初仕事
遅くなってすいません。
ブラウニーブラ○ンの名称で最後に作られた某ゲームに熱中してました。
「それじゃあ、気を付けて冒険者生活を送るのじゃぞ」
「はい、わかりました。ありがとうございます」
カロライさんにお礼を告げ部屋から出、ようとした時に、カロライさんから呼び止められた。
「あ、ちょっと待つんじゃ」
「はい?」
カロライさんは俺の横をすり抜けると何処かに向かった。後ろから微かにガサゴソという音や、二、三言の話し声が聞こえる。
そのまま3分程待つと、カロライさんが戻ってきた。
両腕には、一本の剣と杖。
「お主ら、金がないだろう」
ニヤッと、と言う擬音がピッタリな笑みを浮かべるカロライさん。この人勘が良すぎて困る。
「ほれ、安物じゃが持ってきてやったぞ」
カロライさんは、それらを投げてきた。
慌ててキャッチすると、不思議な心地。
なんだろう? 重いのに軽い……? みたいな?
「ほう、お主その剣まともに持って重くないのか」
見ると、カロライさんはもう一本剣を持っていた。騙すつもりで不発になったのか。
少しいい気になった。
「中々だなぁ。ああ、そいえば『魔聖剣士』だったのぅ」
一人でうんうんと頷いている。
やはり、ここに来る前の俺だったら振ったりするのにはアウトな重さだったのだろう。最初に感じた不思議な心地はこれの事だったようだ。
「それやるから、大切に使うんじゃぞ。」
「はい!」
「わかりました」
◆◇◆◇
俺は、早速アキエと共に掲示板の所へ向かった。
「アキエ、何がいいと思う?」
「とりあえず薬草でも採取する依頼を受けたらどうでしょう」
俺の質問に的確に答えるアキエ。それもそうだと納得し、薬草採取系の依頼を見てみた。
~至急 聖魔薬草二本~
ランク B
仕事内容
母が病気で倒れた。製薬スキル、他の材料は奇跡に等しく持っているのでエリクサーの材料である『聖魔薬草』をアルファス王国アリカの街二十八-十二-九十八に届けてほしい。北大陸では地底湖付近に群生している。
報酬
金貨5枚
無言で視界から外す。後は全て緑色の紙……常時依頼だった。
ちなみに、通貨は「水晶貨」「白金貨」「金貨」「銀貨」「銅貨」「小銅貨」があり、小銅貨を一とした所の十倍らしい。
つまり、小銅貨が1円、銅貨が十円、銀貨が百円、金貨が千円、白金貨が一万円、水晶貨が十万円ってことかな。
でも、実際の価値からすると、銀貨からは+十倍位、水晶貨は百倍くらいらしい。
水晶貨一千万円パネエ。
ギルドは万が一の為に水晶貨を五十枚厳重に保管しているらしいが、五億貯えあるという事か。す、すごいなギルド……
「それじゃあ……」
俺はさっきの本を開いた。薬草の群生地でも載ってないかと思ったのだ。目次を見てみて……おおあった! 213ページか。
早速そのページを開いてみた。アキエも横から覗き込む。
「薬草の群生地一覧……ふむふむ」
「色々あるんですね」
この近くだと、通って来た場所(アキエの家の近くだな)に生える『薬草』とか、徒歩一日程の距離にある場所『赤の森』に生える『火炎草』などがあるらしい。
火炎草って薬草かよと思ったらどうやらこの世界ではなんかそれなりの用途を持った草ならば薬草になるらしい。
火炎草は使い捨ての魔法を作る原料になったりするらしいしな。
しかし、赤の森はレベル十五は無いときついということで、とりあえず普通の薬草を取りにいく事にした。
ちなみに、俺等が通ってきた場所は『草原』と呼ばれてるらしい。
……安直真骨頂って感じだなおい。
「それじゃ、また『草原』に行こうか」
「はい」
俺とアキエはそそくさと本を一旦返して出て行った。
ん……あ、そうだ。
「ねえアキエ、仮にも魔物が出る所通る訳じゃん、一応お互いの戦力再確認しとこ。金はないから装備整えるとかは無理だけど」
「それもそうですね」
俺とアキエはポケットからギルドカードを取り出して、それぞれ交換して見せ合った。俺のはこんな感じになっている。
ショウヤ・オオミチ 年齢 十九
出身地 東方の島国
種族 人間(種族補正装備品効果微UP)
クラス 魔聖剣士 サブ 職人
レベル 五
能力
HP 四十一(MAX四十一)
MP 三十四(MAX三十四)
攻撃 二十五
防御 十九
魔攻 二十三
魔防 十六
才能 商の才能 物づくりの才能 武の才能
装備
異国の服
異国のズボン(特殊な素材)
異国の靴
スキル
