいどっこいの強さだけどね。まぁ、こいつが死のうが死にまいが知らない。しかし、仮にも一週間共に行動をしていたからな。目の前だったら、助けてやらんでもない…かな?
「じゃあ!馬を停めてから来いよ!」
「モー!」
返事がモー!とは、最低だな。
おっと!レベッカがくる前に、オークを殆ど滅しとかなきゃな!
「アッ!ダンナサマジャナイデスカ!?カエッテクルノヲココロマチニシテオリマシタ!」
………はい?
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「ガッハッハッハッ!そうか!そりゃあ、そうだな!帰って来ていきなりオークが街を守っていたら普通は襲っている様に見えるか!」
この、おっさん…縛り上げてやろうか…
どう言った経緯でこうなったのか。俺目線で聞いた事を話しておこう…どうぞ。
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一週間前、
「さて、オークキングよ。あいつらも行ったことがし、その命を頂く。何か言い残したことはあるか?仮にも喋れる魔物だ。聞いといてやろう。」
「ソウカ、ワタシハヤハリ、コロサレルノカ…ナラ、ナラサイゴニモウイチドダケゴシュジンサマニタタイテモライタカッタブヒブヒ。」
ドン引きである。オークキングの奴、自分が死ぬ前の一言が、俺に叩かれたいで、本当にいいのか?どんだけ、Mなんだよ。俺が居ない時でも語尾もしっかりしてるし。ありえねぇ…王様辞めちまえ。
「はっ?アークに叩かれたい?…あ~、アークじゃなくてもいいのなら、それ位やってやるが?」
「ホ!ホントカブヒブヒ!?ゼヒオネガイスルブヒブヒ!」
ここで、おっさんはいい事に気づいた。このオークキングを利用しようと。中々、頭がいいじゃ無いか。
「おい、オークキングよ。お前、生きたいか?」
「ソリャア、イキタイサブヒブヒ!アタラシイトビラヲ、ヒライテモラッタバッカリナンダカラブヒブヒ。シカシ、ワレワレマモノハヒトニツカマレバサイゴ…ムシロツカマルマエニシヌノガアタリマエブヒブヒ!」
「良し!生かしてやろう。」
「ナ、ナンダトブヒブヒ?」
「まず、条件が三つある。一つ目は、お前さんが、この街を守る事だ。二つ目の条件は、お前さんらが居た森、そこにオークの村を作る。最後…毎日、うちの街の外壁を手下のオークに交代で点検、修整、そして、護衛もやる事。一つ目と三つ目は似ているが出来るのなら、お前さんを生かし、毎日でも叩いてくれる奴をこちらで用意しよう。どうだ?」
「アナタサマノオオセノママニシマスブヒブヒ!ソシテアナタハ、ワタクシノモウヒトリノゴシュジンニナッテクダサイブヒブヒ!」
「断る!誰がお前のご主人なんぞになるか!」
「ソノコトバダケデモ、ワタクシハゾクゾクシマスブヒブヒ!」
こんな、条件を出したおっさんにもドン引きだが、それを了承したオークキング…もといそれでも良いと思ったオーク共、全員が全員クソッタレだ…あったまん中どうなってんだろうな。いや、知りたく無いが…
こんな、感じかな?話を聞いて俺なりに解釈したから、起きた事そのままとは行かないだろうがな。だって、その場には受付嬢さんが居るはずなのだから。まぁ、どうでも良いか。それより、最後の依頼だ。あれ?最後何だっけ?教わったっけ?ああ、自分で何となくだけど、分かったんだっけ。
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「それで、二つ目の依頼も終わりました。最後の依頼を教えてください。」
一応は、聞いておこうか。
「うむ…奇跡の花の依頼は、進軍での疲れの良い骨休みになった様だな。」
いや、オークキングは特に疲れなかったけどね。そうだ、オークキングとの戦いで使った拘束魔法あれを何故三戦士?の時に使わなかったのか。理由は簡単、対象の動きに制限をかける力は使用に時間が掛かる。三戦士の時、使えなくはなかったが、攻撃を受ける可能性が捨てきれなかった。痛いのは嫌いだ。では、何故森に入る前にやらなかったのか。その理由は、拘束魔法は俺中心にかける方が強力な上、手元から離れてやり、大規模展開となると一気に効果が薄くなる。では、馬に引きずられていたオークキングは何故、動かなかったのか。あいつの動きを止めるだけなら造作もないことだから。
