試験が終わる前に 三日目Part3
戦闘光景を分割するのをやめてやったどー!
「イールさん。結局は何処に行くんですか?」
良い質問。歩き始めてもう既に体感で一時間は歩いてる。いい加減にして欲しい。シェアルを背負うのも楽しく無いしな。てか、ソロソロ起きてくれない?
「悪いね。もうすぐで俺の家だ。そこからは、馬車で移動さ。馬車での移動は短いから安心して。」
「「だったら、最初から持って来(て下さい)いよ。使え(無いですね)ねぇな。」」
「グズっ、ごめんなざい。」
「「全く(ですね。)だ。」」
とまぁ、こんなくだらない会話をしながら、イール宅に着いた。大きくも無く、小さくもない家だった。でも、しっかりとした庭があり。そこに、馬小屋・馬車が置いてあった。それにしても、ウェイとは息ピッタリだな。馬車に乗ってからは、五分位会話が無かった。イールは馬を引かせてるし…そうだ!握手しておこう。
「ウェイ。よろしく、良い戦いにしよう。」
「ああ、よろしくね。イールさんより強い人とは、ココで戦った事無いから楽しみだよ。」
はい握手と…イールより強い奴はウェイ以外も、居るっちゃ居るんだろうけど、王宮騎士とかそこら辺にしか居ないんだろう。さてさて、こいつの能力は何かな~。
ウェイ・アラン
能力ランク 『レゼ』
能力 『加速魔法』
成る程、さっきの速さはそう言う事か。ジエのおっさんみたいに、肉体強化で速くなったわけでは無いと…あ、でも言い切れないな。もしかしたら、肉体強化で来たのかも。なんにしろ。嫌な相手だ。始まる前から、刀を抜こう。もし、始まった瞬間に最大加速して来て、避けれなかったら怖いしね。そんな、可能性を考えてる内に目的地に着いた様だ。本当に近いな。場所は、鬼探索中にもチラチラ見えてたそれなりに高い丘、緩やかな坂でとても広い。ココでやるのか。
「ココならどれだけ破損しようと関係無いから、安心して暴れてよ。」
自慢げにイールが言った。本当か?確かに民家には被害が出ないだろうけど…ここまで綺麗だと気が引けるな。
「良いのか?随分と綺麗な土地なのに。」
「問題無いよ。ココはリタイア賞金稼ぎのリーダーである。フューラーさんの土地だからね。」
うん、説明ありがとう。でもな、ウェイよ。誰だ?フューラーって、つかフューラーはドイツ語のリーダーって意味だぞ?そんなのこの世界の奴が知ったことではないんだけどな。
「誰だ?フューラーって。」
「アーク君は知らないのか。マスターだよ。」
知るか!マスターそんな名前なの!?ってか、その人の土地で勝手に暴れていいの!?
「あっ!一つ言い忘れてたけど、ちゃんと許可はとって有るからね。」
心を読んだかの様なセリフ…晶を思い出すな。腹が立ってきた。殴りたい。晶殴りたい。
「イールさん、そんな事はどうでも良いのです。早くアークと戦いたいんで、どっか行ってください。」
「わ、分かったよ。じゃあ、シェアルちゃんは俺が…あれ?ア、アーク君!?いつ縛ったの?」
「今でしょ。キモいんで、どっかで寝ててくれ。ジャイアントスイング!」
もう、大好きジャイアントスイング!因みに、イールは星になりました。
「さぁ、邪魔者はいなくなった。始めよう!アーク!…」
そのセリフを言い終わる前に刀を抜けて良かった!武装魔術は、抜いた瞬間に使える。後は、魔素を隠すだけ。
「今度は避けれるかな!?」
消え、!?グゥ!なんだと!?速すぎるだろ!言い終わった瞬間に吹き飛ばされた。やっぱり相性が悪い。速いとダメージは無くとも避けられない…ん?今、剣で攻撃したのか。腰の後ろから剣を抜いて俺に反応も為せない速度…ヤベェな、おい。だるいぞ。危機感値なんてこの速さじゃ意味も無いし。どうやろうかな。
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ああ、痛いな。あれ?ココは?…そうか、なぜかわからないけど師匠に蹴り飛ばされて、気絶してたのか。
「さぁ、邪魔者は居なくなった。始めよう!アーク!今度は避けれるかな!?」