(才能によるスキル)
搦め手(防御していない所へ攻撃)
交渉術初級(多少高値で売却 成功確率十%)
メイン【魔聖剣士】
初級魔術(ファイアボール、ウォーターボール、アイスアロー、麻痺付加)
サブ【職人】
製薬初級(下級HP回復薬、下級魔力回復薬、下級解毒剤)
おお、クラス設定しただけでこんなに変わるもんなのか。しかし、才能のスキルは被ると無くなるっぽいな。不便なのかは微妙だが。
「それじゃ、次は私……」
アキエもギルドカードを差し出した。
アキエ・ハイエフラー 年齢 五十七
出身地 ハイエルフの里
種族 ハイエルフ(種族補正レベルUP時MP・魔攻上昇多)
クラス 緑の大魔道師 サブ 侍
レベル 六
能力
HP 四十三(MAX四十三)
MP 四十二(MAX四十二)
攻撃 十八
防御 十八
魔攻 三十一
魔防 二十八
才能 裁縫の才能 魔法の才能
装備
エルフ織の服
エルフ織のズボン
エルフ織のリュックサック
スキル
(才能によるスキル)
初級魔術(ファイアボール、ウォーターボール、アイスアロー、麻痺付加)
初級裁縫術(波縫い時間短縮、本返し縫い時間短縮、半返し縫時間短縮、ミトン作成)
メイン【緑の大魔道師】
植物術初級(採集、成長加速、植物の癒)
サブ【侍】
二刀流
◆◇◆◇
「じゃあ、能力も分かった事だし、出発しますか!」
「はい」
という訳で、現在は『草原』のまっぱだなかという訳ですが。
「なんか平和だなー、お弁当とかお茶があったらピクニック日和だ」
「そうですね」
へえ、この世界にもピクニック的な文化はあるのか。
そのまま平和に薬草の群生地にまでたどり着く。
「ここの様ですね」
アキエが地図(行く時に門番から渡された支給品)をちらと見て言った。
「ふう、到着か」
この世界の事が反映されてるせいか、疲れなど全く感じない。むしろ、体はすこぶる快調というか。余計元気が出てきた。
「ほら、見てください。ここら辺にまばらに生えてる草、少し色が濃いでしょう。あれが薬草です」
「あ、本当だ」
確かに、よく見ると少し色が濃い草が辺り一面にまばらに生えていた。きっとあの草が薬草なのだろう。
「それじゃ、摘み始めましょうか」
「おう」
それからは、黙々と、沢山薬草を摘んでいった。俺もアキエも、無言。せいぜい時々くる他の冒険者さんに挨拶する程度だ。
そして一時間程。空が少し赤みを帯びる頃に、俺達は薬草採りを終わりにする事にした。
「おーい、そろそろ終わりにするぞー」
「はーい」
程なくして、アキエが戻ってきた。
「もうそろそろ帰るぞ」
「わかりました」
そして、そばに置いてあった薬草の束を取ろうと……した。
しかし、手は空しくも中で交差しただけだった。
「あれ、ない……」
「ショウヤさん、あれ!」
アキエがなにやら向こう側を指差している。そちらを見ると……
俺とアキエで摘んだ大量の薬草を抱えて走っている男がいた。
あ、盗賊ってヤツか? それにしちゃやる事がなんか……ウケを狙っているみたいだが。
当然薬草を抱えて速く走れる訳もなく、二十秒後にはその男はあっさり俺とアキエに取り押さえられた。
◆◇◆◇
それから約一時間半。正直言って可哀そうな盗賊くんは、悪い噂が絶えない冒険者だったと分かり、ギルドの除名処分を喰らっていた。
身分証が消えたので、もうここは出て行くしかないのだろう。
「いやーありがとうございます! あの人あと一回で除名だってキッチリ言ったはずなんですけどねぇ……」
メイさんではないギルドの受付さんは、キッチリをやたら強調して言った。
なんか怖……
「いえいえ……」
「ま、報酬にも色を付けといたし、本当にありがとねー」
じゃらじゃら音を鳴らすコインを見てみると、確かに多い。
銀貨が十枚と銅貨が30枚位。
十万と三千円か。
「それじゃ、ありがとうございます」
「いいのよーまた来てね!」
言ってから、いや冒険者なんだから来るか~、と笑う受付さん。なんか超とドがつくレベルでハイテンションだな……
「それじゃ、何処か宿に行きましょう」
「あ~、宿ならねぇ、此処を二回右に曲がった所にある『アイザ亭』なんか、安くて良いわよ」
「あ、ありがとうございます」
「むしろ~ウチに泊まるみたいな~あはっ! ……あれ」
と言う訳で宿に直行した訳です。とりあえず夕食食って、それから明日の事決めれば良いのな~。まあ、とりえず行こう!
次も遅くなるかも。