「では、こっちに来い。花はワシの秘書に渡せ。」
一気におっさんの纏う空気が変わった。こりゃ決まりだな。
「アークさん、花を…」
「はい。これで良いですね?」
「問題有りません。…どうか、おきよつけを…」
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ここは、久々に来たな。皆さんご存知、試験会場です。居るのは三人、俺、おっさん、レベッカだ。何故レベッカがいるかって?知るか。勝手に着いて来たんだよ。奇跡の花の仕事は終わったのに何なんだ。
「な、何故レベッカがここに?」
おっさん、気になったからと言って、それを口にしてはいけない。因みに、おっさんはいつも古そうなせびろを来ているが、今は緑色の胸当て、肩からは二の腕まである肩当、胸当ての内側は上質でしかも、丈夫そうな皮や布で出来た服を、ズボンは茶色を基本とした物を履いている。背中にはおっさんの腕の二倍はありそうな剣が…
あ~、やだやだ血生臭いね~。
「何故って、ご主人様に着いて来ているだけですよモー!」
この、取ってつけた様な語尾自分で言っておいて、聞いてるとイラっとする。
「ご、ご主人様…アーク、やり過ぎでは無いか?」
「そいつが、賭けに負けたのがいけないです。で?最後の依頼は?」
「もう気づいているんだろうが、まぁ良い、最後の依頼はワシに勝つこと…ワシ、いや、俺と勝負しろ。」
これだから、脳筋は…いつもはデスクワークしてるんだっけ?脳筋では無いか。はぁ、めんどくさいな!
「そんな顔をするな、始めてお前の戦いを見て只者じゃないと思ったんだ。行っしまった後、殺すのは勿体無いと後悔したが、進軍の報告を聞いた瞬間、身体に電気が走った感じだった。その後、寒気もした。その時!本気で思ったんだ!お前と戦ってみたいと!」
自分勝手な上に、恐らく進軍に行かせたのだって生きて帰るのが分かって居たから奇跡の花に行かせたんだろうが。因みに、奇跡の花で作られた薬は、どうな外傷もたちまち治る凄まじい効果があるらしい。
「安心しろ、殺しはしないさ。手加減もする。勝てなかったとしても、俺がイイと思ったら招待状も書いてやる。」
はぁ?おいおい、何上からもの言ってくれちゃってんの?俺はな、コレでも自分の強さには自信だって、プライドだってある。コレで怒るのは、柄じゃ無いし小さいってのも分かってる。只、そこまで上から目線とは気に食わない。…今だけ、これっきりだ。この手の挑発に乗るのは…落ち着け。良し!
「分かりました。サッサと終わらせましょう。それと、殺さない様気をつけます。」
俺は、先に控え室からでる。これからは、一人で旅をするんだ。冷静さを失ったら命取りだ。自分を叱りつけておかなくては…
「ックク、あの台詞の時のあいつ…殺気だだ漏れだったな。元SSランカーの俺がビビるなんて…本気の勝負はいつぶりだ!!」
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『では、これよりギルドマスター対アークさんの試合を始めます。殺し合いでは無いので、ご注意を!』
この戦いにもアナウンスとは、無駄な事を。
『始め!』
アナウンス終了と同時に…おっさんが消えた?
「ぐっ!」
右からのプレッシャー!後ろに避けた瞬間、何だ!?小隕石?これが右フック!?有り得ない威力!当たったら顔が吹き飛んでいた。
避けて、そのまま後ろに大きく飛んだ。また、その瞬間に俺の居た所が吹き飛んだ。ば、爆発!?おっさんの能力は『植物支配』だろ!?どうなっていやがる!
「ほぅ、今のも避けれたか…コレはどうかな?」
何時もの駄目っぽさが…微塵にも感じられない!俺の肉体強化は最大にしても、ギリギリ避けられるだけ。おっさんの肉体強化はまだ、小手調べ程…俺の身体は勝手に動いた。俺の危機感知能力が、その場にはいたら死ぬと言っていたからだろう。その予感は正しかった。大爆発である。
「はっ、はぁはぁ、危ねぇ、死ぬかと思った。」
「ふむ、期待していたより弱いな。腰の刀、抜いたらどうだ?」
くっそ!抜きたくなかった。だが、思った以上におっさんが強い!