え?さっき、聞いた様な声…うわ!なんだ今の風は!?それに、すっごい音だ。師匠達の戦いが始まったのか。それにしても、やり過ぎじゃないかな。それじゃウェイ?が死んじゃうんじゃ…吹き飛ばされたのは師匠!?だ、駄目だ速すぎる。えっと、なんか速いの盗まなかったっけ?…そうだ!ペガサスを最大魔力で使えば良いんだ!早速、『モデル・ペガサスユマン』!うわ!辛うじて見えるだけ…全部を目だけにやってみよう…見える。速いけど目で追える。身体は全く動かないけど、この際良いや。
「やっべえな、速過ぎだろ。」
「まあね。ただし、足場がないと出せないんだ。それはそうと君は硬いね。どうなっているんだい?僕の剣が折れるかと思ったよ。」
「何、言ってんだ。手の内を晒して…それに、それ魔法剣だろ?お前のは、自らの魔力を糧に剣の硬さを変えられるタイプと見た。」
「…良く分かったね。確かに一本はそうだよ。速さ=重さ、速ければ速いほど威力は増す。それに、耐えられる剣がこの手の物しかなかったんだ。」
…と言うことは、ウェイの魔法は速さを操る物かな?それって、魔力の限り速くなるって事だから…とんでもない事になるんじゃいの?それと、魔法剣には二種類あって、自身の魔力で作動するタイプと、魔石と言う魔力が宿った鉱物を元に剣を作り、抜いた時のみ作動するタイプとある。ウェイのは、前者か。
「他にも有るだろ?魔剣とか、神器とかさ。」
魔剣?神器?なんだろ。そんなの聞いた事ないな。後で師匠に聞いてみようかな。
「そんな代物。手に入るわけないでしょ。一生掛かっても見れないかもしれないし。」
「…もう、見てんだよ。」
「え?何言って…!」
師匠が仕掛けた!速い!さっきのウェイと変わらないんじゃないか?さっきとどう違うのか。魔法使ってるからわかんないけど…でも、ウェイも完璧な対応。師匠の一振りを特性を活かし、剣の腹で受けて体制を崩れさした。あれ?ウェイが距離をとった?今のはもう一本の剣で攻撃出来ただろうに…
「驚いた。一体どうやって…その速度を出したの?」
「教えてやる義理は無いな。それより、なんでもう一本で攻撃してこなかった?」
お!気になる気になる。どうしてだろう?
「アークが一本しか持ってないからさ。」
そんな理由!?ウェイは戦闘バカなのかい?…オレより強いのは確実だし、ウェイさんか。どうでも良いやそんな事。
「おい、ふざけんなよ…刀は一本じゃない!一振りだ!二つ目から二本って数えるんだよ!」
ええぇぇぇ!何を、怒るのかと思ったら、そんな事!?真面目に戦いなさいよ!相手に失礼でしょうが!
「な、なんだって…そうだったのか。ご、ごめんね。知らなかったんだ…」
ウェイさんも、しっかりしてよ!どうでもいいでしょうが!
「…って、そうじゃない。今は戦いの途中だ。乗ってしまった僕が言うのもなんだけど、悪ふざけは頭に来る。今も、もう一本の話をしてたね。その挑発のってあげるよ!君の速度なんて、どうでもいい!」
「…今の挑発なの?」
師匠が言うのかよその言葉!そりゃそうさ!決闘の最中なのにふざけるから!
「コレを抜かせたからには只じゃすまないよ。」
「ドンと来い。お前じゃ俺には勝てないよ。」
「…今はそんな安い挑発にも切れそうだよ。」
切れてるでしょ。もう一本抜いちゃって、凄まじい魔力があんたの身体から出てるよ。すっごいプレッシャー!ココに居たくない!
「喰らえ!僕の一撃を!魔法剣最大開放!」
「うお!すっげえ魔力、羨ましい!じゃないじゃない。さて、二本目の能力はなんだ?見せてみろ…!飛んだ?何がしたいんだ?」
凄い飛ぶな。加速+肉体強化で信じられないほど高く高く…わかったぞ!何がしたいのか。コレ、ヤバイんじゃないの!?あれ、でも?一応離れよ。あ、でもオレの動きおっそ。
「ホウ凄いな。でも、それじゃあ…」
そう、それだけだと……足場がない。加速出来ないと言うこと。コレは重力のみでの体当りになってしまう。どうするんだろう?あ、空高くで止まった…止まった?うえぇ!?なんでどうなってんの!?
「ああ、そう言う事か。二本目の能力は、足場を作る力。どんな方法かは、まだわからないけど…厄介なのはわかったよ。」
「これで僕は何処でも加速出来る。もう、君は僕に追いつけない。」
そう言うと、ウェイさんが落ちて来た。この目でも、軌跡しか見れないほどの速度…避けない!