「あんまり、はぁ、抜きたくなかったんですけどね。驚きです。その強さ。」
紹介しよう。俺の愛刀一本目『白守』だ。もう一本の名前は言わなくても分かるかもね。白守…その名の通り、真っ白い日本刀。基準の70センチより少しだけ短い60センチだ。俺が作った。俺の持てる全ての力を使い製造日数は、一ヶ月!もちろん白守だけで一ヶ月だ。
先に言っておく。この刀、見た目はしっかり刃がある。しかし、この刀では何も斬れない。コレは…まぁ、色々あるんだけど…簡単に一言で言うと、絶対防御為の刀。いかなる攻撃も受け付けない。最硬の刀…刀と言うには斬れないけどね。だけど、攻撃が出来ない訳じゃない。斬撃に使えないのなら…打撃武器として使えばいい!
カチャ…
『魔素支配』!魔素を体内に吸収しそれを肉体強化へ!そして、俺の二つ目の能力発動!えっ?レゼは一つしか持てないんじゃないのかって?俺、初代勇者最強!気を取り直して…
二つ目の能力発動!『武装魔術』…度合いにもよるが、超大量の魔力を常に消費し続ける事で、その『武器』の性質を身体に纏う事が出来る。消費量によって武器、自身の身体に変化が起きる。今は、刀にも身体にも変化は無い。出来る限り弱く纏っている為ね。
「すいません。俺の攻撃、痛いかもしれません。」
「刀を抜いただけで、随分と余裕だな。」
ここまでの魔力を使っていたら、基本バレる。でも、その変化、異様さを『魔素支配』で、カモフラージュ為せてもらってる。
「今度は強めに行くぞ!アーク!」
今度は見える。外からの吸収のお陰だ。凄い速さで左から背後に回っている。振り返ると、速さに対応しているのに驚いたのか。折角近づいていたのに後ろへ飛んだ。ん?何か捨てて行ったな。種?拾ってみよう。
「はっ!死ぬなよ!『バースト・シード!』!」
ああ、コレが爆発のタネか。いや、別に狙ってないよ?種が爆発のタネとか全然…狙ってました。
辺りにも散らばっていたから、また大爆発である。
「やり過ぎちまったかな…」
「いえいえ、寧ろ威力が足りません。」
「なっ!グッ、カハァ!」
爆発成功と思い油断していたのだろう。真っ直ぐ行って左脇に、俺の愛刀が一文字を描きおっさんを吹き飛ばす!
「ガフ!ガハ!信じられない刀を抜いただけで…」
「肋骨が数本折れてる筈です。もしかしたら、内臓にも損傷があるかもしれません。サッサと降参して下さい。」
「そう言われると、まだ足掻きたくなるな!」
何だ?おっさんのすげぇ魔力が失われた。…嫌な予感がする。
「俺のとっておきだ。」
会場全体が嫌な音と共に、植物が生えてくる。それも、異形の植物だ。『植物支配』で、とんでもないのを作ったな。
『地獄の園』
食人植物とか、変な緑色の二足歩行の花とかetc、まさに、地獄だ。
しかし、関係ないね。絡まって来ようが、食いちぎろうと使用が、全て俺の愛刀前ではそこら辺の雑草と変わらない。関係無くおっさんの元に歩いて行く。
「まさか、何事もなかったの様にここまでくるとは、凄まじい敗北感だ。分かった…降参だ。ワシの負け!凄く楽しかった。ありがとう。」
「いえ、こちらも久々の敵でしたよ。取り敢えず、この植物消してくれませんか?ダメージも息苦しさも抵抗力も感じませんが。感覚がウザくて…」
「ああ、すまない。」
そう言って、指を鳴らした。植物共は、出て来た所に戻っていき、地面の傷なども無くなった。凄いな。『植物支配』形覚えようかな。うっ…すげぇ複雑無理、覚えられない。
「それじゃあ、最後の依頼は?」
「それを言わせるとわ…いい性格しているな。」
「良く言われます。で?」
「ああ、言わなくとも良いが…合格、大合格だよ!コンチクショウ!約束通り、招待状を書いてやる。一日まってろ。そんだけ、強けりゃ賞金稼ぎなんざ余裕さ。」
「知ってます。俺、旅の準備するんで、くれぐれも他の奴を同行為せようとしないで下さいよ。」
「ちっ、バレてる上に謙遜も無しか。恐ろしい恐ろしい。」
謙遜?するわけないだろ?初代魔王は俺が倒してるんだ。俺は、この世界で超強いよ?
「じゃあ、よろしくお願いします。」
明日には出発だ。
バトル物は書くのが大変だ。え?文作能力が無いのに何を言ってるのかって?すいません。
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