「『天翔十閃』!」
感想を言うなら、とても綺麗だった。その言葉を聞いた瞬間に師匠が消えた。いや、蹴り上げられた。そして、十の方向から光の剣が師匠を襲う。オレはそう見えた。コレは流石の師匠でも駄目だろう…師匠が仰向けに落ちて来た。
「…グッ!いって~流石に薄いと今のは厳しいな。そう言えば、カムバックしてから始めて痛いと思ったんじゃね?」
「なっ!ま、まだ。平気だと言うのか。くっ、『天翔一閃』!」
成る程、ウェイさんの戦闘スタイルは二本目とも剣を抜いて空中からの高速攻撃。それを様々なパターンに分けているのか。十閃は空中での複数回攻撃。次の一閃は…空中からの落下体当り。オレには巨大な光の柱が落ちて来た様に見えた。物の見事に師匠の腹に刺さって…止まってる?師匠はどんだけタフなの?てか、硬くね?
「グッ、こんの野郎!痛いじゃないか!」
そう良いながら、刀を振るう。直ぐに反応為れて空に避けられた。それより、それだけで済むの?
「何なんだ。君は僕の攻撃をこれだけ受けてそれだけしかダメージを与えられないなんて…以上だ。」
「以上で結構だよ……クソ、少し厚くして良かったぜ。さて、ソロソロ反撃したいな。」
「まだまだ『天翔二閃』!」
今度は、師匠の左右から光の壁が…うん、やっぱり。これ全部物理攻撃なんだ。魔力のみなら、ウェイさんは動かなくても出来るけど、技の時ウェイが動く。多分師匠も気づいてるだろう。
「ンガガガガ!…ハァハァ。チッ、流石に俺も空は駆けれないし…そうだ。おいウェイ!俺と賭けをしないか?」
「賭け?どんな賭けだい?物によっては、受けてあげるよ。」
!うわぁ…師匠が悪い顔してる。多分碌な事じゃないぞ。一体何をするんだろ…ん?刀を地面に付けて一回転?
「このままじゃ平行線。だから考えた。次のお前の攻撃を俺が受けて、俺がこの円から出なかったら俺の勝ち。逆に俺が出たらお前の勝ち…どうだ!?」
「…何?バカにしているのか!そんな円で僕の攻撃を受けきれるとでも!?」
「ああ、コレはシンドイと思うだから真っ直ぐ来てくれ。そしたら、絶対に受け止められる。」
流石に無謀過ぎる。半径九十センチ程の円だけで受け止めるなんて…さっきから吹き飛んでばっかりなのに、勝てる見込みなんてない。でも、ウェイさんはやるだろうな。かなり頭に血が昇ってるから。やっすい挑発にでも簡単に乗る。てか既に乗ってるし。
「良いだろう。僕の剣技その終を見せてやる。後悔するなよ。」
「さぁ来い。俺は負けない。」
師匠が構える。右足を前に、左足を後ろに、両腕は自分の腹部を隠す様に手のひらは上を向いてる。本当に耐える気なのか?ん!?師匠の全身が白いローブ?だんだんハッキリして来た。上半身はフードの着いた腰深くまでのコート。ズボンも靴も白くなってる。なんだこの姿は…
「……行くぞ。『天翔光閃』!」
!ウェイさんが極大の光剣になって師匠に向かって行く。いや、師匠コレはよけた方がいいですって!うわ!視界が白く染まっていく。
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視界が晴れていく。眩しかったな。でも、コレで終わりさ。
「………本当に凄いな。まさか微動だにしないとは。」
「悪いな。少しだけ本気になってみた。それでも凄いよ。俺にここまでやらせたんだからさ。」
「それでも、諦めきれないよ!『天翔千閃』!」
突きの壁か。ふぅ、仕方ないな。『白刀守護・反射之型』…大丈夫かなこれやって、でもまぁ散々やられたし良いか。
「『護白』!」
流石は白守の性能をそこそこ纏ってるだけある。全然痛くない……受けきったかな?受けた攻撃を俺の攻撃力でお返ししよう。さらば、ウェイよ!
「『天翔千閃・ハク』!オラオラオラオラ!」
「ぐあああぁぁぁぁぁぁ!!!」
いや、特に動いてはいないよ?真似したのは最初、起点となる突きをしただけ。それだけでウェイは倒せる。コレで試験終了だ!
次回かその次国出てやろう。